「Beats by Dr. Dre」の音。それはレコーディングスタジオのラージモニターで聴く音

「Beats by Dr. Dre」の音。それはレコーディングスタジオのラージモニターで聴く音 1

巨大なスピーカーが作るラウドネスを再現したい。なるほど。謎が解けました。

ヘッドホンやイヤホンの音質をレビューするには、管楽器の伸びやかさ、シンバルのうねり、オーケストラヒットから判別できる楽器の数などなど、評価軸を決めてからスコア化していくのですが、人によって耳穴の大きさ長さに鼓膜のサイズ、装着したときの位置で音が変わっちゃうんですよね。体調でも音は違って聴こえます。ゆえに誰かの評価をそのまま鵜呑みにするのは危険。自分のフィールと合う、ジャーナリストや評論家を見つけないと危険です。

さて「Beats by Dr. Dre」のプロダクツの評価は、評価する人によって大きくわかれます。アコースティックなHi-Fiトーンを重視するジャーナリストや、音の精度と解像度から評価するオーディオ評論家からの言葉はキツめ。実は米ギズモードも苦言をポストしてたっけ。

でもユーザーの側を見ると、ポジティブな声が多いんです。「音が気持ちいいっ!」っていう。

ということは評論家のリファレンスと、ユーザーのリファレンスが違うということ。評価軸が違うということ。Beatsをジャッジするにはどこに軸足を置いたらいいのか。それを先日来日したBeats by Dr. Dre(以下Beats)の社長、ルーク・ウッドに尋ねてみました。

音楽のエモーションと興奮を伝えたい

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Beatsといえばドクター・ドレージミー・アイオヴァインの名前が先に挙がりますが、ルークの経歴もスゴい。「ニルヴァーナ」のプレス担当として音楽ビジネスの道を歩み出し、20年以上ゲフィン・レコード、インタースコープ・レコード、DGCレコード、ドリームワークスレコードなどでA&R(新人発掘~楽曲制作)を担当。前述したように現在はBeatsのプレジデントとして活動し、さらにはギターメーカー・フェンダーのディレクターでもあります

音楽業界がめちゃくちゃ熱かった時代から現在に至るまで、常に最新鋭の才能を見据えて育ててきた人物といっていいでしょう。

そんな彼いわく、Beatsは「アーティストが作った音楽をピュアに伝えていくことを目指している」。

レコーディングスタジオには複数のスピーカーが備わっています。取材会場となった都内のスタジオには小型のスタジオモニタースピーカーNS-10M STUDIOと、壁に埋め込まれたジェネリックのラージモニターがありました。NS-10M STUDIOの音はバランスを確かめるのにはちょうどいい。でも、ダイナミックかといわれると。まあ定位の確認用のスピーカーですもんね。

ルーク:ジェネリック(というかラージモニター全般?)の音にはエモーションがあるんだよ

どんな音が感情を揺さぶることができるのか。レコーディング中に起きたケミストリーを伝えることができるのか。アーティストとレコーディングエンジニアが共に感じた“この音、いいね”を届けたい。そういう意味での“ピュアさ”を重視した音作りをしているとのことです。

僕らはキックドラムのアタックを大事にしているんだ

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また電子楽器の発展により、昔は出せなかった低音がレコーディングできるようになったことも、Beatsの音作りに関係しているといいます。

ルーク:マッシブな低音が出せる現代だからこそ、それを表現できる再生機が必要なんだ。特にキックドラムのアタック。その表現を大事にしているよ。

日本には多くのオーディオメーカーがあり、そして日本のオーディオ市場には世界中のヘッドホンが集まっています。サウンドへの意識、クオリティの追求は日本はトップレベルにあると。それだけ多くのライバルがひしめきあう世界だからこそ、Beatsは独自の哲学をもっているんですって。

一見してわかるBeats。そのモノづくりのポイント

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ところでBeatsのヘッドホンは、どのモデルも一見しただけでBeatsだとわかるルックスを持っています。「b」のロゴだけじゃない。イヤーカップを覆うようにカーブしている太いヘッドバンド。色とりどりなカラーリング。Beatsに触発されたのか、一時期似たデザインのヘッドホンがあちこちで作られましたっけ。

Beatsらしいプロダクツの開発において、いったいどんなポイントを意識しているのでしょうか。

ルーク:デザイン、エンジニアリング、サウンドクオリティ。どれが欠けてもダメなんだ。

アルバムを作ったとしましょう。作曲、プレイ、レコーディング、マスタリング…で終わりではありません。アルバムのアートワークのデザインも、アルバム作りに欠かせない作業です。ヘッドホンも同じだと。製品のビジュアルメッセージは、エンジニアリングと同じく大事なのです。

ルーク:だから僕らはマーケティングにも時間を投資しているんだ。

届ける側の目線でクリエイティビティを共有

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取材会場には、世界中でハードでパーカッシブなスラップテクを披露しているギタリストのMIYAVIもいました。曲を作り、ステージでパフォーマンスして、パッション、エモーション、熱をオーディエンスと共有できたら幸せだというアーティストから見たBeatsはどんな存在なのでしょうか?

MIYAVI:メーカーというとテクノロジーだけに行きがちなことが多いんですけど、Beatsは届ける側の目線でクリエイティビティを共有できるんですね。

熱を感じる。Beatsとルークからは僕たちと同じ熱を感じるというMIYAVI。音楽性の一致がケミストリーを生むことを知っているMIYAVIとBeatsだからこそ、いいセッションができるようです。

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アスリートやデザイナーのインフルエンサーがつけているのもいいけど、空港で知らない人がBeatsのヘッドホンを着けている瞬間を見るのがいちばんクール」というルークと、「一人の音楽ファンであり、音楽を通じて人生を表現していきたい。キッズも聴けるマジなロックも作っていきたい」というMIYAVI。彼らの視点の先にあるのは音楽ファン。新しい世界を欲している音楽ファンにプロダクトとサウンドを届けたいという願いが感じられました。

ということは、Beatsの音をもっとも楽しめるのは最新のサウンドたちということなのでしょうね。最先端のロック、聴いてみたくなりました。MIYAVIの『Fire Bird』、買わなくちゃ!

source:Beats by Dr. DreMIYAVI

(武者良太)