iPadは手術前の子どもに鎮静剤より効き目があることが実証される

iPadは手術前の子どもに鎮静剤より効き目があることが実証される

泣く子も黙る、iPad!

大きな手術を前にして、平静なままでいられる人なんているのでしょうか? ましてや小さな子どもたちが感じる不安ストレスは、大人の想像するレベルを超えていることでしょう。

このほど香港で開催されたWorld Congress of Anaesthesiologists(WCA)の年次総会において、鎮静剤や鎮痛剤よりも効果があるかもしれないガジェットの力を示す新調査レポートが発表されました。そして、病院で子どもたちをメンタル面でサポートするための、新たなアプローチの推進が提唱されましたよ。

同調査では、病院で麻酔を伴う大きな手術を受ける112名の子どもたち(4〜10歳)を対象に、術前後の精神安定度をチェック。麻酔導入時の催眠鎮静剤「ミダゾラム」を投与する代わりに、一部の子どもの患者にはiPadを渡し、そこに入った「Pet Salon」「Monster Dash」「Talking Tom」などのゲームで遊び続けてもらいました。すると、鎮静剤を服用しなかったにもかかわらず、iPadで遊び続けてから手術に入った子どもたちのほうが、術前後の不安やストレスは少なく、より精神的に安定していたとの結果が出そろいました。

今回の調査結果は、それほど驚くものではない。どんな形のものであれ、患者の気を紛らすことができれば、不安感は軽減される。映画を見せることが、子どもたちの不安を取り除くのに役立つことも実証されてきた。タブレットは子どもたちに馴染み深い存在となり、治療の前に気を紛らせる最良の手段になりえる。

今回の調査チームを率いた、フランスのHospices Civils de Lyonにて研究を進めるDominique Chassard博士は、こんなふうにコメントしています。そもそも、術前に子どもたちがミダゾラムで意識を失うと、麻酔効果は高まっても、なにが起きたのかがわからず、かえって術後に不安感が増す副作用が懸念されてきたそうです。しかしながら、iPadで遊びながら、より自然な形で麻酔が効いてくると、術後の精神安定度は良好だったとか…。

もちろん、子どもによって、どこまでiPadだけで気が紛らされ、鎮静剤まで不要になるかは異なることでしょう。とはいえ、調査結果では、iPadが鎮静剤や鎮痛剤の代わりになった子どもたちほど、病院や医者嫌いにならず、そんな子どもたちを眺める親も安心感が増したとされています。手術が近づいたら、好きなだけタブレットやスマートフォンで遊んでもいいだなんて治療方針の子ども病院が、これから増えてくるのかもしれませんね。

なお、同じような効果を大人の患者にも期待することはできないものか? それは、今後の調査に待たれるようです。病院が怖い大人でも、iPadで不安感が解消〜。いずれは、そんな治療スタイルが現実のものとなったりして。

source: HowStuffWorks

(湯木進悟)