夢の対決「モハメド・アリ対スーパーマン」が実現した経緯

夢の対決「モハメド・アリ対スーパーマン」が実現した経緯 1

アリ!ボンバイエ!

先日74歳で亡くなった世界最高のボクサー、モハメド・アリ。日本ではかつてプロレスラーのアントニオ猪木と対決したことで有名ですが、実は最高のアメコミヒーロー、スーパーマンともコミック上で対決しています。

今回はその夢の対決に至るまでの制作側の経緯をご紹介。

SUPERMAN VS. MUHAMMAD ALI」は1978年に、DCコミックスから刊行されたコミックです。いわゆる読みきり形式で、72ページ(通常のコミックは20~30ページ前後)の特別号でした。

あらすじ:ある日、エイリアンの「スクラブ」がその種族最強の戦士と地球最強の戦士との対決を求めて現れた。彼らは要求を飲まねば地球を破壊すると脅迫してきたため、最強戦士としてスーパーマンが名乗り出る。しかしボクシングの世界チャンピオンであるモハメド・アリが「スーパーマンは地球人じゃないし、パワーを持っていて不公平だ」と(アリらしい?)物言いをする。

こうして地球の代理戦士を決めるため、スーパーマンの力が常人と同じになる赤い太陽の光が注ぐ惑星でのボクシングの試合が決定。人類の存亡をかけた世紀の対決が繰り広げられることとなった――

日本でも「スーパーマン対モハメド・アリ」というタイトルで邦訳版が発売されていたので、読んだことがあるという方もいるかもしれません。

作者はデニス・オニール(ストーリー)とニール・アダムス(アート)。2人はDCコミックスではともに「バットマン」や「グリーンランタン/グリーンアロー」を担当し、そのキャラクター像は現代の作品にも受け継がれている偉大なクリエイターです。

そんなニール・アダムスへNerdistが行ったインタビューによると、この対決の始まりは、DCコミックスの編集者であるジュリウス・シュワルツが最初に思いついたものだったとか。

それからモハメド・アリ側とコンタクトを取り、長きに渡る交渉の末、コミックに登場させることの承諾を得て制作が開始されたそうです。

Comic Book Artistに掲載されたアダムスのインタビューによると、当初はジョー・キューバートがアートを担当することになっていましたが、何らかの理由でアリの絵を気に入らず、かわりにアダムスが採用されたとのこと。

そしてストーリーが作られていくのですが、制作半ばでオニールが降板。やむなくアダムスが残りのストーリー部分を書き上げ、その後でアートも完成させたそうです。インタビューによれば、ストーリーの大部分はアダムスが書いている模様。

また、アリから「作中での自分のセリフは自分で書きたい」という要求があったという噂もあります。

夢の対決「モハメド・アリ対スーパーマン」が実現した経緯 2

当初キューバートが描いた表紙がこちら。結局使われることはありませんでしたが、アダムスは構図をそのまま使い、観客にバットマンやバリー・アレンといったDCコミックスのキャラクターだけでなく、ビートルズやジャクソン5、アンディ・ウォーホルなどの有名人を紛れ込ませています。

先ほどの動画の後半によると、ジョン・ウェインなどのコミックで顔を使う承諾が得られなかった人物は、ひげなどを描き足して登場させたそうです。表紙の有名人の一覧はSUPERMAN TV.NETで公開されています。こうして見ると、アダムスが人物の特徴を実に上手くとらえているのがわかりますね。

このように紆余曲折を経てコミックは完成。1977年に刊行される予定でしたが、最終的には1978年までずれ込みました。なんとその遅れの間にアリは世界チャンピオンでなくなりますが、78年の9月に王座を奪還。偶然にしてもすごいタイミング!

この「SUPERMAN VS. MUHAMMAD ALI」は、ニール・アダムスが結んでいた契約の関係で長らく再販されていませんでしたが、2010年に再販されています。Amazon.comなどで販売されており(執筆時は庫切れ)、Kindle版もあるので、今すぐ読んでみたいという方はチェックしてみてください。

スーパーマンとモハメド・アリの対決は、ボクシングのシーンだけでなくその後のストーリーの展開もかなり熱く、ただ有名人を戦わせただけではない内容なので、アメコミのファン、モハメド・アリのファンの方はもちろんですが、アメコミを普段読まないという方も読んでみてはいかがでしょうか。

source: Comic Book Artist, SupermanTV.net, YouTube, Amazon.com, Amazon.co.jp

Andrew Liptak - Gizmodo io9[原文

傭兵ペンギン