世界の歌姫ビヨンセ降臨で、違法ダウンロード敗北&Tidal大勝利

世界の歌姫ビヨンセ降臨で、違法ダウンロード敗北&Tidal大勝利 1

さすがです。

ビヨンセの新アルバム「Lemonade」聞きました? 聞いた人は、どこで聞きました? 日本では、現段階ではiTunes Storeで、ですよね。しかし、このアルバム、Tidalにて先行配信されていました。ジェイ・Zがプロデュースする音楽配信サービスTidalは、日本は残念ながら未進出ですが、現在世界40ヶ国で運営されています。お騒がせ屋さんのカニエ・ウェストの新アルバムリリース時にも話題になったTidalですが、ビヨンセの力はその比ではありません。「Lemonade」がTidalに先行配信されたことで、今までどこかTidalに懐疑的だった米Gizmodoですら、「Tidalありなんじゃ…」というTidal勝利ムードに。

米GizのAlex記者は、ビヨンセTidal降臨に対して、「頭に銃を突きつけられ、私の曲を聞きたいなら言う通りにしなさいと言われた気分」だったと、圧倒的なビヨンセパワーにひれ伏す一方で、その状況を懸念もしています。近年の音楽業界は、消費者の要求と常に敵対してきたと言えます。それは、作品の配信先によって、限られたプラットフォームでしか聞けないのが原因です。〇〇のサービス、××のサービスに加入しなければ、好きなアーティストの最新作は得られないという状況。ちょっと前まで遡ると、CDのみで配信版がなかったのも、プラットフォーム限定の初期状態だったと言えます。海賊版、違法ダウンロードが横行する原因の1つは、ここにあると考えることもできます。また、iTunesリリース当時の爆発的成功は、音楽にお金を払うつもりのある人々にとって、公式、高品質、かつ簡単に音楽を配信する最初の場所だったからとも言えます。そして、まさに、この限定的なプラットフォームのあり方が、Tidalに懐疑的だった理由です。

音楽配信サービスが常に頭上に掲げているのは、高品質な音を配信し市場を作れば、音楽の価値を証明できるということです。これは、すべてのアーティストが共感するテーマでしょう。その中で、Tidalは、アーティスト自身が最前線に乗り出した初のプラットフォーム。ジェイ・Zが指揮をとることで、そのアーティスト魂が強く、ときに強すぎるほどでていますね。

しかし、その情熱とは裏腹に、ユーザー集客というビジネスの面では成功とは言えない状況が続いていました。Tidalに賛同する有名アーティストがたびたび燃料投下するものの、それは一時的なもので、結局は違法ダウンロードに飲まれてしまうという状態だったのです。

そこで、世界の歌姫ビヨンセ降臨です。

今年2月にTidal先行配信した「Formation」によって、Tidalに興味のあったユーザーをぐっと取り込みました。今回のアルバム先行配信によって、「Tidalこそが、最新作を最初に聞ける場所だ」という印象を強く打ち出しました。限定配信された期間こそ、他のアーティストの作品よりも短かったものの、その効果は絶大でした。

以下のグラフは、iOSでのTidalアプリのランキング(アメリカ版)です。赤い線は音楽カテゴリで、青い線は全カテゴリでのランキングです。(T.L.O.Pはカニエのアルバム「The Life of Pablo」)

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彼女のパワーに圧倒されたのは、ファンだけじゃありません。音楽業界の最大の敵である違法ダウンロード業界ですらひれ伏したのです。違法サイトで、「Lemonade」は上位ランクインしていないのです。KickassTorrentsでも、The Prirate Bayでも、トップ20位にすらはいっていません。つまり、違法ダウンロードをする人が少ないということ。もっと言えば、多くの人は米GizのAlex記者同様の行動にでたと言えます。Tidalにサインアップしたのです。

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他の音楽ストリーミングサービスからTidalに移行するのも、けっこう楽ちん。プレイリストをそのまま移行するためのアプリはネットに溢れています。Tidalは作品も充実。Spotifyと比べると、有名どころではないアーティストは前にでてきにくいですが、そのおかげと言いますか、「これじゃない!」と言いたくなる知らない誰かによるカバー曲もありません。アプリのデザインも秀逸。そしてなにより、TidalはSpotifyよりもアーティストにより多く金銭を支払っています。プラットフォーム限定に懸念していたAlex記者ですら、こうしてTidalのいいところを並べ、そして言うのです。

Tidalいい! ビヨンセありがとう!

…ここまで言われると、Tidalが日本未対応なのが残念ですね。

Alex Cranz - Gizmodo US[原文

(そうこ)