機械式時計を分解してわかった、魔術的とも言える魅力の理由って?

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腕時計もアナログが最先端?

カレンダーや手帳は勿論、カメラから音楽プレーヤー、ビデオカメラ、果てはPCまで。あらゆる道具がデジタル/小型化し、スマートフォンやスマートウォッチなどのウェアラブルデバイスに集約されていく現代。もはやデジタルや最新テクノロジーを使わない生活は考えられないほどですよね。

その一方で注目を集めているのが、クラシックカーやフィルムカメラ、アナログレコードといった、あえて手間がかかる道具たち。

それは最新スマートウォッチの登場に湧く腕時計においても同様で、アナログ時計どころか機械式時計が注目を集めています

この時代にフルアナログ。今、注目を集める機械式時計

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近年、若者を中心に機械式時計が注目されてきているんです

と話すのは、シチズン時計株式会社の企画担当の村本さん。

えっ、おじさんじゃなく若者に? なんか適当に言ってませんか?

「もちろん、時計を扱う会社にいるので肌で感じていた部分もありますが、実際に調査会社を使って若者から年配の方まで時計の需要調査をした結果、20代の人の機械式時計への関心が非常に高かったんです(村本さん)」

そもそも機械式時計の魅力ってなんですか?

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機械式時計の魅力をひとことで言えばロマンですね(村本さん)

たしかにフィルムカメラもアナログレコードも、それでしか得られない画質や音質もあるけれど、最終的な魅力はロマンかも。

“歯車がひとつずつ噛み合って動いている”という数学的/設計的な楽しさが詰まっているのはもちろんですが、伝統や技術の進歩の何十年、場合によっては何百年にもわたる積み重ねにロマンがあるんです(村本さん)

そして同じくシチズン時計株式会社の技術者である 中川さん。

機械式時計の基本設計は200年以上前に遡ります。現代においてクオーツやGPSのような技術革新が機械式時計に起こるということはあまりないんです。もちろん、新しい材料が開発されたり複雑な機構が追加されたりといったことはありますが、1日に数秒のずれが発生する機械式時計が、1年に数秒しかずれなくなるというようなことは起こらない。

でも、電子部品を使わない機械要素だけで製品を構成するので、可能な限り部品の加工精度を追求することが、すなわち時計の精度を追求することにつながります。どこまでも突き詰められるのが機械式時計のおもしろさですね。終わりがないんです(中川さん)

数百年かけて職人たちが繰り広げてきた、極限レベルでの設計/加工技術の勝負。目的はただひとつ、正確に時を刻むため。その血と汗が滲む歴史こそが機械式時計の魅力なのだといいます。

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そして、それは“勝てない勝負”でもあるのだそう。

機械式時計を突き詰めていくのは、ある意味技術を無駄使いするイメージなんです。電波時計やGPS時計のように、現代科学を応用すれば、精度は格段に上げられるし、昨今では携帯電話にも正確な時刻が表示されます。このような時代において、時計を単なる時刻表示機器として考えると、加工技術を追求し、機械式時計を作るのはある意味で無駄なんです。(中川さん)

しかし、腕時計にはそれ以上の価値があるといいます。

腕時計は身につけるものです。それはファッションであり、思想や姿勢の表明であり、時と場合に合わせたマナーでもあると思います。“時間を知る”以上の付加価値を求められ、提供できるのが腕時計の面白さなんです。そして技術の無駄遣いこそ、その時計を作る者のこだわりであり、腕時計を単なる時刻表示機器ではなく、モノとしての面白さを持った製品にしているのだと思います。(中川さん)

分解! 機械式時計の内にある宇宙とは?

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そんな魔術的とも言える魅力を持つ機械式時計。

歴史が紡いだ職人技術が可能にしたその内部機械を、特別に分解して見せていただきました。

今回分解したのは、シチズンが新たに発売する機械式時計「クラブ・ラ・メール」。機械式時計が見直されている現代において、20年ぶりに復活したブランドです。文字板の小窓からムーブメントの動きが見られる「Trad Open Heart」、そしてクラシックなデザインが特徴の「Port Cassis Automatic」の2種類があります。

