2016年版メアリー・ミーカーのネットトレンド報告でへー!と思った25の事実

「P2M(Person-to-machine, 人から機械)」の音声認識の精度が95%から99%へ上がり、「ほとんど使わない」から「毎回使う」に変わる大きな溝、キャズムを越えた。あんまり誰も気づいていないが、精度99%という数字は「ゲームチェンジャー」だ。

…などなど、ネット関係者必見のグッドスタッフがてんこ盛り。

今年もやってきました、有名ベンチャーキャピタルKleiner Perkins Caufield & Byers(KPCB)のパートナー、メアリー・ミーカーのインターネット・トレンド報告! もともとは25ページのレポートから始まったネット界トップアナリストによる年次予想も、人気が人気を呼んで2016年は217ページの超大作になってます。ネット利用はモバイルが4億2000万人(前年比94%増)、PCが2億2000万人(前年比16%増)。モバイルで朝から晩まで写真撮ってるZ世代音声(じゃないと)検索かったるい層が基軸をかき回してますよ。

注目事実を25本拾ってみました。大きめのマグにたっぷりコーヒーを入れて、ごゆっくりどうぞ。

1. 給与に占めるスマホの値段、日本は一番安い

これは2014年のスマホ平均市販価格と、それが平均月収に占める割合。日本はチャート最下位で(月給に対するスマホの値段がもっとも安い)、一番スマホが普及しやすい国です。逆にエチオピアでは、月給の半分近くがスマホで飛んでいます。

2. 世界GDP成長率、日本はたったの1%に下落

1985年は欧米・日本で全体の63%を占めていたのが、30年後の2015年には日本以外のアジアが全体の3分の2に逆転。中国はこの6年で、それまでの30年の総資本蓄積を上回る資本をためこみました。いやもう水色、存在感薄すぎて見えないよ…。

3. インドがネット人口で米国を抜く

ネット利用人口の世界トップ3は、これで中国、インド、米国の順に。

4. スマホ利用者はアジアが世界の過半数に

ご覧くださいよ、この伸び! ひゃーアジアの世紀!

5. 世界スマホ市場でAndroidとiOSの差が拡大

世界スマホ出荷台数は2009年にはiOS:Androidが14%:4%だったのが、2015年は16%:81%に。2016年、Androidは前年比7%増、iOSは同11%減でますます差がついてます。

6. スマホ成長が鈍化

スマホ利用者人口は2014年に前年比31%増だったのが、2015年は前年比21%増と成長が減速。スマホ出荷台数は28%増から10%増にガックーンと鈍化。スマホは初めて買う人も買い換える人も減り、売れて売れて困る時期はひとまず終わった模様。世界的なコモディティ価格下落もあるので、これはスマホだけの問題じゃないようです。

7. モバイルネット広告が66%の急成長

米国ではモバイル広告が2014年から2015年に前年比66%増という恐ろしい数字を弾き出しています。

視聴時間で見た場合、まだ220億ドルぶんの伸び代があるっていうんだから、今後もしばらくこのトレンドは続きそう。

8. 広告ブロックが大流行

ひょえー! 世界の広告ブロッキング利用者の数です。赤はウェブ、青がモバイル(前年比100%増)。特に多いのが中国、インド、インドネシアとのことです。ちなみにビデオ広告も81%はミュートにしちゃうんだって!

9. モバイル広告の勝ち組は「3Vの法則」

Vertical(モバイルは縦が基本)、Video(動画)、Viewing(必ず全画面)、3つ合わせて3V。この左のはSpotifyがSnapChatライブストーリー+Discoverで流して2600万PV確保した10秒広告です。ライブストーリーはイベント参加者同士が会場で写真をシェアするやつ。普通の動画チャンネルより、購読意欲が3割以上高く2倍の広告効果が出ました。右もSnapChat以外の動画広告より初週映画視聴に3倍の効果! ストーリーと連動するのがターゲットを絞るコツみたい。

10. 技術+メディア+物販の境目がなくなってきた

アマゾンはアマゾンブランドで家具、服、いろんなものを売ってます。小売ブランドは実店舗からネットに進出、ネット会社は実店舗に進出

11. 客が注文しなくても届くStitch Fixが人気

Stitch Fixは、Pinterestなどのプロフィールから好みを解析し、スタイリストが好みに合う服を毎回パッケージにして宅配する新サービス。嫌なら返品できるんだけど、顧客満足度が超高く、「ここでほとんどの服を買う」客は去年の30%未満から今年は39%に増えました。これって実はすごいことらしいですよ? 注文は100%、レコメンデーションエンジン×スタイリストが行なってます。

12. Z世代 vs.ミレニアム世代はこんなに違う

[ミレニアム世代]

テックに通じてる: 1度に2画面

連絡手段はテキスト

キュレーター&シェアラー

今を生きる

楽観主義者

発見されたい

[Z世代(1-20歳)]

