「無料でネット提供」には裏が…。Facebookへ高まる批判と危険

「無料でネット提供」には裏が…。Facebookへ高まる批判と危険

羊の皮をかぶった狼?

「まだインターネット接続環境の整わない恵まれない人たちへ、無料インターネットを! 」

そんなスローガンを耳にして、悪い気持ちになることは無いはずですよね。でも、よくよく話を聞いてみると、やっぱり裏があるんです…。

Facebookは、インターネットを使いたいのに使えない貧しい国や地域の人々へ無料でネットにつながる援助の手を差し伸べる「Free Basics」プログラムを発表しました。しかしふたを開けてみれば、激しい批判抵抗にさらされたのです。実際、すでにサービス提供に臨んだインドやエジプトでは、中止を余儀なくされる事態にまで発展しましたよ。

というのもFree Basicsでは、特定のサイトやコンテンツの通信を無料化する「Zero-rating」(ゼロ・レーティング)とよばれるサービスを使って、Facebookが用意したサイトやコンテンツのみアクセス可能です。わかりやすく言うならば、無料でアクセスできるのはFacebookだけ。もちろん、Facebook以外のページにもアクセスできるようですが、すべてFacebookの息のかかったところばかりなのは察しがつくでしょう。ライバルのTwitterやGoogleなどへアクセスが制限される、まさにFacebookワールドにしか繋がらない世界が広がっていくというわけですね。

おまけにFacebookは、Free Basicsを提供する見返りとして、登録ユーザーの個人情報を一手に管理し、広告戦略などへフル活用するのではないかと危惧されています。また、オープンで自由なネットとは異なり、Facebookが完全管理する閉ざされた世界なので、貧しい人々を集めた後にFacebookのやりたい放題な情報活用がスタートするとも懸念されているようですよ~。

そんなFree Basicsがまもなく、発展途上国のみならずついに米国内でもスタートする、という噂が頻繁にささやかれるようになってきました。というのも、Facebookのロビー活動が功を奏し、すでに政権の中枢まで独自のパイプが築かれて、Facebookに有利な規制や許認可を取りつけられやすい環境が整備されつつある、との噂でもちきりなのです…。

われわれの任務は、世界をインターネットでつなげることであり、米国内も含め、この任務の達成に向けて行なえる、あらゆる可能性を常に探っている。

今のところFacebookは、こうした一般的な声明を出しているだけで、どのように米国内でFree Basicsを実現しようとしているのか、当局へのアプローチの全容は一切公開されていません。ただし主な手段となるのは、携帯電話キャリアにZero-ratingの交渉を持ちかけ、Facebookの用意したサイトやサービス群へのアクセス時のみ、データ通信料を必要としない無料のインターネットを提供する方針のようです。

しかしながらFacebookは、VerizonやAT&Tといった米国内の大手携帯電話キャリアを避け、ユーザー獲得に悩む小規模の携帯電話キャリアへ、Zero-ratingの提供を申し出。この方法に対して、ある程度のユーザーを囲い込んだ時点で有料化へ踏み切り、結局のところは無料のネットほしさに飛びついたユーザーが食い物にされるだけだ、と批判が出ているんだとか。

Zero-ratingは、悪質かつ不公平、そして不要なものだ。

Harvard Law SchoolのSusan Crawford教授も、このようにコメントし、ネットの中立性に真っ向から対立するFacebookのアプローチを激しく非難しています。

インターネット=Facebook、そんな世界を構築できれば、Facebookにとって非常に好都合な展開にはなるでしょう。ライバル他社のサービスにも等しくアクセスを無料で提供する、真のFree Basicsが実現しない限りは、これからもFacebookへの批判は高まっていきそうです。

でももっと怖いのは、どれだけ非難されようとも、Facebookが政権に強い影響力を持ってしまい、反対意見など耳にも入れずにFacebookワールドの提供が開始されてしまうことでしょうか。米国がそんな世界になったら、なんとも不気味でしょうね。

Top image: Pan Xunbin via Shutterstock.com
source: The Washington Post

Adam Clark Estes - Gizmodo US[原文

(湯木進悟)