小室哲哉さんが「テクノロジーに興奮する時とは?」という疑問に答えたら? 本音で未来を語る連載企画「TK Future Lab」が始まるよ!

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「小室哲哉さん、最近テクノロジーに興奮してますか?」

日本人で知らない人はいないほど、音楽シーンを牽引し続けているアーティストの小室哲哉さん

TM Networkやglobeの活動に留まらない多数のプロデュースワーク。今年に入ってからも、ガールズユニットDef Will(デフ・ウィル)のフルプロデュースを開始するなど、常に時代を端的に先取る作品を作り続けて、日本の音楽史を今も塗り替えているクリエイターの一人でもある小室さんは、実は「」が付くほどのテクノロジー好き。

シンセにGoProくっつけてライブ演奏したり、4Kカメラ抱えて自ら撮影に行っちゃったり…等々。

その活動は、アートの供給とテクノロジーの消費の中から理想的な融合を探し求めて、自らの関心が赴くままに突き進みその可能性を探っているように思えます。だから僕は冒頭の質問を投げてみました。

連載企画「TK Future Lab」が来ますよ!

出来たばかりの新しいテクノロジーを小室さんと探そう。そんな連載企画が、ギズモード・ジャパンの中で始まります!

新しい企画の名称は、未来を予見するテクノロジーとエンターテインメントを探す場所という意味を込めて「TK Future Lab」です。

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この企画は、小室哲哉さんと、世界で知られた音楽誌Rolling Stoneの日本公式雑誌「ローリングストーン日本版」、そしてギズモード・ジャパンの共同企画として実現しました。連載第一弾は、9月10日(土)にローリングストーン10月号誌面とウェブ、そしてギズモード・ジャパンで始まります。毎回気になるテクノロジーや2016年に生まれたガジェット、さらにはエンターテインメントの未来の話を小室さんに聞いていくので、どうぞご覧ください。

今回は、合同企画開始記念さらに連載序章として、小室さんにこの連載を通じてどんな、その思いを聞いてみました。

* * *

Giz: 音楽業界きっての音楽マニアで知られる小室さんは、テクノロジーオタクとしても有名ですが、「新しいテクノロジー」に興奮する瞬間はどんな時ですか?

小室哲哉(以下TK):漫画家の浦沢直樹くん(『20世紀少年』『BILLY BAT』の作者。ロック好きでも有名)が面白いことを言っていました。「ガジェットでもデバイスでも良いけど、自分たちは運良くリアルタイムで進化の過程を歩んでこれました。例えば、漫画家にとってのCGのような進化が良い例です」と。

自分の場合、例えばシンセサイザーのような、音楽に関するテクノロジーにしても、だんだん進化して高機能化してくるステップやアップデートの過程やスピード感を、階段のように登っていける感覚がありました。今度とんでもないシンセができたらしい、みたいな感覚です。

テクノロジーを積み上げていく」感覚が持てたのは、とても貴重だったと思います。

「テクノロジーを積み上げていく感覚」の具体例は、ソフトシンセ。言うならばPCの中に昔のシンセサイザーが入っている、という状態。僕らはまずシンセサイザーの実機を見ることから始まり、そこに物理的に存在していたものが、今はディスプレイの向こう側にあって、そこから取り出すイメージです。だから、形状が変わってもどういうものであったか、自然と分かってしまうのです。

TK:僕にとって新しいテクノロジーに出会うことは、映画の予告編と同じ。「今度すごい映画がくるよ」みたいなイメージです。昔はなんでも普通にワクワクできました。

例えばプリンス。彼のあらゆるパーツに音楽のルーツが見え隠れしていて、彼の作品はそのミクスチャー。R&Bだったり、ブルースだったり、ジミヘンだったり。どの部分を切り取ってもルーツが見えて、それが分かるのが自然な音楽ファンかも知れません。

または今年のフジロック・フェスティバル。音楽を反戦活動に使うなと言われていますが、僕らの頃はジミヘンだったり、ボブ・ディランだったり、ジョン・レノンだったりが歌っていて、むしろそれが自然なことでした。逆にそれで歴史の中の色々なカルチャー・テクノロジーなものを味わえました。できないことだらけだったけど、熱狂が作られる雰囲気は伝わってきました。

きっと昔の音楽を詳しく知っている若い人もたくさんいると思うので、そういう人にいろいろな話を聞いてみたいです。

Giz: この5-6年、SF的でカオスや憧れを感じて、多くの人がワクワクできる未来の”テクノロジー”が減って、いわゆるノンフィクション型で、誰でもすぐに使える現実的な”モノ”が増えた結果、興奮する度合いも減ったように感じます。最近、興奮して使い始めたけれど、いざ使ってみたら「これは違うかも」と感じたガジェットはありますか?

