リニューアルした日本科学未来館で、たくさんの「Q」を見つけよう

リニューアルした日本科学未来館で、たくさんの「Q」を見つけよう 1

連休中に、お台場まで出かけてみませんか?

日本科学未来館は、4月20日から新しい常設展示を公開しています。キーコンセプトは「問い」で、エントランスやポスターなど展示に関わるデザインに「Q」の文字があしらわれてるのが見られます。

科学やテクノロジーへの関心を深める入り口は、事象に対する問いを立てることから始まります。そして自分で考え、アクションをすることで未来は作られる、と日本科学未来館は提案しています。GW前にリニューアルしたのは、親子連れ、特に子どもたちにそれを体験してほしいという意図があったからなのだとか。

また、来館者が、展示の見学や体験を通して自分たちなりの問いを立てた後、それらを日常に持ち帰るための仕掛けとして、スマホアプリ「Miraikanノート」もリリースしました(アプリは無料ですが館内でノートも販売しています)。

さて、リニューアルされた展示をいくつか見ていきましょう。

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常設展は「未来をつくる」(3階)「世界をさぐる」(5階)「地球とつながる」(オーバーブリッジ他)の3つに分かれ、それぞれのテーマに沿った展示があります。

3階のミライゲート(5階のゲートはセカイゲートです)を入って正面設置されている「未来逆算思考」は、私たちの子孫から届くメッセージから始まるゲーム形式の展示です。彼らが住む50年後の地球は、資源も文化の多様性も失われたディストピア。そのような未来にならないように、今の地球が抱える課題を解決した“理想の地球”を贈ってほしいと頼まれます。

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ゲームの中で参加者が選べる地球は「貧困や不平等のない地球」や「いつまでもキレイな水が飲める地球」など、数種類あります。展示スペースで配布されている未来逆算シートの中央にある四角い枠内に、参加者が望む未来の地球を示すスタンプを押せば準備完了。私は「多様な言語が守られている地球」を未来に贈ることを選択しました。あ、別に英語が苦手だからって訳じゃないですよ。

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約10メートルのゲーム板の端にあるパネルを使って、選んだ地球を未来に送信します。地球には種類に応じて、資源ポイント文化ポイントがありますが、途中にある欲望無知といった障害物に当たるとポイントが減り、科学の進歩文化の進歩に触れれば、ポイントが増えます。どちらか片方が0になるとゲームオーバーです。

「多様な言語が守られている地球」の資源ポイントは3、文化ポイントは2。負けずに50年後に届け! 私の理想の地球っ!

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…と意気込んではみたものの、残念ながら23年後までしか保たずに撃沈。共通語は就職に有利とか、耳の痛い話が多々。でも、これらが描く未来を実現するために解決すべき課題を示唆してるんですね。

ゲーム修了後には、参加者が選んだ地球の属性(=現在の課題)が専門分野の研究者からのメッセージ動画も見られます。私が選んだ、言語の多様性については、国立国語研究所の木部暢子先生が、「日本ではアイヌ語など、少数民族が使っている言語にも関心を向けること」の大切さを解説してくれました。

知識面はあくまでもサラッとです。この展示は、参加することで理想の未来を実現するための道筋を逆算するという、「未来逆算思考」という思考法をゲーム形式で体験することにフォーカスしています(一方、現在から未来を予測するのは「積み上げ思考」と呼ばれます)。

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5階に展示されている。「100億人でサバイバル」は、災害やテロ、病気など、地球上にあるさまざまな脅威(ハザード)について学ぶことができます。つい先日起きた熊本地震やエクアドル地震もそうですが、ハザードはいつ私たちの身に降りかかるか分かりません。ですが、その仕組みについて知ることで、ハザードにどう向き合うかを考えることはできます。

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展示スペース入り口付近にあるパネルの穴をのぞくと…

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テロや災害など、過去に起きたハザードの様子や過去の報道などを見られます。これらのディスプレイやパネルにある解説を見ると、科学やテクノロジーには正の側面と負の側面があり、それらと上手につきあっていくことでハザードから生き延びる確度を上げられることが分かります。

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中央に展示されているのは、地球上でのハザードと人間の距離感を模した模型。ハザードを示す赤い玉が絶えず模型の中を転がり、ふとしたきっかけで多くの人の命を奪ってしまう様子が表現されています。人を表しているのが白い人形とはいえ、それらがまとまって一瞬にして倒れてしまう様子は、見ていると軽いショックを受けます。

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他にも注目したい展示が多数ありました。1階シンボルゾーンの吹き抜けに展示されている「ジオ・コスモス」のデータを管理している「ジオコックピット」は、3階と5階をつなぐオーバーブリッジの中央にあります。そこでは地球を観測して集められた、さまざまなデータにアクセスするツール「ジオ・スコープ」を体験できます。曲線的な家具は、強化プラスチックに見えますが、薄い強化ガラスで日本では初の採用です。

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日本科学未来館のシンボルともいえる「ジオ・コスモス」。1万362枚の有機ELパネルが地球上のデータだけでなく、イベント時の映像やアートワークなどを表示します。

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こちらはノーベル賞の受賞者たちからのメッセージ。すべて「問い」の形式になっています。それらを眺めながら、自分でも新しい問いを立ててほしいという意図で展示されているとのことでした。

今回紹介した新展示に限らず、常設展示の多くは体験型です。家族連れはもちろん、あらゆる年代やバックグラウンドの人が楽しめる内容ですよ。

source: 日本科学未来館

(高橋ミレイ)