オマージュの域を超えてる? 「スター・ウォーズ エピソード1」と1959年版「ベン・ハー」の似すぎなシーン

「スター・ウォーズ エピソード1」と1959年版「ベン・ハー」の似すぎなシーン

少なくともジョージ・ルーカスの「映画ファン」っぷりは痛いほど伝わってきました。

レース終盤。片方は二輪戦車を操り、もう一方は、ポッドのパイロット。そして、勝利の女神が微笑むのは、いつだってベン・ハーアナキンに決まっているのです。

ジョージ・ルーカス監督の「スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス」のポッドレースのシーンが、1959年に制作されたウィリアム・ワイラー監督による叙事詩的映画「ベン・ハー」から、かなり借用して作られたというのは、けっこう有名な話。でも、これってもはやオマージュの域を少し超えてはいないでしょうか。

いや、お互いここは正直にいきましょう。率直にいって、ルーカスはこのシーン全体をパクってるでしょう。もはやオマージュとはいえず、盗用ギリギリのラインです。でも、私の言葉をそのまま悪くとらないでください。

Jacob T. SwinneyさんがFandorのためにつくった動画は、2つの映画のレースシーンを並行してつなげ、「ファントム・メナス」が「ベン・ハー」のシーンをどのように借用し、パクり、そして古典的シーンを骨抜きにしているかを明らかにしています。ぜひ見てみてください。本当に素晴らしいですから。

どうでしょうか。まず、冒頭のスタートまでのカット割りがそっくり。そして、なにより動画中盤あたりの、画面下手から上手へ走者が転倒、回転していく様なんてまんまですね。

こういうケースは、何もこのシーンに限ったことではありません。ルーカスがほかの映画や監督の作品からかなり借用し、「スター・ウォーズ」シリーズをつくっていることはわりと知られていることです。

そういった作品の中には、「フラッシュ・ゴードン」(ルーカスはスター・ウォーズをつくる前に、ライセンスを獲得しようとしていました)や「失はれた地平線」などがあります。

中でも1番有名なのは、黒澤明の作品です。ルーカスは、少なくとも黒澤の「デルス・ウザーラ」「隠し砦の三悪人」の2作品のテーマやショットを借用し、旧3部作をつくっており、これはルーカス自身も認めていることです。

StarWars.comのライター、ブライアン・ヤングも、「ベン・ハー」と「ファントム・メナス」の2作品を丸ごと並べ、類似点を論じています。とはいえ、彼はルーカスの借用をいわゆる「改良」とよび、多目に見る態度をとっています。

ジョージ・ルーカスが「ベン・ハー」のような古典作品から、ストーリーラインやシークエンス、テーマを借用し、「スター・ウォーズ」内で、そのエッセンスを洗練させる手腕に、始終息をのみっぱなしだった。本当にお見事。

マジで?

「ベン・ハー」の一コマ

なにも私だって、「スター・ウォーズ」がユニークでパワフルで重要な作品であるということを否定するわけではありません。でもそれは、旧三部作などがあるからです。

映画がほかの作品から借用することは多々ありますが、オマージュとパクリには、明確な違いがあります。そして、今回の場合は、ベン・ハー/二輪馬車とアナキン/ポッドがゴールを越え、観衆が沸き立つまでのシーンは、1ショットごとのリメイクと言えるでしょう。

「スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス」の一コマ

まあとにかく、少なくとも、ルーカス・フィルムが2016年版の「ベン・ハー」から何かを借用することはないので、安心できそうです。その理由は…、正直にいきましょう、誰もこの新「ベン・ハー」は観ないでしょうから。

source:BBC, StarWars.com, One Perfect Shot, Vimeo

Beth Elderkin - Gizmodo io9 [原文]

(鈴木統子)