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Port Cassis Automatic」(左)
クラシックな雰囲気の中にシンプルモダンのエッセンスが落とし込まれたデザインで、ヴィンテージ感を演出している。カーブを描いた文字板と、同じようにカーブを描いた針が時刻をしっかりと指し示し、時計としての機能を追及している。ボックス型に近い形状に加工したガラスにも注目。日付表示機能つき。
2万7000円〜(税抜)

Trad Open Heart」(右)
クラシカルなデザインが特長。エンボス加工で文字が浮き出た文字板に、丸みを帯びたリーフデザインの針がアンティーク感を演出し、文字板の七時位置の小窓からは機械の動きを楽しむことができる。小窓のエッジにはブルーのカットが施されており、細部に至るこだわりも特長。
2万5000円〜(税抜)

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ケースバックから覗くのは、ブランドロゴとコート・ド・ジュネーブと呼ばれる伝統的な縞模様の装飾が施された自動巻ムーブメント。

クラブ・ラ・メールでは、82系と呼ばれる40年の生産実績を持つシチズンのムーブメントを使っています。長きにわたり生産を続けているムーブメントだからこそ、その生産や品質は非常に安定しているそうです。

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そんな伝統的ムーブメントの中に広がるのは…

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※りゅうずは作業用のものです

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肉眼ではほとんど分からないほどの、微細な部品がすべて合致した、構築美。

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これらの部品すべてが噛み合うことで正確に1秒を刻む。まさに数学的な美しさ。

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写真中央の赤いクリスタルのようなものは、ルビー。他の部品と接触する箇所は摩耗してしまうことから、ダイヤの次に硬度の高いルビーを使用しています。

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部品ひとつひとつ、加工ひとつひとつに、40年に及ぶ歴史を感じます。まるでファンタジーの世界の建築物のようです。

磨き上げられた外装加工の技術

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そして今回、ムーブメントの精緻な設計や組み立てと同様に目を引いたのが、外装や文字板の美しさ

機械式時計の基本的な設計は200年前からきているとのことでしたが、外装加工の技術は今も着実に進化しているのだそうです。

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クラブ・ラ・メールのケースは、ヘアラインとミラー面のコントラストで美しさを表現していますが、昔の時計よりもはっきりと稜線を出せるようになっています。工作機械の性能が上がっているので、時計の仕上げはより美しくなっています。

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Trad Open Heart」モデルの文字板に関しては、ヴィンテージ感を出すために1枚の文字板をプレスし、立体的に文字を盛り上がらせるエンボス加工を施しています

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同じく「Trad Open Heart」に採用されているのは、スイス製の伝統的な時計にもよく使われる「リーフ」と呼ばれる形状の時分針。アンティーク感の演出に一役買っています。

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よりモダンなモデルである「Port Cassis Automatic」の針は、先端が曲がったカーブ針。こうしたカーブが、より意思を持ったように時刻を指し示すことで、時計にディテールの魔法をかけていくのだそう。

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絶妙に端が落ちていくカーブ文字板。これもかつての腕時計の文字板に見られた意匠のひとつ。元々は設計上の都合で施していたカーブですが、現代の技術であえて再現しています。

まさしく技術の無駄遣いと言うべきか、こだわりと言うべきか…。

歴史が紡いできたムーブメント内部の深遠なる世界、そして外装における最新技術を使った細部への飽くなきこだわりの融合。

それこそが、まさしく“現代の機械式時計”のひとつの答えなのだと感じさせられる体験でした。

歴史が紡いだ伝統技術と最新技術が生んだ“新しいクラシック”

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しかも驚くべきは、今回分解して見せてもらった「クラブ・ラ・メール」が「手の届く機械式時計」をコンセプトとした、2万円台からの価格帯だということ。伝統的なムーブメントを使うことも含め、これまでの腕時計の積み上げがあってはじめて、この価格でここまでの製品を出せるのです。

今回取材させていただいた企画担当の村本さん、そして技術者の中川さん、分解を担当していただいた清水さんともに20代の社員。「クラブ・ラ・メール」は、そんな若くして、機械式時計に魅了された人によって、現代に蘇りました。テクノロジーの進歩によってさまざまなものが効率化される今、ロマンと温かみに溢れた伝統技術が見直されるばかりでなく、最新技術との組み合わせにより新たな魅力を持つという“現代の機械式腕時計”は、まさに今この時代に生きているからこそ楽しめる贅沢な逸品なのかもしれません。

source: CLUB LA MER

(執筆:照沼健太、撮影:小原啓樹)