ネズミの心筋細胞とエイ型ロボットの人工生物とは? 光で動き回り人体の探求に貢献

ネズミの心筋細胞とエイ型ロボットの人工生物とは? 光で動き回り人体の探求に貢献 1

心筋の研究、そして生体のロボット活用...。

これはエイ形ロボットです。20万個のネズミの心筋細胞、金の骨格、エラストマーと呼ばれる伸縮性のあるポリマーを使って、ハーバード大学の研究チームが作りました。光に反応して心筋細胞が収縮し、その動きによってエイのようにヒラヒラと身体を動かして水中を動くとのこと。

(Image: Sung-Jin Park et al., 2016/Science)

大きさはたったの16ミリ、重さは10グラムになっています。人口培養された生き物の心筋細胞をロボットの素材の一部に使う...もうそんな時代が来てしまいましたか、と驚きを隠せません。まさにサイボーグなわけですね。

チームを率いたKit Parker教授は娘さんと水族館を訪れた時にこのアイデアをひらめいたそうです。

娘がエイを撫でようとして手を水の中に入れたら、エイが素早く彼女の手から逃げたんだ。すごくエレガントな動き方でね。その時に雷が落ちたみたいにひらめいたんだよ。そのシステムを筋組織で作ることができるって、しかも心臓の筋組織のような物だろうってね。

いやはや科学者のひらめきとは怖ろしいものです。そうしてネズミの心筋細胞を作ったサイボーグが完成したわけですね。

右と左のヒレがそれぞれ異なる光のパターンに反応するように作られているため、非対称な光の点滅を使うことで障害物を避けて移動させることができます。また光の周波数によってスピードをコントロールすることもできるとか。ただ前後に動くだけじゃなくて操縦ができるんですね...ちゃんとしたロボットじゃないですか。

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左が制作されたロボット・エイ

ロボットとしてもとても面白いですが、Parker教授の一番の関心は心筋細胞の仕組みについてより深く知ることにあったそうです。

甲殻類は例外としても、ほぼ全ての海の生命体が液体を動かすためのデザインを筋組織に持っています。心臓の研究をさらに進めるために、私たちは海の生命体と彼らが仕組みとして体現している筋組織のポンプ作用に着目し始めたんです。

自然界のポンプ作用がどのような工学になっているのかを理解することで、人間の心臓についても理解を深めようというわけですね。こういった自然界のエンジニアリングからヒントを得る動きは近年ますます活発になってきています。バッタ鳥の動きからより性能のよいドローンの開発をしようとしている研究についてはこれまでもギズモードでレポートしてきました。

テクノロジーの一部に生き物の組織を利用する動きもすこしずつ活発になってきています。バッタの鋭い嗅覚をそのまま利用して爆発物の検知に使うなんて試みもあります。人間が思いつくようなシステムよりも自然界にすでに存在している仕組みのほうがはるかに効率的で性能が良いことはたくさんあります。

今回のエイ型サイボーグはもろく、弱く、細胞はいずれ死んでしまうため、ロボットとして何かに利用できるような物ではありません。しかし生体組織の培養がますます簡単になるにつれて、アッと驚くようなサイボーグが今後どんどんと登場する可能性は大きいですよ。

Top Image: Karaghen Hudson & Michael Rosnach

Last Image: Karaghen Hudson

source: Science

George Dvorsky - Gizmodo US[原文

(塚本 紺)