未来の工場。材料はベルトコンベア…ではなく、プカプカ浮かんでいる?

未来の工場。材料はベルトコンベア…ではなく、プカプカ浮かんでいる?

超能力ではありません、超音波です。

人間の耳では聞こえない音域の音波を使って、科学者たちが発泡ポリスチレンの球体を浮かせることに成功しました。科学誌「Applied Physics Letters」によると、音の波長よりも大きな球体でも音波を使って浮くことが証明されました。実験では5センチの発泡ポリスチレンのボールを7ミリほど浮かせたとのこと。

小さな粒子や液体の粒は音場(acoustic field)において合力の影響を受けます。この力は音響放射力と呼ばれ、その力が十分に強ければ小さな物体を宙に浮かせて動かすことができます。

音波で物を動かしたり破壊したりする、なんてスーパーパワーは映画や漫画の世界ではお馴染みですが、以前は音の波長よりも小さな物体でないと、動かすことはできないとされてきました。

これ、写真の下で科学者が「フーッ!フーッ!」と息を吹いているわけじゃないですよ。電気信号を音波に変換する3つのロッドから音波が発射され、その力によって浮き上がっているんです。

研究チームにはブラジルのサンパウロ大学とイギリスのヘリオットワット大学の研究者たちが参加。平らな物体を浮かせることはこれまでも成功してきたのですが、この実験で使われた音波の波長は14ミリで、3.6倍にもなる大きさの球体を浮かせることができました。

本実験の結果から、さらに大きな物体を浮かせられる可能性が見えてきました。Phys.orgで研究に参加したMarco Andradeは「現時点では宙の一点に固定された形でしか物体を浮かせることはできません。将来的には、大きな物体を宙に浮かせつつ思うように動かせる、新しいデバイスを開発したい」と語っています。

音波によって物体を浮かせて動かせる...カッコいいだけじゃなく、かなり実用的な技術として期待されているようです。傷をつけずにものを搬送できるのはもちろん、高熱の物体や液体のサンプルまであらゆる素材の物質の移動に革命を起こすということ。プロダクトが空中で加工されて、次の作業場までも宙を移動して...とこれまで見たこともない製造プロセスが可能になるかもしれません。

source: Applied Physics Letters, Phys.org

George Dvorsky - Gizmodo US[原文

(塚本 紺)