簡単なテストで昏睡状態の患者が目を覚ますかどうか予測可能に

簡単なテストで昏睡状態の患者が目を覚ますかどうか予測可能に 1

既存のテストで調べられるみたいです。

薬物過剰摂取や重度の頭部損傷などで昏睡状態となった家族や知人が身近におられる方は、その人が意識を取り戻すのかどうかがわからないのは非常につらいことでしょう。研究者たちは、シンプルなテストを行なうことで、昏睡状態の患者の覚醒度合いを調べることができ、「いつ患者が目覚める」のかを予測できると発表しています。

最新版のCurrent Biologyによれば、脳内で吸収されるグルコース(糖)の量を測定するための既存のテストが、その患者が完全に昏睡状態なのか、あるいは(隠れた)覚醒の予兆がみられる患者なのかを医者が判断する助けになるとのこと。また、同検査で患者が1年以内に意識が戻るかどうかも予想できるとしています。

たいていの場合、昏睡状態にある患者は思考機能を失っており、それが昏睡を昏睡たらしめるもののひとつです。しかしいわゆる「植物状態」とよばれる場合には、昏睡状態から戻る可能性も考えられる印象を受けます。なぜなら、植物状態の患者は不完全覚醒(つまり部分的な覚醒)状態であるものの、完全に意識は戻っていない状態だから。この新たなテストを用いることで医師たちは簡単にどんな昏睡状態なのかを判断することができるのです。また、このテストは既存のテストであり、ほぼすべての病院ですでにこれが可能であるとのこと。

「ほぼすべてのケースで、現在の覚醒度レベル、もしくは今後の回復について脳全体のエネルギー代謝回転により直接予測することができました」とコペンハーゲン大学とイェール大学のRon Kupers氏は発表しています。「端的に言えば、我々の発見が示唆しているのは、脳に損傷を受けたあとにそこから戻るには、意識を持続させるために必要なエネルギー量の最低ラインがあるということです」

この結論に至るために、Kupers氏と同僚たちは、131人の脳損傷患者たちに脳の糖代謝の数値化やマッピングを行ないました。この患者たちはみな、意識が完全にない状態か部分的にしかない状態の患者です。FDG-PET(フルオロデオキシグルコース・陽電子放射断層撮影)というすでによく知られている技術により、脳のグルコース摂取を捉えマップ化したのです。

その結果わかったのは、患者の行動反応は脳の総エネルギー代謝回転と強い結びつきがあるということです。グルコース代謝が通常の活動の42%以下の患者は、完全に意識がなく、1年経過したあとも意識を取り戻すことがありませんでした。しかし、脳の代謝活動がこのしきい値以上の患者は、部分的な覚醒を示すか、1年後に無意識状態から覚醒したのです。最終的に、94%の患者において、脳の代謝率が短い期間で覚醒する割合に影響を与えていました。

「この発見で意識の有無には明確な代謝の境界線があるということがわかります。これが示唆するのは、脳は特定のレベルのエネルギー代謝回転で根本的な状態の変化を受けるということ。ある意味では、意識は脳の活動があるしきい値に達すると"点火"するといえるでしょう」と共同執筆者Johan Stender氏。「我々はこの仮説を直接テストすることはできませんでしたが、将来の研究にとても興味深い方向性を与えました」

今回の科学者たちは他の研究者たちもこの結果を確認することが重要になるだろう語っています。それまでは、時間とともに脳損傷患者たちの脳の代謝にどのような変化が起こるのかを調査するとのことです。

image by Stender et al., 2016

source: Current Biology

George Dvorsky - Gizmodo US[原文

(abcxyz)