無限に続くVR世界。東大が開発した「Unlimited Corridor」を体験してきた

Unlimited Corridor 無限 VR

行き過ぎた勘違いはもはや現実?

皆さんはVRを体験しましたか? 最近は体験できる場所も増えてきて、スマホでもお手軽にVRを楽しめるキットが登場しています。VRは本当に面白いコンテンツを体験するとずっと続けたくなるものです。よく映画でバーチャル空間の中で生活するなんていうディストピアな設定を見かけますが、それが現実になるかもしれません。

今回ギズモード・ジャパンは、Unity Technologies Japan合同会社と東京大学の廣瀬・谷川・鳴海研究室の松本啓吾さんらが開発した「Unlimited Corridor」を体験してきました。

こちらの研究室では、「バーチャルリアリティ技術を端緒として、この種のインタフェース技術についてさまざまな角度から研究を行なっている」とのことで、その一環として開発されたのが、Unlimited Corridorです。日本語に訳すと「無限廊下」。

現実では円形セットの周りをぐるぐると歩いているだけなのですが、VRから見えるバーチャル世界でまっすぐな道だと錯覚させ、無限に歩き続けられる廊下を作り出したんです。

どんな世界が広がってるの?

こちらの動画は実際に体験した際の様子。側からみるとなんじゃこりゃって感じですよね。

Unlimited Corridor 無限 VR 視点

VRの中ではこんな光景が目の前に広がっていました。

まず、エレベーターでビルの屋上へ。降りるとそこは吹きさらしの通路。横には柵がないので足を踏み外したらまっさかさまです。前方を見つめると一番先に赤い風船があります。通路を進み、この風船をゲットするというのがこのコンテンツのミッションです。

Unlimited Corridor 無限 VR ルート

こちらは、実際に歩いたバーチャル世界でのルートと現実のルートを比較したものです。青色の動く線がバーチャル世界でのルート、つまりヘッドマウントディスプレイをしている人が歩いたつもりのルートです。赤色でぐるぐる回っている線が現実のルートを表しています。バーチャル世界のルートでは途中で横に曲がっていますが、これも現実の円形セットの真ん中が曲がれるようになっていることで再現されています。

Unlimited Corridorで見るバーチャル世界は、ビルの屋上という高所の設定なので想像以上に怖いんです。また、動画だと少しフラフラしながら歩いているように見えますが、これはVR世界ではまっすぐ歩いているつもりなのに、現実では周りながら歩いているという錯覚によるもの。しかしこのフラフラ感が、高所という設定によってバランス感覚が取れない・風でも吹いているかのように脳を納得させます

写真で見ると殺風景だなあという感じですが、視覚だけでなく、手や足を使った触覚が合わさることで、今までのVRコンテンツにはなかった現実との接点を感じることができました。没入感には解像度も必要ですが、それ以上に触覚の影響は大きいんです。

どんな仕組みで動いてるの?

Unlimited Corridor 無限 VR 装備品

実際に用意されていたのは、VRヘッドセットリュック、そして円形のセットです。

Unlimited Corridor 無限 VR リュック

なぜリュックが?と思うかもしれませんが、中にはパソコンが入っており、VRヘッドセットと接続して処理を行ないます。

Unlimited Corridor 無限 VR 円形セット

そしてこちらは現実で歩くときのルートとなる円形セット。写真は今回用意されていたセットと同じものです。

実際には、この円形セットの壁を手で触りながらぐるぐると歩きます

Unlimited Corridor 無限 VR アンテナ

VRヘッドセットについているこちらのアンテナは、円形セットの周りに配置してある何個ものカメラと連携し、バーチャル世界の中での自分の位置を認識してくれます。

さらに、VRヘッドセットの前側にはリープモーションがついており、目の前に手をかざすとバーチャル世界で自分の手を認識することができるんです。これによって、自分の手をバーチャル世界の中で認識し、壁を触るという行為をさせることで、視覚だけでなく、触覚も使って脳を錯覚させることができるとのこと。

Unlimited Corridor 無限 VR

今回体験してみて感じたのは、視覚の他に手や足といった勘違いさせる部分を多くすることで、脳の勘違いが実際の行動にも現れるということです。

今回の研究では、円形セットの周りを歩くという動きをまっすぐの道を歩いているように脳を勘違いさせていますが、逆にまっすぐの道をぐるぐる回っているように勘違いさせることも可能です。また今後はホラーコンテンツを作る可能性もあるそうですが、これでホラーを作ったら一生その世界に閉じ込めることもできるってことでしょ…? ああ…地獄だ……。

今後は明るい未来でいうと、エンタメ分野で応用させれば少ないスペースと、少ない費用でスリルのあるコンテンツを作ることが可能でしょうね。逆にディストピア的近未来では、一生VR世界の中で過ごす人なんかがでてきてもおかしくなさそうです。ただどっちの未来にも共通して言えるのは、すごくワクワクするということ。さてどんな未来が待ち受けてるか楽しみにしましょう。

source: 廣瀬・谷川・鳴海研究室

(K.Yoshioka)