偽薬とわかっていても、プラシーボ効果を得られることが証明される

偽薬とわかっていても、プラシーボ効果を得られることが証明される

頭でわかっていても、体はだまされてしまうんですね。

プラシーボ効果を得るには、患者をだます必要がある」というのが、従来の考えでした。しかし最新の研究で、慢性的な腰の痛みを抱える患者に偽薬と知らせつつ服用させたところ、なんとプラシーボ効果が認められたんです!

この研究の話を聞くと、シンプソンズのギャグを思い出します。スプリングフィールドに「大阪病」が流行したエピソードで、あるモブキャラクターがヒルベルト医師に「治してくれ!」と頼んだところ、「ヒッヒッヒッ、唯一の治療法は寝ることです。プラシーボくらいしか処方できませんね」と答えました。すると誰かが、「プラシーボはどこで手に入りますか⁉︎」とすかさず尋ねてくるのです。もちろん、プラシーボにその病気を治す効果はないので、これはギャグです。

プラシーボ効果は、薬や治療には何かしら身体的効果があるという私たちの期待を巧みに利用したトリックで、治療法ではありません。また通常は、大したことない一過性の効果しかありません。つまり、単純な思い込みというわけです。

しかし、サイエンスジャーナル「Pain」に掲載された新しい研究は、この従来の考えを覆し、たとえだまされているとわかっていたとしても、プラシーボ効果があることを示したのです。

この研究は、アメリカのマサチューセッツ州にある医療センターと、ポルトガルのリスボンにある大学の研究者たちによって行なわれました。彼らは、腰痛を抱える患者に対して、通常の治療と合わせて偽薬と伝えたうえで薬を与えることで、単に通常の治療を受けるよりも痛みが改善されることを初めて示しました。

実験では、約100人の慢性的な腰痛を抱える患者を対象としました。全患者はプラシーボ効果について、15分間の簡単な説明を受けた後、従来の治療法受けるグループと、明らかにプラシーボとわかる薬(容器に「偽薬」と記載されている)と一緒に通常の治療を受けるグループの2つに分けられました。

3週間の治療の終わりに、プラシーボありのグループは、腰の痛みの通常時と最大時の両方で30%の軽減が報告されました。一方、プラシーボなしのグループは、通常時は9%、最大時は16%の軽減でした。またプラシーボありのグループでは、痛みに関連する障害が29%減ったとのことです。しかしプラシーボなしのグループでは、そのような報告はありませんでした。

この研究論文の第一著者であるClaudia Carvalhoさんは次のように述べています。「我々の発見は、プラシーボ効果が患者をだますことなく働くことを示しています。被験者の方々は、何が起きるのか興味津々で、この奇妙な治療法を楽しんでいました。そして、彼らはその効果を感じたのです」

研究者たちは、プラシーボ効果は必ずしも患者の期待によって起こるものではなく、むしろ患者と医師という関係性によって生じるものとしています。共著者であるTed Kaptchukさんいわく「治療に没頭するのが良いのです。ここで言う治療とは、医師や看護師とコミュニケーションを取ったり、薬を飲んだりといった、医療的な行動様式やシンボルを意味します。体がこうした『治療』に反応してしまうのです」。彼は、このような行動様式が患者の症状を変化させ、脳に存在する症状を調整する領域を活性化させているのではないかと疑っています。

もちろんこの研究はとても面白い結果ですが、いくつかの注意点があります。それは、サンプル数が少ないことと、実験の期間が短すぎて長期的な効果については不明なことです。また他の病気を抱える人では、このプラシーボとわかって行なう治療に対して、どのような反応を示すかはわかりません。最後に研究者たちは、「さらなる研究が求められる。」と締めくくっています。

「思い込み」による影響:
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3D映画で気持ち悪くなっちゃうのは、実はただの思い込みだった

image by Pixabay
source: Pain

George Dvorsky - Gizmodo US[原文
(tmyk)