血液検査「リキッドバイオプシー」で大腸ガン再発を高確率で予測できることが実証される

    血液検査「リキッドバイオプシー」で大腸ガン再発を高確率で予測できることが実証される 1

    ガン治療がまた一歩前進しました。

    DNAシークエンシング技術の性能がますます高まることで、ガン診断も大きく形を変えようとしています。血液など体液の中にがん細胞のDNAがふくまれているかどうかを検知することが可能になり、患者への負担が少ない形で検査ができるようになってきているんです。「リキッドバイオプシー」と呼ばれるこの手法、まだまだ新しい分野ですが世界中で研究が進められています。

    この度、科学誌「Science Translational Medicine」に掲載された論文では、リキッドバイオプシーを用いることで、大腸ガンの再発を高確率で予測することに成功したと発表されています。

    ステージ2の大腸ガンは、大腸の壁までガンが到達しているもののリンパ節にまで転移が認められない状態です。この状態の大腸ガンは治療においてジレンマを抱えています。

    この段階の腫瘍は普通であれば手術によって完璧に取り除くことが可能であり、また大多数は化学療法を行わなくても再発しない一方で、どの腫瘍が再発をするか判断することは難しく、そのためどの患者に対して手術後に補助化学療法を行うべきかを判断するのが難しいのです。

    医師たちは手術後の患者の血液中に腫瘍のDNAが存在していることは、腫瘍の継続発生のサインであり再発の大きなリスクであることを示しました。これは(血液中に腫瘍のDNAが検知された)患者たちには再発防止のための化学療法が必要であることを意味します。

    MIT Technology Reviewによるとステージ2の大腸ガンは手術で取り除くことで80パーセントは治癒できるそうです。しかしガンが少しでも残っていたら再発をする可能性があります。これまでは手術によって治癒したのか、それとも再発防止のための化学療法が必要なのか、確実に判断できるツールが無かったそうです。

    そこで期待を背負って登場したのがリキッドバイオプシーなんですね。血液を採取するだけなので患者への負担が小さいだけでなく、より確実に治療に取り組めると。

    しかし今回の論文が発表されるまでは、リキッドバイオプシーが信頼できる検知法であることを確かめた大規模なリサーチというのは存在してなかったんですね。この論文によって「やっぱりリキッドバイオプシーは使える」と専門家の間でも確証が生まれたことになります。

    今回の研究では、手術後にがん細胞のDNAが血液の中で検知された患者79パーセントが最終的にガンの再発を起こしました。その一方でDNAが検知されなかった患者が再発を起こした割合は9.8パーセントだったそうです。どの患者にとって追加の治療が緊急に必要か、医師が判断するのに十分な研究結果となっています。素晴らしいです。

    またDNAが検知されない場合、90パーセントの確率でガンが治癒されたと患者に伝えることができます。こうやって研究に基づいた数字を伝えられることで「定量的な安心」を患者に与えられるのは素晴らしいことだと研究者たちは述べています。

    身近な人がかかったことがあればご存知だと思いますが、ガン治療、長くて厳しい戦いですよね。治療が終わっても再発の不安を取り払うのはなかなか簡単ではありません。

    今回の発表を受けて、よりリキッドバイオプシーの発展に拍車がかかれば良いですね。

    image by Shutterstock

    source: Science Translational Medicine via MIT Technology Review

    (塚本 紺)