どこまでホント? ヘヴィメタルの陰謀論7選

ヘヴィメタルの陰謀論7選

えぇ、ヘヴィメタルは悪魔の音楽です(エンターテインメントの名において)。

SFとも非常に親和性が高いヘヴィメタルですが、中には聞いていて「この世界は爬虫類型の知的生命体レプティリアンフリーメイソンなど、秘密結社によって裏で支配されているのではないか?」と感じる人もいるようです。

私たちの知らない強大な力が、この世の頂点に君臨しているかも……という錯覚(?)が、度を越して強迫観念にまで発展してしまった人々もいるというから尋常ではありません。

今回はそこまでではないにせよ、Metal Injectionがまとめたヘヴィメタルの陰謀論をご紹介します。真実がわかっているものもあれば、謎のままのものも……。

ブラック・サバスのジャケットに写っているのは魔女?

ヘヴィメタルの陰謀論・不気味なたたずまいの女性

ブルースを重く演奏し、ヘヴィメタルのオリジネーターとも言われ、さらにはヘヴィメタルとオカルト要素を結合させることに大きく寄与したブラック・サバス。

デビュー・アルバム「黒い安息日」の中心に写る不気味な女性が誰なのか? 当時は魔女なのか、危険ドラッグをキメて女装したオジーなのか、ドラマーのビル・ワードの奥さんなのか、それとも黒ミサで現地に来ていた人なのか、はたまた撮影時には存在しなかった人なのか?とさまざまな憶測が飛び交いました。

その真相は!? モデルとして雇われたルイーズという女性だったそうです。

エース・フレーリーは宇宙からやってきた?

ヘヴィメタルの陰謀論・彼の才能は遠い宇宙からの贈り物?

エースはKISS結成時のメンバーで、あだ名はジェンダル星からやってきた「スペース・エース」。ソロ活動時にはフレーリーズ・コメットというバンドを創設したほど、何かと宇宙的なものに縁がある方です。

彼は子供の頃より宇宙への憧れとUFOへの情熱を持ち続け、自身のDNAには地球外生命体のそれが混ざっているといった内容を語っています。ギターもアートも勉強することなくこなしてしまう、自分の才能は地上のものではないと確信しているそうです。果たして真実はいかに?

レッド・ツェッペリンは黒魔術に傾倒していた?

ヘヴィメタルの陰謀論・幽霊屋敷によく住めたもんだ

これは有名な話ですが、答えはYESです。

当時ジミー・ペイジが黒魔術にどハマりしていたらしく、世界にその名を轟かすイングランドのオカルティストであり、儀式魔術師だった、アレイスター・クロウリーを信奉。後にネス湖畔に建つ、クロウリーの家を購入しています。

この家は1890年にクロウリーが複雑で高レベルな黒魔術と儀式を用い、悪魔を召喚するために購入したのが元凶なのか、家の内外で何度も幽霊や怪奇現象が目撃されています。しかし、2015年のクリスマス前に火事によって廃虚となってしまったとBBCで伝えられました。

ともあれ、ペイジが家を購入した時期に4枚目のアルバムが作られ、そこから名曲がいくつも生まれたわけですが、奇妙なジャケ写やオカルトな記号など、ミステリアスな部分が多く見られます。

バンド名は悪魔の略語なのか?

ヘヴィメタルの陰謀論・短いバンド名ほど言葉遊びがやりやすい

誰が言い始めたのかは定かではありませんが、たとえばKISS「Knights in Satan's Service(悪魔に奉仕する騎士)」の略語ではないか?という憶測が古くからあります。

ジーン・シモンズが血を吐き、巨大な斧型のベースを弾き、自らを悪魔だと言っているのが何よりの証拠だ、とのこと……。

そして化学療法にも有効らしいAC/DC「Anti-Christ/Devil's Child(反キリスト/悪魔の子供)」の頭文字を取ったものという話も、80年代初頭から言われているそうです。

ギターのアンガス・ヤングが両手の人差し指でツノみたいなジェスチャーをするのは、それが理由なのかもしれません。

レコードに悪魔の呪文が隠されている?

ヘヴィメタルの陰謀論・逆回転させると普通の歌?

ドーナツ盤を逆回転させると、原曲の歌詞とはまったく違う言葉が再生されるというのも、また大昔からある噂です。

マリワナでハイになったティーンエイジャーたちが、よく逆回転させて遊んではソレっぽくきこえる!と大げさに触れ回ったのがほとんどだと言われています。

ヘヴィメタルでもいくつか例があり、グリム・リーパーが歌う「Final Scream」の最後(5:22)で、逆回転させると「シー・ユー・イン・ヘル(地獄で会おう)」とハッキリ聞こえます。しかし、彼らには実際に同名の「See You In Hell」という別の曲があるので、これはワザとだと考えられます。

NuclearDemonifythe hall of the great pretendersの動画で聞いてみてください。

ディープ・パープルの「Stormbringer(嵐の使者)」では、逆回転「コックサッカー、マザーフ◯ッカー、ストームブリンガー」と聞こえます。

一方で、スレイヤーの「Hell Awaits」では「Join Us(我々に加われ)」というフレーズが何度も繰り返し登場します。Dave Cuppensの動画で検証してみましょう。

ダーク・スローンの「As Flittermice As Satan Spys」では、曲の最後に「In the name of God, let the churches burn(神の名のもとに教会を燃やせ)」というセリフが逆回転で収められています。James's Discount Video Outlet!の動画で確認してみてください。

クレイドル・オブ・フィルスの「Dinner at Deviants Palace」でも、悪魔召喚の呪文を逆回転させたものが長々と録音されています。thejollyroggerの動画でどうぞ。

ザイ・インファーナルの「Armageddon」では、スレイヤーと同じ要領で「Kill for Satan(サタンのために殺せ)」という言葉が繰り返されているそうです。逆回転ではありませんが、Volkov Majorの動画で聞いてみてください。

昔は正回転では普通の歌詞に聞こえものの、逆回転で悪魔の呪文に聞こえるというのが王道の都市伝説だったかと思います。しかし、最近はあからさまに逆回転の言葉や呪文を狙って録音しているパターンもあるようです。これを陰謀論と呼ぶかどうかは意見が分かれそうです。

北欧ブラックメタラーたちの抗争は悪魔の仕業?

