魚類初。テッポウウオは人間の顔を識別できることが判明

魚類初。テッポウウオは人間の顔を識別できることが判明 1

シンプルな脳の構造で、複雑な作業を成し遂げる、魚の意外な一面が明らかに。

Scientific Reportsで公開された新たな研究によると、テッポウウオが人間の顔を高精度で識別できることがわかりました。魚類でこうした能力が確認されたのは初めてのことです。この結果は、人間の顔を識別するためには必ずしも複雑な脳の構造を要するわけではない、ということを意味します。

ですが、人間の顔を区別して認識するというのは、実はそう簡単な作業ではありません。2つの目、鼻や口など基本的な顔の構造が同じであることから、際立った特徴を掴む必要があるのです。

「これまでは、大きく複雑な脳を有する霊長類のみにできることだと考えられていました」と語るのは、オックスフォード大学で研究主任を務めるCait Newport氏。

彼女のチームは、動物が人間の顔を認識できるか調べるために、小さく、複雑でない脳を持っていて、さらに人間の顔を識別するための進化を必要としなかった生き物を対象に実験を行ないました。その結果、44種の顔のサンプルから1つの顔を識別できたのは、あるでした。

それが、テッポウウオです。口から水鉄砲を発射して、水面の獲物を捕獲する熱帯魚です。

実験のなかで研究者たちは、テッポウウオに「新しい顔」と「すでに見せた顔」のいずれかを見せて、すでに見たことのある顔に水鉄砲を打てばエサを与えるという方法で学習させました。

魚類初。テッポウウオは人間の顔を識別できることが判明 2

image by C. Newport et al., 2016

最初の実験 (A)では、テッポウウオに人間の顔のカラー写真が見せられ、 2度目の実験(B)では顔の特徴を一部隠すやり方が行なわれました。

驚くべきことに、テッポウウオは実験(A)でも、一部の顔の特徴が隠された実験(B)でも、エサがもらえる「すでに見たことのある顔」のほうを、コンスタントに選んだといいます。実験(A)では44のサンプルから81%の確率で、また明るさやカラーが統一された実験(B)では86%の確率で正解したのだとか。

Newport氏は「魚は、人間が顔を認識するときに働く脳の領域を完全に欠いています。にも関わらず、その多くが驚くべき視覚行動を見せてくれました。これはシンプルな脳でも複雑な作業を成し遂げられるということを示す、完璧な被験者でした」と述べています。

カラスも人間の顔を識別できるものの、魚と違い、ちゃんと大脳新皮質のような脳構造を有しています。

このこと明らかになりつつあるのは、私たちが思っていた以上に、魚類は賢く、また周囲の環境を繊細な感覚で捉えているということ。

たとえば鏡に映る自分の姿を認識できる生き物は少数だといわれるなか、数カ月前にはマンタとよばれるオニイトマキエイにその能力があるという研究結果が明らかになったり、「魚は痛みを感じる神経がない」という説(PDF)への支持は落ちつつあったり...。いま、魚の能力について改めて調べると、まだまだ新たな発見に出会えそうです。

Top image by University of Oxford

source: Scientific Reports

George Dvorsky - Gizmodo US [原文

(Rina Fukazu)