Tesla Motorsにあまり期待しない方がいい理由

Tesla Motorsにあまり期待しない方がいい理由 1

EVの弱点とは。

Tesla Motorsは、まるで自動車業界のAppleみたいな注目と人気で、いま米国では非常に高く評価されているようです。とりわけ最新モデルの「Model 3」は、日本円にして400万円前後で購入できるとだけあって、がんばれば一般人でも乗れる外国産のEV(電気自動車)として、早くも予約殺到とまで伝えられています

EVの魅力って、やっぱりガソリンいらずで地球環境に優しい乗り物というイメージが先行しているように思えます。でも、あまりTesla Motorsには期待できないなんて冷めた見方もあるのは事実。たまには反対意見にも耳を傾けてみるとしましょうか。

真の意味でクリーンエネルギーのEVは難しい

化石燃料を燃やすことなく、排出ガスゼロで地球環境に優しいと礼賛されるTesla Motorsの各モデル。でも、シビアな指摘をしますと、そもそも米国内の電気は、いまだに大量の石炭を燃やして火力発電で作られており、その電気で充電して走る以上は、真の意味でゼロエミッションを実現したとはいえないでしょう。

EVを購入することは、これから将来に整う、より優れた動力源を活用する自動車を所有するという意味でもある。つまり、より効率的に燃料資源を用いられる可能性を有しているということだ。

充電に使われる電気がクリーンエネルギーというわけではないという批判に対して、EVなどの普及促進を目指すElectrification CoalitionのBen Prochazka氏は、このようにコメントしています。まだ現時点では、化石燃料によって作られた電気が大量に存在することでしょう。でも、着実に米国内では、風力や太陽光発電など、クリーンな電力網が整いつつあり、EVに乗っているということは、徐々にクリーンエネルギーへとシフトしていく電力網を最大効率で活用可能なライフスタイルを先取りしている。そういう積極的な考え方を持つ必要があると力説しています。

きっと、もっとも理想的なのは、自ら自宅にソーラーパネルを設置し、そこから得られる電気のみでEVに給電しながら生活するスタイルなのでしょう。Tesla Motorsも、家庭やオフィス用電源となるバッテリーを発売し、単に電気で走る車を売るのみならず、電気のインフラ整備にも一役買おうとしています。ただし、本当にクリーンエネルギーのみで電気の供給がまかなえるようになる時代は、まだまだ先の話なんでしょうけど。

充電スタンドが少なすぎる

常に家の周囲で、ちょいと街乗りに使うだけ。そんな利用スタイルでEVに乗る人にはよいものの、いまEVの最大の課題は、長距離ドライブをどうするのか? 途中でバッテリーが切れてしまうことが、いつも頭のなかから消え去ることのない心配としてドライバーにつきまといます。

Tesla Motorsが初めてEVを発売した2008年当時、全米に500カ所ほどの充電スタンドがありました。その当時と比較すれば、いまはグンと外出先での充電環境も整い、充電スタンドの数は全米で3万を突破したと伝えられています。でも、まだまだガソリンスタンドの数とは比較になりません。

たとえ、出先で充電可能な場所を確保できたとしても、まだ問題は残ります。EVの充電には、非常に長い時間がかかります。あっ、ガソリンがなくなった、スタンドで給油しよう。この感覚で、EVの充電スタンドなんかに駆け込もうものなら、トンだ待ちぼうけを食わされることになるでしょう。充電スタンドによっては、数時間は充電のためにつないでおく必要があるのですから!

やっぱり充電スタンドが思うようなスピードで普及しないのは、忙しい現代人のライフスタイルにそぐわない給電スタイルが、問題の根底にあるのでしょう。家に帰ってきて、夜中のオフピークの時間帯に賢く電気を使って充電しておく。すると翌朝はフル充電の状態から乗れますというならまだしも、これをドライブの途中に要求されるのは、予想以上にきついものですよ。

もちろんTesla Motorsは、急速充電環境も用意してはいます。ただ、EVの途中充電の手間というのは、やはり現実問題として解消されたとはいえません。それを証拠に、サンディエゴでカーシェアリングにEVを活用していたCar2Goは、少し前に全車をガソリン車に切り替えてしまいました。理由は、「EVだとあまりにも充電効率が悪いから」。走行可能距離を気にせず、EVに乗れるようにするには、停車中はワイヤレスで自動充電されるようなインフラを整えるしかないのでは?

自動運転車とEVの相性はよい

ちなみに、いざ人が乗り出すと問題点も浮き彫りになるEVですけど、人間のドライバーを必要としない自動運転車なら、もっとストレスなくフィットするのでは? いまそんな可能性に期待も高まっています。

そもそも自動運転の真髄は、あらゆるコントロールを電子的に進めることなので、電子化が標準になっているEVのほうが、よりアナログな要素の残るガソリン車よりも搭載しやすいとされています。街中を乗り合いタイプの自動運転車で埋め尽くし、交通インフラとしての自動運転車の意義が強まれば、もっと効率的にEVを活用できるでしょう。そういう意味では、やはりEVは、まだ未来の車なのかもしれません。

Alissa Walker - Gizmodo US[原文

(湯木進悟)