TK:いろいろありますが、iPhoneなどが良い例で、出た当初のインパクトから比較して、慣れるスピードがすごく速くなっています。「夢のなんとか」みたいなモノは減りましたね。スマホで何万枚も写真をポケットに入れて持ち運べるようなツールで簡易的になっているだけで。それよりも、未だに火星とかの未知の世界が夢がある気がしますよ。

何の役に立つかどうかは分からないけど、何かしらの生物がいるんじゃないですか、きっと? 不可能かどうかは別として、タイムトラベルとか。やっぱり夢がありますね。

僕の場合、今の時代のレコーディングはテクノロジーのおかげで実際に出来ることが多すぎて逆に時間がかかっています。データの誤動作とか、何がPC内で行われているのか? そういうものを待つストレスがあります。その状態にすでに夢がありません。

音楽のツールに関しても、PC内で完結するので、作り上げる過程が感じにくいですね。格好いい感じに思っていたけど、実際にはそうじゃなかったりとか。映像や写真の世界も、今は何万枚も撮ってそこから選ぶことに慣れてきています。昔のような「奇跡の一枚」がなくなってきました。

本日も淡々と やります。

Tetsuya Komuroさん(@tk19581127)が投稿した写真 -

TK:昔はとにかく一心不乱にやるだけ。テープ巻き戻しを待つ時間も貴重だったかもしれません。その日のレコーディングの成果をテープで持ち帰るための待つ間にコミュニケーションが生まれたりしました。

同じ「待つ」でも、テープが巻き戻るのを待つ方が夢があります。以前は、フェーダーを実際に動かすとか、躍動感はありましたね。

"TM NETWORK 30th 1984~ QUIT30 HUGE DATA"から。シンセにマウントしたGoPro視点のソロパフォーマンス。最後にシンセは客席に…

Giz: 小室さんにとって、人の心を動かすモノとは何だと思いますか?

TK:自分の力量をフルパワーで出せるような環境や状況から、人の心を動かすモノが生み出されていくと思います。テクノロジーの進化で音楽カルチャーも変わってしまったけど、やっぱり昔の方が大変だった分、ギリギリでやっていたところから生み出されるモノがあります。それは今は「ライブ」かもしれませんね。

* * *

「現代は、進化のスピードが増しているので、勉強している間にどんどん進んでしまいます。今の人のほうが、スピードに追いつくのが大変です」

と、日頃から直面している問題意識を的確に言語化してくれた、小室さん。アンタッチャブルな存在かと思いきや、僕らのような普通の人間の悩みもちゃんと見ている小室さんの人柄が滲み出てくる気がします。

時代に合わせて音楽をアップデートするという言葉が似合うほど、未来思考の小室さん。シンセのツマミやフェーダーをグリグリ動かすのが好きなのは、ガジェット好きであることの証明でしょう。決して抽象化された機械社会ではなく、人や文化の感覚があって共感性が垣間見れる独特な世界を表現してきた小室さんの目には、テクノロジーの進化はどのように見えているのでしょうか?

最後にもう一度、連載の概要です。

TK Future Lab」は9月10日より、音楽雑誌「ローリングストーン日本版」の紙面とウェブ、そしてギズモード・ジャパン上で同時連載スタートします。

毎回、テクノロジーとエンターテインメントの未来を予感させるテーマを小室さんが取り上げ、ローリングストーンのシニアライターであるジョー横溝さんとギズモード・ジャパン編集部の鴻上が、トークを展開していきます。

こんなことを小室さんに聞いて欲しい。そんなご要望があれば、ギズモード・ジャパンのFacebookまたはTwitterで直接ご連絡くださいね。

source: 小室哲哉TwitterFacebook)、ローリングストーン日本版

(Yohei Kogami)