暑い気候と暴力犯罪に相関関係があるのはなぜか、新しい理論が登場

暑い気候と暴力犯罪に相関関係があるのはなぜか、新しい理論が登場 1

気温が高いと暴力犯罪が増える、これいかに。

いや、そもそも相関関係があること自体知りませんでした、私。科学誌「Behavioral and Brain Sciences」に「暑い気候と暴力犯罪の相関関係」を説明する新しい理論が発表されたそうなんです。熱帯地域にあまり行ったことのない私はまず前提にビックリです。

どうやら年間を通して暑い気候の地域は温度が低い地域より暴力犯罪の発生率が高いとのこと。

理論に取り組んだのはオハイオ州立大学とアムステルダム自由大学の研究者たち。共著者であるBrad Bushmanさんは「気候は人々の生活を変えます、そして私たちが日常で気がつかないような方法で文化にまで影響を与えるのです」と言っています

暴力犯罪と気温の高さの相関関係について説明する理論で有力なものはこれまで2つあったそうです。

一つはBushmanさん自身も理論開発に関わった「一般的攻撃モデル(General Aggression Model)」。これは不快なくらい高い気温は人をイライラさせるので人は攻撃的になる、という説明なんですが、「しかしこれだとより凶暴な殺人といった犯罪の説明がつきません」とBushmanさんは言います。

もう一つの理論は「日常活動理論(Routine Activity Theory)」。これに基づくと「温かい気温の方が人々は屋外で過ごすようになり、他人と交流する機会が増える、そのため他者と対立する機会も増える」という説明になるそうなんですが、これだと平均気温が25度の場所よりも30度の場所の方が犯罪発生率が高いことの説明にならないんですね。

ふーむなるほど、どちらもありそうな説明ですが、確かにBushmanさんのおっしゃっていることもわかります。そこで彼らがこの度発表した理論が「気候的攻撃性と人間の自制心(CLimate Aggression, and Self-control in Humans)」、略してクラッシュ(CLASH)モデルです。

クラッシュ・モデルでは気温の高さだけでなく年間を通して気候が変化しないことに注目します。特に赤道に近くなればなるほど年間を通して気温が変わらず、季節による生活の変化に乏しくなります。

季節の変化が大きい地域だと、温かい季節と寒い季節の間で生活が変化するため長期的な計画性を持つ必要が出てきます。それが無くなることで、将来を念頭においた長期的なサバイバル戦略について考える必要が無くなり、自分の瞬間的な欲望を抑えこむという必要性が低くなるということだそうです。

自制心を働かせる必要性が少ない...ということですね。それが人間の短絡的な犯罪行為に結びついてしまうと。

これはまだ理論として発表されただけなので今後さらなる実証研究をしてその有効性を確かめていく必要がありますが、なかなか考えさせられる理論です。

これから気候が人間の生活を大きく変えていくことが予測されていますが、それによって精神的な面にも当然影響が出てくるわけです。こういった研究がますます注目されそうです。

source: Behavioral and Brain Sciences via Science Blog

(塚本 紺)