「ファイナル・デスティネーション」シリーズはホラー映画史上最も優秀?

ファイナル・デスティネーション

バラエティ豊かな死を楽しませてくれるシリーズ。

映画「ファイナル・デスティネーション」シリーズは、運命に抗おうとする人々に容赦なく死が襲いかかる大ヒットホラーで、現在までに5作品がリリースされています。

本シリーズが「ホラー史上最も優秀なフランチャイズである」という考察をBloody Disgustingが発表しているので、ご紹介します。

「ファイナル・デスティネーション」シリーズが優れている理由、それはシリーズのテンションが失われていないからとのこと。

人気のホラーフランチャイズといえば、「13日の金曜日」シリーズ、「エルム街の悪夢」シリーズ、「ハロウィン」シリーズなど多々ありますが、これらは続編が出るごとにオリジナルの良さを失ってしまっているという事実は否めません。

一方で、「ファイナル・デスティネーション」シリーズはどんな時もオリジナルのコンセプトと勢いを維持しつつ、5作目の「ファイナルデッド・ブリッジ」まできているのだとか。

以下、一部ホラー映画のシリーズのネタバレがあるのでご注意ください。

オリジナルコンセプトの崩壊

「エルム街の悪夢」について考えてみましょう。

夢の中に殺人鬼がやってきてティーンエイジャーを殺しまくる、眠ってしまったが最後といったコンセプトは多くの人にとって悪夢でした。

しかし、今やフレディ・クルーガーは恐怖の象徴ではなく、ホラー界を代表するコメディアンとして知られています。

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ホラーが追求すべき恐ろしさがなくなり、ギャグに走ったのはフレディだけではありません。鉈でバッサバッサと人を殺す「13日の金曜日」のジェイソンも同様とのこと。

彼は本来の目的を失い、テリトリーのクリスタルレイクを捨てニューヨークに進出し、果ては宇宙にまで行きました。

もちろんシリーズ化が悪いわけではありませんが、続編を見たいと劇場へ足を運ぶ観客は、オリジナルのテンションを味わいたいからなわけで、キャラクターの方向転換を見たいからではないでしょう。

続編によくある問題として、ストーリーラインがブレブレになってしまうことも挙げられます。例えるなら、積み上げたジェンガのタワー。上に行けば行くほどバランスを崩しやすく、あっという間に崩壊してしまうといった状況が、ホラーのシリーズには多く見られるようです。

「ソウ」の殺人鬼であるジグソウは「ソウ3」で絶命しますが、ライオンズゲートはシリーズがドル箱だと判断し、ソウ亡き後も不可解なひねりやフラッシュバック、フラッシュフォワード、パラレルイベントといったものを駆使しながらシリーズを続けました

確かに物語を広げにくいコンセプトの作品なので、無理が出るのは致し方のないことなのかもしれませんが、そこまでしてシリーズを続ける意味はあったのでしょうか? むしろ、「3」で潔く終わりを告げた方が有終の美を飾れたのでは?という声があります。

他にも、シリーズの途中で方向転換して失敗した代表的な作品が「ハロウィン」とのこと。

シリーズ3作目の「ハロウィンIII」(脚本/監督:トミー・リー・ウォーレス)は主役であるマイケル・マイヤーズを登場せず、狂気にとりつかれた男がハロウィンのマスクを使って子どもたちを支配しようとするという、「ハロウィン」の名前を使う必要があるのかどうかが微妙なストーリーとなっています。

これはマイケルの家族に対する執念深さを楽しみにしていたファンは裏切る内容でしょう。ちなみに、続編の「4」ではマイケルが復活しています。

ポテンシャルを維持するべし

シリーズを成功させるには、オリジナルのポテンシャルを常に維持しなくてはいけません。これができているのが「ファイナル・デスティネーション」シリーズとのこと。

予知能力に目覚めた人間のおかげで命拾いした人々が、「死」の運命には逆らえず次々に悲惨な死に方をする、このテーマをキープしており、毎回新しい「日常に潜む死」を見せています。

なぜ「ファイナル・デスティネーション」は同じテーマを続けられるのでしょうか?

まず、「13金」の代表的な武器といえばマチェット(鉈)ですが、マチェットを使った独創的な殺害方法には限りがあります。一方の「ファイナル・デスティネーション」は死に方にルールがありません

水がトリガーになりやすいというパターンは見られますが、もともと「バラエティ豊かな悲惨な死を見せる」というコンセプトなので、観客を飽きさせることなくポテンシャルを維持して続編を作ることができるようです。

単体でも楽しめるが、シリーズを通すとなお楽しい

さらに、「ファイナル・デスティネーション」シリーズは第1作から鑑賞しなくても、すんなりと内容を理解して楽しめることも魅力でしょう。そして、シリーズを通してみると、大きなパズルのように内容が合致しているため、より楽しめるようです。

たとえば「デッドコースター/ファイナル・デスティネーション2」の脇役であり、キーパーソンであるクレア・リバースは前作での唯一の生き残り。この続編は、新しい命が生まれたら死のルールはどう変化するか?を提示している作品です。

同じことが3作目の「ファイナル・デッドコースター」でも見られ、フランチャイズのDNAを継承しつつ、写真が死にざまを予告するという新しいアイディアが導入されています。

そして、4作目の「ファイナル・デッドサーキット」では死ぬ順番が決まっている人間は自殺できないというルールが明らかになり、「デッドブリッジ」では殺人を試みたら死の順番が早まることが判明しました。

こういった「じゃぁこうしたら死は回避できるの?」という観客の疑問を、回を追うごとに少しずつ解き明かしていくのもファンを飽きさせない秘訣と考えられます。

「ファイナル・デスティネーション」シリーズは何から何まで完璧か?

べた褒めしていますが、問題点もあります。一番はVFXが安っぽいことだそうです。特に3Dで公開された「デッドサーキット」は3Dを意識しすぎたため、不自然な飛び出し系デスが多く不評でした。

しかし、主人公を男にして観客をがっかりさせた「エルム街の悪夢2 フレディの復讐」や、マイヤーズを降板させた「ハロウィンIII」とは比較にならないほど小さな汚点かもしれません。

一方で、2年後に公開された「デッドブリッジ」では前作の悪い点は改善し、より土台を固める形で仕上がっていると言われています。

スターはいないけれど

「ファイナル・デスティネーション」シリーズには「13金」や「エルム街」、「ハロウィン」、「ソウ」、「悪魔のいけにえ」、「スクリーム」などと異なり、カリスマ性を持つヴィランや象徴となるマスクが登場しません

画面に映るのは、ただ死から逃げようと必死に抗う生存者と凄惨な死。しかし、姿は見えなくても確実に人を死に至らしめる「デス」は間違いなく人々を恐怖に陥れ、そしてオリジナルのテーマを継承する限り、「ファイナル・デスティネーション」シリーズはもっとも優秀なホラーシリーズであり続けるのかもしれません。


最後に、「ファイナル・デスティネーション」シリーズの「死」をまとめたゴアな動画をどうぞ。

source: Bloody Disgusting, YouTube1, 2

中川真知子