氷が溶けて…冷戦時代の秘密の核実験場が姿を現わす

氷が溶けて…冷戦時代の秘密の核実験場が姿を現わす。

この未来は読めなかった…。

冷戦時代には、米ソ両陣営で数々の軍事作戦が秘密裏に展開されていたと耳にします。年中、厚い氷に覆われたグリーンランドには、米軍が進出して、敵国ソビエト連邦を射程に収めるミサイル基地が建設されていたことはご存知でしょうか?

その軍事施設は「Camp Century」とよばれ、1959年、グリーンランド北西の沿岸部から125マイル(約220km)内陸に入った氷上に、建設されました。

冷戦時代の秘密の核実験場が姿を現わす Camp Century

Camp Century全体の見取り図

この軍事施設の最大の目的は、「大陸間弾道ミサイルを北極圏から飛ばせるか」という実験を行なうことで、この背後には「核弾頭を搭載したミサイルを氷上から発射可能かどうか」という綿密なデータ収集があったとされています。

しかし、このCamp Centuryは、単なるミサイルの発射試験場ではなく、かなり本格的な軍事施設だったようです。最大で200名もの兵士や科学者たちが居住していたり、小型の原子炉が持ち込まれていたことが、現在では明らかになっています。

一時はまるで氷に包まれた小都市のように、ひそかなる賑わいもみせたCamp Centuryですが、建設から10年もしないうちに閉鎖されました。そして、あらゆる残骸廃棄物が、ほぼそのままの状態で放置されました。どうせ降り積もる雪に埋もれ、氷のなかで気づかれることもなく眠り続けることでしょうから~なんて思いながら。

ですが…コロラド大学の気象学者のJames White氏がこのようなコメントを出しています。

(放置されたものが)日の目を見ることにはなったであろう。だが、気候変動の影響により、アクセルが勢いよく踏み込まれたように、とんでもなく早く姿を現わしたと叫ばれんばかりの状況を迎えてしまった。

その気候変動とは、現代の地球温暖化でした。思いもよらぬ現代の環境問題によって、秘密裏に建設されていた軍事施設があらわになってしまったのです。いまや世界の氷河さえ驚くべきスピードで溶けはじめる時代。思わぬところへ、地球温暖化の余波が及んでしまったんですね…。

さらに、ヨーク大学のWilliam Colgan氏が率いる研究チームは、グリーンランドの氷が溶けだしてしまった場合の、Camp Centuryの廃棄物による環境被害の調査を行ないました。なんと現在でも、5万3000ガロン(約20万リットル)ものディーゼル燃料が現場に残っているほか、大量のPCBなどの有害物質や、放射能で汚染されたままの冷却水を含む下水6万3000ガロン(約24万リットル)が放置されたままになっているとのことです。

同調査によると、いますぐこのすべてが地球環境に危険をもたらすことはないものの、このままのペースで温暖化が進めば、今後75年以内に海へと流れ出し、深刻な汚染を広めると指摘されています。そして、誰がどうやって大量の廃棄物を処分するかも議論が必要だといわれています。

地球温暖化は、意外なところにまで影響を及ぼし始めています。もしかすると、こういう秘密基地が、ほかにも極地に隠れていたりするかもしれません。

images by US Army Corps of Engineers

source: Geophysical Research Letters

George Dvorsky - Gizmodo US[原文

(湯木進悟)