父親の加齢は、子どもへの遺伝的リスクの伝わり方に影響する

父親の加齢は、子どもへの遺伝的リスクの伝わり方に影響する

若ければ問題ないというわけでもないようですが…

近年、自閉症スペクトラム障害や注意欠陥・多動性障害などの発達障害を患う子どもたちが増えているそうです。発達障害になる詳しい原因は明らかになっていないものの、神経発生やシナプス形成に関わる遺伝子をはじめ、800個以上の遺伝子が関係するとされています。また、これら遺伝子の他に環境的な要因が複雑に絡んでいると考えられおり、そのひとつとして、晩婚化に伴う父親の高齢化の影響が指摘されています。

このほど東北大学大学院医学系研究科の大隅典子教授および吉崎嘉一助教授が率いる研究チームは、自閉症スペクトラム障害との関連が示唆されている「Pax6」遺伝子の変異父親の加齢が子どもに与える影響を調査。その結果、遺伝的リスクの次世代への伝わり方が、父親の年齢によって異なることが、世界で初めて実証されました。

研究では、生後3か月の若齢と生後12か月の高齢の2グループで父親マウスを用意。それぞれのマウスから得られた精子で、体外受精によって誕生したPax6変異を有する子どもマウスの行動を解析しました。すると、高齢の父親マウスから生まれたPax6変異マウスのみ、自発運動量の異常な増加が認められました。同じPax6変異マウスでも、若齢の父親マウスから生まれたものには、そのような行動異常は認められなかったとのこと。

とはいえ、若齢の父親マウスから生まれたPax6変異マウスは、子どものマウスが母親とコンタクトをとるために発する鳴き声である、超音波発声が低下するという、母子分離コミュニケーションの異常が見られました。これらのことから、同一の遺伝子変異を有するマウスでも、父親の年齢によって、遺伝的なリスクの伝わり方が異なることが示されました。

発達障害の病態基盤は、いまだ解明されておらず、確たる治療法は存在していません。同研究チームは今後、父親の高齢化が、どのようにして次世代の行動様態に影響をおよぼすのか、その分子メカニズムを解明し、発達障害への理解を深めたいとの方針を明らかにしています。さらなる発見が進むといいですね。

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source: 東北大学
(湯木進悟)