オーストラリア、まさかの検閲措置? 地球温暖化問題を無視か

オーストラリア、まさかの検閲措置? 地球温暖化問題を無視か 1

なにも問題なんて起きてません…?

海の楽園としても讃えられてきた、オーストラリア北東岸に美しく広がるグレートバリアリーフ。その世界最大のサンゴ礁が、いま白化現象によって死滅しつつあるといわれています。

南北2,300kmにおよぶ広い海域で、サンゴが白骨化したかのような海の砂漠と化しています。異常なまでのサンゴの大量死を招いた原因は、夏の猛暑で海水温が上昇したこと。地球温暖化が目に見える形で悲劇をもたらしていると警鐘が鳴らされてきましたよね。

ところが、驚くべきことに、このほどオーストラリアの環境省は、UNESCO(ユネスコ)が国際連合の環境プログラムの一環で発表した最新レポート「World Heritage and Tourism in a Changing Climate(気候変動における世界遺産とツーリズム)」から、オーストラリアの国内で生じている地球温暖化現象に関する記述の削除を要求。同レポートでは、オーストラリア以外の全大陸の世界遺産に生じている、温暖化の影響や気候変動の具体的な実態を伝えているのに、当初は盛り込まれていたグレートバリアリーフのサンゴ礁やタスマニアの熱帯雨林をめぐる報告だけが、ごっそりと抜け落ちた形で公表されたのです。

これまで世界各国で研究に努めてきましたが、このような措置を目にした記憶はほとんどありません。まるで旧ソビエト連邦で、政府が好ましくない情報を検閲していた時代のようです。西側の民主主義社会で、こんなことは起きなかったはずです。

ユネスコのレポートで、オーストラリアの実態についての記録の監修にあたっていたオーストラリア国立大学Will Steffen教授は、このように語っています。ちなみにユネスコは、レポートに記載がある世界各国に事前に内容を問い合わせたものの、オーストラリアのように削除要求があった国はなく、ほかのエリアのレポートはほぼ原文のまま問題なく公開されたそうですね。

すでにオーストラリアの環境省は、今回の検閲措置を認める発言まで出しているみたいです。実は2015年にも、ユネスコに対してオーストラリア政府から要請があり、地球温暖化で被害を受けている世界遺産の事例を列挙した「World Heritage Site in Danger」リストから、グレートバリアリーフを除外するように働きかけられた経緯がありますよ。それから1年も経過しない現時点で、せっかくリストに挙げられなかったグレートバリアリーフが地球温暖化問題の実例として今回のレポートに載るのは不自然なので、削除を要求したと説明されています。

なお、オーストラリアの環境省は、異例の検閲まで実施した要因として、グレートバリアリーフの白化現象が観光に与えたダメージの大きさを指摘。いまオーストラリアでは、サンゴ礁を保護する「Reef 2050 Plan」なるプロジェクトが進行しており、これによって美しいグレートバリアリーフが戻ってくることを確実視しているようです。なんとかサンゴが死滅しているといったネガティブな報道が出回るのを避け、観光客離れを食い止めたいとの思惑が見え隠れしていますね。地球温暖化問題が、世界の各地に「不都合な真実」として飛び火していることだけは事実のようですよ~。

image by Gergely Torda for ARC Centre of Excellence for Coral Reef Studies

source: The Guardian

Maddie Stone - Gizmodo US[原文

(湯木進悟)