ヘヴィメタルの陰謀論・燃える教会

ブラックメタルは、今ではアメリカのバンドもそのサウンドを取り入れている音楽ジャンルですが、90年代にはアンチキリストの思想やライフスタイルと直結していました(現在でもそういったバンドは存在)。

ノルウェーのブラックメタルバンド、メイヘムのギタリストであるユーロニモスが経営していたレコード店「ヘルヴェテ」に集まったメンバーの中は、「より過激な行動をした者が最も邪悪」であり、崇拝される存在であるという思想を持ち、数々の悪事といくつもの教会が放火される事件を起こしたため、社会問題にまで発展。彼らはノルウェーのブラックメタルバンドと関係者を指して、「インナーサークル」とも呼ばれています。

放火犯とされた、バーズムのメンバーであるヴァルグ・ヴィーケネス(ノルウェー人)はトラブル・メイカーで、スウェーデンのブラックメタルバンドと対立していたユーロニモスを、怨恨から刺殺します(ヴァルグは正当防衛を主張)。

しかし、この犯人が最初はスウェーデンのブラックメタラーではないか?という疑いがかかったため、スウェーデン側が激怒。この頃から国をまたいでブラックメタラーたちの対立、そして悪事のエスカレートが始まったそうです。彼らの抗争は12年ほど続き、その間はブラックメタル=テロリストのように扱われていたとのこと。

争いの終盤には同性愛者の殺人事件が発生し、1年後にその犯人がヘルヴェテの店員であり、エンペラーの元メンバーであるファウストであることが発覚。さらにはスウェーデンのブラックメタルバンド、ディセクションのギタリストであるジョン・ノトヴェイトが同性愛者の殺人容疑で逮捕され、二国間のブラックメタルバンドの悪事合戦はエクストリームの極みに達しました。

全体的には陰謀めいたものではないものの、悪魔崇拝と教会放火には密接な関係があります。ヴァルグの動機は、自分の故郷(イギリスのリンディスファーン島)が793年にキリスト教徒のヴァイキングたちに襲撃を受けた報復だとほのめかしています。小規模ですが、時空を超えた宗教戦争だったようです。

ヘヴィメタルこそが大きなカルト?

ヘヴィメタルの陰謀論・イタリアの悪魔崇拝バンド

1980~90年代に全米で起こった「サタニック・パニック」という社会現象があります。これは、1980年代の小説「ミシェル・リメンバーズ」が発端です。

作品の内容は主人公ミシェルが催眠療法によって5歳の頃にカルト集団に拉致され、悪魔をよみがえらせるためにあらゆる虐待を受けたことが判明し、その後カルト集団の捜索に24年間を費やすものの見つからなかった……という、ほんのちょっとした実話をもとにかなり盛ったものです。

しかし、これをテレビやメディアが煽ったため、真に受けた人々の間で「どこかにこの地下組織が潜んでいるのではないか?」という集団心理が働き、国中がパニックになったとのこと。

本当は無関係ながらも、何かとオカルトやホラー要素と好相性なヘヴィメタルは、時としてこの社会現象とも結び付けられてしまいます。上記のノルウェーでの事件と、他にも北イタリアのメタル・バンド、ビースト・オブ・サタンが悪魔召喚の儀式と称してメンバーと関係者を殺した事件を筆頭に「ウェスト・メンフィス3」事件など、「殺人を犯した若者がメタルを好んで聞いていた」というニュースは数限りなくあります。

そうした事柄からイメージが定着しているようですが、実際には一般的なロック・ファン/ミュージシャンたちは、悪魔という象徴を現代社会の悪の表現として比喩的に利用しているに過ぎませんし、オジー・オズボーンですらホラーな演出は「面白いからやっている」と公言しているほど、虚構の世界であることが多いです。

カルト的な人気はあっても、カルト宗教ではないのがヘヴィメタル。自分はヘヴィメタル好きだと明かした時に、「それって悪魔の音楽じゃないの?」とか「それってあなたも悪魔崇拝者だってこと?」なんて反応をされることもありますが、この陰謀論は一部例外を除き、ほとんどがウソと言っても良いと考えられます。

もともとメタル界の陰謀論は悪魔や黒魔術など、ダークなものばかりですが、これらの影にはレプティリアンや秘密結社ではなく、悪魔サタンが潜んでいるという説も根強いようです。

中二病的だと一笑に付すのは簡単ですが、もしかすると大昔に悪魔という概念を生み出した人々が、それに対抗する正義を布教させるべくマッチポンプとして陰謀を流布させているのかもしれません。皆さんはどう考えますか?

image: Metal Injection
source: Metal Injection, BBC, YouTube1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, The Trebuchet

岡本玄介