チェルノブイリ事故の被災地ベラルーシ、新原発建設中だけどいろいろとずさん



原子炉容器落っことしたけど、平気平気!みたいなノリ。

7月、ベラルーシで建設中のアストラベツ原子力発電所で、原子炉容器が落下する事故がありました。ローカルニュースがその事故を伝えてからベラルーシ政府が事実を認めるまでに2週間もかかったことで、国内だけでなく周辺国からも懸念の目が向けられています。

アストラベツ原発建設現場での事故はこれが初めてではなく、安全性全体が疑問視されています。特にお隣のリトアニアにとっては、心配では済まされない大問題です。しかも工事の質そのものだけでなく、ベラルーシ政府とか建設関係者が情報を抱え込んでいてチェルノブイリ事故を10日間も隠していた冷戦時代のソ連みたいだとも言われています。ベラルーシはチェルノブイリ原発事故で大きな被害をこうむった地域なのに、同じことにならないように慎重に...といった考え方じゃないようです。

ベラルーシでは必要な電力の90%がロシアからの輸入なので、そこから脱却すべく、初の原子力発電所をアストラベツに作ることを決めました。その現場は首都ミンスクから155km、リトアニアの首都ヴィニリュスからは50kmしか離れていません。

アストラベツでの原発計画は1980年代に発表されていましたが、チェルノブイリ原発事故でベラルーシの4分の1が放射能で汚染されたために頓挫していました。でもそれから30年たつ今、ベラルーシはやはり原発を作ることにしたんです。

そして7月、野党・統一市民党が、原発建設現場で330トンもある原子炉容器2〜4mの高さから落下したことを暴露しました。さらに問題なのは、その事実をエネルギー大臣が認めるまでに2週間もかかったことです。それ以来、建設作業はストップしています。

建設を請け負っているロシアの国有企業Rosatomは、落とした原子炉容器に損傷はないと主張し、予定通り工事を進めるべきだと言っています。検査で原子炉容器に問題が見つかったら交換するとはいうものの、その検査をしているのがRosatomの子会社で、ほんとにちゃんと調べるつもりなのか、危なっかしい感じです。

ベラルーシはエネルギーのロシア依存から脱却するために原発を作っているのに、その工事にロシアが出てくるのも不思議です。もっといえば、ベラルーシはロシアからの侵略を恐れてさえいるはずなんです。でもとにかくロシア政府は、このプロジェクトに50億~220億ドル(約0.5~2.2兆円)もの費用を出していると言われています。ベラルーシ人民戦線党は、原発にロシアが関わってくることに抗議していて、ロシア以外の国が工事に参加すべきだったと言っています。

今年4月には、原発敷地内ビルのフレームが崩壊しました。その原因は、納期に間に合わせるべくプレッシャーをかけられた作業員たちがフレームにコンクリートを入れすぎたことでした。安全第一の原発を突貫工事で作っているってことなんでしょうね...。またこの件についても、政府は詳細を明らかにしていません。

ベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ首相はこの事故の後も沈黙を貫き、国内からもリトアニア政府からも批判を浴びました。リトアニアの大臣は、事故についての説明が「子どもみたいだ」と切り捨てました。またリトアニア政府は、ベラルーシが原発の国際安全基準を満たせなければこの原発を稼働させないよう国際社会に働きかけると警告しています。それに対しルカシェンコ首相は、文句言ってないで協力しろと言い返していますが、欧州委員会はリトアニア側の主張を調査しています

さらにこうした事故がなかったとしても、専門家はベラルーシ政府がこの原発による環境への影響評価をきちんとしていないのではないかと懸念しています。この原発が動き出せば、冷却用の水は近くの川から引くことになっていて、それはリトアニアの飲用水源にもなっている川なんです。

アストラベツ原発の稼働開始は2018年11月頃を目指していますが、それまで2年ちょっとしかないのに問題がありすぎです。もうこれ以上原発事故が起きないように、作るんだったらほんとにちゃんとやってほしいものです。

source: The GuardianWorld Nuclear NewsRadio Free Europe

George Dvorsky - Gizmodo US[原文

(miho)