イーロン・マスク「火星の政治は間接民主制よりも直接民主制が良い」

イーロン・マスク「火星の政治は間接民主制よりも直接民主制が良い」 1

言い続ければ実現しそうで...

テスラ・モーターズの会長兼CEO、そしてスペースXの共同設立者およびCEOであるイーロン・マスク。「水素爆弾を使って火星を温める」というジョークのような考えを真面目な顔で説明したのも記憶に新しいですが、つい先日、人類が火星に移住した後の民主制について発言しました。

イーロン・マスクほど「信じれば叶う」を地で行っている人はいないですね...。

コード・カンファレンスで登壇した彼は、火星での民主制は代表者で議会を作って政治を行うような間接民主制ではなく、全員が投票で物事を決める直接民主制のほうが良いという意見を述べました。

私はそのほうがおそらく良いと思う。というのも、間接民主制と直接民主制を比べると腐敗政治が起きる可能性は直接民主制のほうが非常に小さくなるからだ。

日本でもアメリカでも、国民が代表する議員に投票し、議員が法律や大統領などを決定する議会民主制(間接民主制)がとられています。あらゆることに国民全員が投票する直接民主制、本気で実現しようとしたら議論の場所、時間、システムを作るためのコスト、国民の専門知識の欠如、とたくさん課題が浮かぶわけですが...イノベーションの申し子イーロン・マスクが言うと「もしかして...」と思わせるのが不思議です。

また新しく法律を作ることは既存の法律を廃止するよりも難しくするべきだ、とも述べています。これはシリコンバレーのリバタリアンには同意する人も多いでしょう。

そんな火星の民主制だなんてずっと未来の話でしょ...と思う人も多いでしょう。でも火星移住で盛り上がっているのはイーロン・マスクだけではないんですね。

NASAは宇宙飛行士が低温状態で老化せずに長く睡眠につける「ディープ・スリープ・チャンバー」を火星で建設する構想を発表しています。映画「オデッセイ」の元となった小説「火星人(The Martian)」の著者Andy Weirは、国会で専門家たちによって行なわれた宇宙開発に関する公聴会において「人工重力テクノロジーの開発に力を注ぐべきだ」と説きました

宇宙開発の専門家、ビジネス界、そしてSF小説界も巻き込んで多くの人が火星移住にドキワクしているわけです。

宇宙空間における政治については、実は1966年に「月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用における国家活動を律する原則に関する条約」として国連総会で決議された条約があります。それによると宇宙空間では「いずれの国も領有権を主張することはできない」と規定されています。

専門家たちの中にも、火星移住が開始された場合、地球から完全に独立した領地としてみなされるべきだと主張する人たちが多くいるようです。惑星はそれぞれ独立している、という考えはSFの世界では長く支持されてきた考え方でもあります。

たしかに地球の国家間の領土紛争が宇宙空間にまで持ち込まれたら、ますますややこしくなるのが目に見えていますね。

しかし火星の政治はいいけども、イーロン・マスクは地球の政治に関してはどう思ってるの?という疑問も浮かぶわけです。火星は直接民主制ができるかもしれないけれど、地球ではほぼ全ての国家が間接民主制を採用しています。アメリカでは現在、大統領選にむけてますます熱気が高まっていますが、イーロン・マスクはアメリカの大統領制についてもコメントしたようです。

大統領というのは大きな船における、小さな舵しか持たない船長のような存在であるべきだ。憲法を考案した人々がそう考えていたのは喜ぶべきことだと思うよ。

とのこと。大統領の権限は制限されているべきだということですね。

しかし、イーロン・マスクの政治思想はなかなか謎につつまれておりインターネット掲示板のRedditで議論になったりしています。今のところスペースXは大統領選のキャンペーンに募金をしていないことが分かっていますが、他の政治的な運動に募金はしてきています。

イーロン・マスク個人は民主党のヒラリー・クリントンのキャンペーンに5,000ドルを寄付している一方で、共和党のマルコ・ルビオの上院議員選挙キャンペーンにも寄付をしています。共和党と民主党の候補どちらともに、同額程度の寄付をしてきていることからも、どちらかに偏った思想を持っているわけではないのか...と推測されているわけですね。

しかし将来の火星の大統領と言われると、個人的にはイーロン・マスクが真っ先に浮かぶのですが、本人はそれを望んではいないようです。

image by YouTube

source: The Verge, Quartz

Angela Chen - Gizmodo US[原文

(塚本 紺)