テックが体に組み込まれてる: 1度に5画面

連絡手段はイメージ

クリエイター&コラボレーター

未来を生きる

現実主義者

自分の手で成功を掴みたい

なんかわかる。うん。2000年以降のZ世代はほんと、朝から晩まで写真か動画撮ってるよね。この世代が今後10年、20年で一番購買力つける層なんで、これに合わせていかなきゃならないそうデス。

13. ブランドレンズでスーパーボウル広告の2倍ビュー稼ぐ強者現る

今アメリカで流行ってるのがこういうの。広告主がおもしろフィルターを用意する手法で、何億円も払ってスーパーボウルに広告を流すより、はるかに多くのビュー数が獲得できます。タコベルなんて2億2400万ビューだって(スーパーボウルの2倍近い)。確かにこれは笑えますな。

フィルターで遊ぶ時間がSnapChatで平均20秒。いつもよそ見ばかりしてるZ世代も、これで遊んでる間はずっと広告主のことを考えてくれます(たぶん)。

14. 写真共有枚数は指数関数的に増えている

そんなこんなで今や写真共有はご覧のとおり!

15. 中国Baiduで音声検索が大ブレイク

あんなちっこい画面に漢字打ってられっか!ってなことで、中国では今しゃべって検索する人が急増中です。左は音声認識、右は文字を音声で読み上げる機能の利用数。Baiduのチーフ・サイエンティスト、Andrew Ng氏は「今から5年で検索の最低50%は、音声か画像による検索になる」と予想してますよ。まじで!?

米国内Android端末でも今や検索の5件に1件は音声検索ですもんねえ…。

16. 音声で動かせるAmazon Echoも大ブレイク

音声といえばAmazon Echo(エコー)。家・車・外出先をシームレスに結ぶ音声コマンドAlexa(アレクサ)。このデベロッパーは2014年9月の14社から、2016年5月には950社近くに増えました!

17. 車はまた米国主導になる?

米国産の車の世界シェアは1950年75%だったのが、今は13%。大量生産化でアジアにすっかり主導権奪われました。が、しかし、このところのTesla MotorsとGoogleカーの躍進で、「また自動運転車とライドシェアでアメリカ主導の時代になるぜ!」と張り切ってますな。換言すればソフトウェア、データ主導カーの時代。

18. 一方、日本は…

Morgan Stanleyが分析した各国の自動車の未来予想がこちら。日本は「高齢化と政府の理解があるので有利だが、それにしたって新しいパラダイムのOEM買収は欠かせない。ところが他国に比べて、新技術へのR&Dが立ち遅れている」とあります。今の地位にあぐらをかいてると明日はない!?

19. 写真サイトは購買意欲に繋がる

好きな写真をPinするPinterestは、「これ買いたい!」と購買意欲を掻き立てる面では他社を圧倒しています。確かにあれは買いたくなる写真ばかりだ。くわばらくわばら。

20. …そして写真はエンゲージメントが高い

1日に使っている時間で比べても、写真サービスは圧勝です。そこに注目して写真で売り買いするサイトOfferUp、家のリモデリングを写真で手軽にできるHouzzも人気急上昇中。Houzzは買いたい家具を自分の部屋の写真に入れて確かめられる「View In My Room」アプリなんてのまで出してます。

21. 新旧明暗くっきり

Netflix vs.Viacom、Amazon vs.Wal-Mart。上が時価総額で、下が売上です。こうして改めて眺めるとすげーわ。Amazon Echoの音声注文が今の勢いで広まったら、こんなもんじゃなくなるなあ…。

22. 世界のネット企業上位20、日本勢は1社だけ

米中一色の中に、我らの母艦ヤフー・ジャパン様が19位でランキング入りしてますぞよ。

23. データがプラットフォームになる

今どきのCRMソリューション「SalesforceIQ」では、データとパターンを分析してビジネスチャンスを特定するところまで可能になってます。「Mapbox」では、Googleマップのようにストビューカーなんかに頼らなくても、スマホユーザーのモバイルナビデータで情報がリアルタイムで更新されていきます。システム管理者と開発者のためのクラウドデータ監視システム「Datadog」では、100以上の情報源のデータを統合してリアルタイムで表示。これからはデータ解析できる会社が勝ち組とのこと。

24. 今のネットは中国抜きに語れない

プレゼン後半は中国の現況報告でした。世界のネットに対する中国の影響力が実感できますね。アメリカばかり見てると、すっかり盲点のダークマターですけど、その姿勢は改めないといけないのかも。

25. 音声検索では「ママに電話して」が「パパに電話して」より多い

制限時間が超短くてダーッと早口だったミーカーさんですけど、ここで会場がドッと沸いたときには、「パパもまだ重要だってことが重要」と言って場を和ませてます。

いや~勉強になった~ひゃ~。

source: Kleiner Perkins Caufield & Byers via ReCode

(satomi)