美しき悪の艶めき。「指輪物語」サウロンの第一紀の鎧

「指輪物語」サウロンの第一紀の鎧

中つ国七千年の歴史がここに。

架空の作品をモチーフに芸術的な甲冑を生み出しているPrince Armory所属のサミュエル・リーさんが、「指輪物語」に登場する宿敵サウロンの鎧を制作しました。

「指輪物語」はJ・R・R・トールキン作の壮大なファンタジー小説で、力の弱い小さな種族ホビットのフロドが人間、エルフ、ドワーフの仲間たちと共に邪悪な指輪を捨てに行く長い旅の物語。2001年から2003年に「ロード・オブ・ザ・リング」三部作として映画化されていることでもおなじみです。

美しき悪の艶めき。「指輪物語」サウロンの第一紀の鎧 1ドラゴンを彷彿とさせる生物的な質感。

美しき悪の艶めき。「指輪物語」サウロンの第一紀の鎧 2サウロンは変身能力も持ち、かつては吸血コウモリや巨狼に変身したことも。

美しき悪の艶めき。「指輪物語」サウロンの第一紀の鎧 3一度肉体を失った後の時代は美しいものに変身する能力を失っています。

かつてその“ひとつの指輪”を生み出し、再び指輪の力で地上を支配しようとしている悪こそが指輪王サウロン。強大な力を持つ精霊的存在で、映画では巨大な燃える瞳として描かれました。サミュエルさんは今回制作したサウロンの鎧について以下のように語っています。

これまでの、コミックキャラクターを中世ファンタジー化した作品とは異なり、今回はサウロンの鎧が第一紀ではどのような外見だったのかというシナリオに着目した。



トールキンが遺した巨大な物語世界の中に実際に入って見ることはできないが、注目すべきはサウロン自身が優れた職人であり鎧鍛冶だった点だ。恐らく彼がこの鎧を着ればくつろげることだろう。

トールキンは「指輪物語」の舞台中つ国に人間が誕生した“第一紀元年”からの歴史を7千年分以上に渡り設定しており、映画「ロード・オブ・ザ・リング」や「ホビット」は第三紀と呼ばれる時代の物語です。

「ロード・オブ・ザ・リング」の中で描かれる、人型だった頃のサウロンが指を切り落とされて指輪を失う回想シーンが3千年前、第二紀の出来事であり、第一紀はさらにそこから3~4千年ほど前の時代です。つまり今回制作された鎧は「ロード・オブ・ザ・リング」の6千年以上前まだ指輪を作り出しておらず、冥王モルゴスに仕えていた頃のサウロンをイメージしてデザインされています。

Prince Armoryのホームページには制作過程や高解像度写真も掲載されているので、レザー製の禍々しい鎧を眺めながら、中つ国の7000年にわたる歴史に思いを馳せるのもロマンチックかもしれません。

なお、トールキンは人間が誕生するより前の時代も3万年分の神話を設定しているので、正確には“4万年の歴史”と言うべきかもしれません。その世界観は「シルマリルの物語」という著作で触れることができますが……トールキン恐るべし

© PRINCE ARMORY 2016.

source: PRINCE ARMORY

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