未来を想像する、SFなTEDトーク10選

TEDとは「Ideas worth spreading」というスローガンを掲げ、価値あるアイデアを拡散することを目的としたアメリカの非営利団体です。TED Conference(テッド・カンファレンス)などの講演会を開催し、専門家や有識者たちの知見を世界に向けて共有しています。

各界の第一人者が登壇し、研究成果や自らの体験談意識改革の提案などさまざまなトークを披露するこのプレゼンテーションイベントはTED Talksとして動画配信もされており、世界に大きな影響を与え続けています。

今回はそんなTED Talksの中でも、未来について想像するSFな名プレゼンテーションをピックアップしました。各分野、最先端の驚くような話題の数々は、SF的エンターテインメントとしても、人類の未来を想像する手掛かりとしても楽しむことができます。

プレゼンテーション自体のレベルも非常に高いので、自分に合ったプレゼンスタイルを見つける参考にもなるはずです。

1. 機械に奪われる仕事 — そして残る仕事

アンソニー・ゴールドブルーム(Kaggle社CEO)
TED2016(2016年2月)4分36秒

まずは視聴しやすい短時間のプレゼンテーションから。

機械学習の優れた点と、人間がどの領域で機械に勝るかが簡潔に述べられています。更に自分の仕事を見つめ直す視点の提案までを5分に収めていて、短時間でアイデアを伝えるお手本のようなプレゼンテーションです。

2. 人間に新たな感覚を作り出すことは可能か?

デイヴィッド・イーグルマン(神経科学者)
TED2015(2015年3月)20分34秒

もしも知覚する世界を選択的に拡張できるとしたら…? 例えば世界経済の動きを直接知覚する人間が現れたら…? 

視覚や聴覚の補助の先に、感覚を追加する未来があるかもしれないというお話。新発想。夢が広がるプレゼンテーションです。

3. 子どもの嘘は見抜けるか?

カン・リー(発達科学研究者)
TED2016(2016年2月)13分36秒

子供のウソについての面白い研究成果を、ジョークと図表を交えて教えてくれます。ですが、油断して聞いていると「嘘をつけなくなる未来」の話に肝が冷えるかもしれません。

カン・リーさんが研究している、画像認識などを用いた感情を見抜く技術の、良い側面を強調したプレゼンテーション。図表の出し方とタイミングが完璧なので、その点も勉強になります。

4. コンピュータに詩は書けるか

オスカー・シュワルツ(文筆家)
TEDxYouth@Sydney(2015年3月)10分56秒

人間のようなAI」は現れるのか、それはどんなAIなのか……。詩を使ったチューリングテストを通して「人間らしさ」について考える、参加型のプレゼンテーション。

「どっちがコンピューターの詩でしょう」クイズではウィリアム・ブレイクなど著名な詩人とコンピュータが比べられ、さらにそこから興味深い問題提起に繋がります。

5. 重力波発見が意味すること

アラン・アダムス(理論物理学者)
TED2016(2016年2月)10分58秒

2つのブラックホールの合体現象を観測したレーザー検出器LIGO (ライゴ)と、研究者たちの情熱のお話。そこには、「重力波」というキーワードが存在しています。愛情のこもった熱いトークにどんどん引き込まれ、感動すら覚えます。

宇宙の始まりを耳で聴いて解き明かそうなんて、これぞ宇宙のロマンです。

6. リンゴから耳を作るマッドサイエンティスト

アンドリュー・ぺリング(バイオハッカー)
TED2016(2016年2月)7分5秒

彼こそ最もバイオハッカーという肩書きが似合う男です。彼が語ってくれたのは、リンゴから人間の耳を作るという話。「リンゴの細胞とDNAを取り去って、代わりにヒト細胞を移植した」なんて薄気味の悪いことを、満面のスマイルで語ってくれます。

それでも彼が視聴者から受け入れられるのは、遊び心こそが彼の研究、創造の原動力だと伝わってくるから。ブレないテーマを持って生きる強さを教えられるトークです。

7. 宇宙での生存に備えて人類が進化する方法

リサ・ニップ(合成生物学者)
TEDxBeaconStreet(2015年11月)12分51秒

遺伝子編集は自然に反するのか否か、リサ・ニップさんは合成生物学者としての考えを提示します。そして、いつ進化するの? (今でしょ!)という議論を始めようとした時に、やはりまず考えることは「人間らしさ」についてのようです。

人間として、失くしてはいけないものってなんなのでしょうね。

8. 人工的なノスタルジアとは?

ブルース・マッコール(ユーモア作家、イラストレーター)
Serious Play 2008(2008年5月)13分1秒

ちょいワル爺さんの面白プレゼンテーション。不敵な語り口調が魅力的です。

彼が残してきたイラストはどれも大胆で刺激的な作品ばかり。あり得たかもしれない、どこにも存在しない世界ひとつひとつにSF的発想のヒントがつまっています。

9. 1つの生物種全体を永久に変えてしまう遺伝子編集技術

ジェニファー・カーン(サイエンス・ジャーナリスト)
TED2016(2016年2月)12分25秒

たまには恐ろしい科学技術の話にぞっとするのも良いですよね。

マラリアを撲滅できる技術が、他の生き物を滅ぼす力も持っていたとしたら……?強力な武器を、使うべきか使わざるべきか。少なくとも自分の意見を持って議論に参加できるよう、知っておく必要がある。そんな冷静な視点を持ったプレゼンテーションです。

何はともあれ「CRISPR遺伝子ドライブ」って単語がかなり格好良すぎます。

10. ゲームで築くより良い世界

ジェーン・マゴニガル (ゲーム・デザイナー)
TED2010(2010年2月)

初めに「現実よりもゲームの世界が魅力的な理由」が明快に解説され、ゲーマーならば思わず膝を打ってしまうはず。彼女の話を全て聞き終わるころには「世界を良くするにはゲームのプレイ時間を増やす必要がある」という突拍子もないアイデアに共感していることでしょう。

自然体な語り口調でありながら、話の構成や資料の引用がとても効果的な名プレゼンテーションです。

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どのプレゼンテーションもエンターテインメント性と情報的価値が高く、何度観ても楽しめるものばかりです。自分ひとりの知識で未来を想像してもわからないことだらけですが、専門家たちのさまざまな意見を知ることは自分なりの視点を構築する手助けになってくれるように感じます。

TED Talksの数々はウェブ上で全て無料で視聴することができます。プレゼンテーション全文のテキストも読むことができますので是非アクセスしてみてください。

© TED Conferences, LLC

image by TED Talks
source: TED, TED Talks 1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10, 11

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