「秋のヘッドフォン祭 2016」で見てきた次世代ヘッドホンの眉目形

「秋のヘッドフォン祭 2016」で見てきた次世代ヘッドホンの眉目形

良音響へのデジタルアプローチ、高まってきました。

2016年10月22日および23日。東京・中野の中野サンプラザで開催された「秋のヘッドフォン祭 2016」を見学してきました。日本におけるポータブルオーディオ文化を支えてきたといえる名イベントで、日本のメーカーの品だけではなく世界各国から最新のヘッドホン/イヤホンなどが集結する場。次節のトレンドを占う意味でも外せません。

音の出口となるヘッドホン/イヤホンは、アナログ的なアプローチ(精緻な作り込みが音質を大きく向上させる)をどこまで追求できるかが1つのポイントとなります。同時に世界的なBluetoothワイヤレス機のムーブメントや、デジタル技術の進化によって、新たな構造をもつモデルも出現してきました。今回は「秋のヘッドフォン祭 2016」で見かけたモデルから3つ、ギズモード的にデジタル的なアプローチがキラっと光っているモデルをご紹介します。

リスナーの耳の形に合わせてチューニングを変えるAKG N90Q

「秋のヘッドフォン祭 2016」で見てきた次世代ヘッドホンの眉目形2

AKGブランドの「N90Q」はCES2015で発表されたモデル。満を持して、ついに日本市場へと殴り込みです。JBLブランドの「EVEREST ELITE700」「EVEREST ELITE300」にも採用された、耳の形に合わせてオートキャリブレーションを行なうTruNote機能を採用。強力なノイズキャンセリング機能と、USBデジタル接続機能も取り込んでいます。

このTruNoteがスゴい。通常の状態で聴いていてもクリアでハイレスポンシブなトーンですが、耳のなかの反響を抑えるセッティングを行なうと音場がもう一段クリアになるんです。昔っからオーディオ雑誌で使われてきた「1枚ヴェールをはがしたような」の、アレ。あの感覚を誰でも体験できるんですよ。

公式通販価格が17万8000円というハイエンド機ゆえに、自宅での運用が主となるでしょう。でも、もしかしたら外でも使いたくなるかも。そこでiOS/Androidそれぞれのリモコンがつくアナログケーブルも付属します。ん? モバイルでのデジタルワイヤードは無理なんですか?ときくと、「現状は」とのお答え。もしかして今後のアップデートで対応するかも?

フルデジタル×フローティング平面ドライバーのクラリオンZH700FF

「秋のヘッドフォン祭 2016」で見てきた次世代ヘッドホンの眉目形 1

0と1のデジタル信号でそのまま振動板を駆動させる、Digital to Digitalなヘッドホンの開発に勤しんでいるクラリオン。今期はドライバー部分を刷新し、「ZH700FF」にはフローティング構造の平面ドライバーを載せてきました。

エッジレスな振動板をマグネットで挟み込み、振動板をひずませることなくどの帯域もフラットに駆動させることに注力。その音は著しくクリア。アコースティックなトーンの再現力は、まるで無限段階のグラデーションをみているかのよう。約14万円というプライスにも頷けます。

構造上多くの回路を搭載しなくてはならず、ケーブルを含まない質量は約510gとヘビー級。柔らかく大らかなイヤーパッドで試聴時は重さを感じなかったものの、ロングリスニング時には負担となるかも。個人的には軽量モデルへのチャレンジが見てみたい、かな? 

Bluetoothワイヤレスでハイレゾを再現するATH-DSR9BT/ATH-DSR7BT

「秋のヘッドフォン祭 2016」で見てきた次世代ヘッドホンの眉目形 2

圧縮伝送のBluetoothは音が悪いと言われ続けてきましたが、そういった声は「ATH-DSR9BT」が一掃するかもしれません。同機は24bitのハイレゾ音源をワイヤレス伝送するコーデックaptX HDに対応しているのですから。ソニーのLDACと真っ向からの勝負、ですね。

また前述した「ZH700FF」にも採用されているデジタル信号処理技術Dnoteを取り入れているのも特徴。ハイレゾワイヤレス×フルデジタルという、新たなトレンドを作りそうなアーキテクチャの集合体といっていいでしょうね。アナログ入力がない、という割り切った仕様なところも“オーテク、攻めてるなー”感が。

「ATH-DSR9BT」の価格は約6万5000円。同様のデジタル構造で下位モデルの「ATH-DSR7BT」は約3万5000円。いずれもクリア&クリーンでパアッとした見晴らしのよさが気持ちいい。今回紹介したモデルの中では現実的なところにも魅力アリですね!

source:フジヤエービック

(武者良太)