CIA「ロシアは米大統領選を選挙操作してた」

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CIA「ロシアは米大統領選を選挙操作してた」 1

どんな鉄壁をも崩すハッカー集団。中国が「パンダ」なら、ロシアは「Bear(熊)」と呼ばれています。

この熊が米大統領選介入を陰に日向に行なっていた確証がいよいよ強まり、オバマ大統領が中央情報局(CIA)、米国家安全保障局(NSA)などに徹底調査を行なうよう命じました。任期終了前に議会に報告します。

この9日の発表に合わせてWashington Postは、「ロシアがトランプ当選支持の介入を行なったと、CIAは結論付けた」と報道。「自由社会の根幹を揺るがすサイバー攻撃だ」と、情報公開を求める動きが議会の両党議員に広まっています。

もちろんトランプ次期大統領はカンカンです。「大量殺戮兵器があるとか騒いでいた情報機関の言うことなんか誰が信じる」と声明を発表。「不正侵入なんて中国かもしれないし、国内のどっかのハッカーかもしれないだろう」と各所で発言し、早くもインテリジェンス・コミュニティーすべてを敵に回し、対決姿勢を強めています。

両党ハック、片方だけリーク

ロシアのハッカー集団は民主党全国委員会(DNC)だけでなく、実は共和党全国委員会(RNC)のシステムにも不正侵入していたらしいのですが、WikileaksにはDNCで入手したクリントン陣営の情報のみをリークして選挙を妨害し、RNCで入手したトランプ陣営の情報は一切公開しなかったんだそうですよ? 

以下はWashington Postからの引用です。

民主党全国委員会の数千件のメール(クリントン陣営の選対部長のメールを含む)をWikiLeaksに公表した攻撃者を諜報諸機関が特定したところ、ロシア政府とつながりのある集団とわかったと複数の米政府高官は語っている。米国のインテリジェンス・コミュニティーと対ロシア関係者の間では、トランプを優位にし、クリントンにダメージを与える工作員との見方が広まっている。

「ロシアの狙いは一方の候補に肩入れし、トランプを当選に導くことだったというのが、インテリジェンス・コミュニティーの一致した見解だ」(政府高官)

(中略)CIAは先週(12月第1週)、主な上院議員を極秘に集めて分析結果を報告した。証拠はさまざまな筋から集まっており、トランプ当選がロシアの狙いだったということは「かなり明白だ」ということだ。

隠ぺいされたサイバー攻撃

この記事で一番衝撃なのは、しかし、最後の最後のところです。オバマ大統領はハックの情報をもっと早い段階で国民に公表したかったのだけど、クリントン候補に肩入れしているとみられるのを恐れたのでした。

そこで苦肉の策として考えたのが、「ロシアのサイバー攻撃から投票登録と投票マシンを防衛する支援を国に要請するよう、州と市町村に呼びかける両党共同声明を議会に発表してもらう」という回りっくどいアプローチ。さっそく上院と下院の大物議員を極秘で招集して頼んでみたんです。ところが…

攻撃には厳戒態勢で臨むということで民主党上層部は全会一致だったが、共和党上層部は意見が割れ、ホワイトハウスの要請を拒む議員も最低2名いた。

ミッチ・マコーネル上院共和党議員に至っては、証拠の情報に疑問を投げかけ、ホワイトハウスが公にロシアを非難する行為それ自体を自分は党利党略行為と受け止める、と政府に言う始末だった(政府高官複数の談話)。

大統領選の終盤でこのような爆弾情報を投下したら、国民の信用が揺らぎ、それこそモスクワの思うつぼだ、と主張する共和党議員も何人かいた。

ごぴょ~ん。こうしてサイバー攻撃の情報公開は阻まれてしまったというわけです。選挙後、このマコーネル上院議員の妻のイレーン・チャオ夫人はトランプ氏に運輸長官にいち早く指名されています。

2つの熊

ハックした集団について、The New York Timesはこんな風に伝えています。

諜報機関高官と民間サイバーセキュリティー各社によると、民主党全国委員会(DNC)のシステムに侵入したのは2つのロシアのサイバー軍で、ひとつはコードネーム「コージーベア(別名A.P.T. 29)」で、DNC、政府、政治団体のコンピュータネットワークに何カ月も居座っていたものと見られている。

もうひとつは「ファンシーベア(別名A.P.T. 28)」で、Guccifer 2.0とDCLeaksという名前で民主党の文書をネットに公開し、WikiLeaksを通して11月8日の投票日まで数週間に渡ってリークし続けた。

いちおう11月の段階でジュリアン・アサンジ氏は「情報源はロシアではない」と言ってましたけど、相手はロシア国営メディアのRTですからねぇ…。

もっと選挙結果に直結するハックの証拠が欲しいところですが、これはまだよくわかっていません。投票結果そのものより、もしかしたら投票と政治への信用を揺るがすことがプーチンの目的なのではないか、という声もあります。だとすれば、その目的はもうほぼ成功したと言ってよさそうです。

ロシアに肩入れされたことで、トランプ氏の言動はすべて「ロシアの操り人形」という目で見られることになりますからね。

トランプ氏は歴史的圧勝と言っていますが、選挙人票は歴代58人中46位、一般投票に至っては史上ワースト3の260万票差で負けてます。外国政府による選挙介入が事実なら開票再集計どころか、「海外では再投票になる話だ」とCNNに言っている元CIA諜報員もいて、まだまだ騒ぎは長引きそうですよ。

それにしても自分の党に肩入れしていると思われるのが怖くて、大統領選のサイバー攻撃という国家の一大事も発表を見合わせるなんて…オバマさん弱すぎます。米Gizmodoの読者からはこんなコメントも出てます。

「一番頭くるのはオバマ政権だ。起こっていることを知りながら、何もしなかった。こういう時のためにオバマはいるんじゃないか。TVに朝から晩まで出て、前例のない不正操作が某国から行われていると全国民に警告するのが筋ではないか。人にどう思われようが、そんなことどうでもいいだろう? 正しいことだという信念があれば。政治の失脚のことばかり恐れて言いたいことも言わない。だから今の民主党はダメなんだ」

いやまさに。

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image by Boing Boing
source: Washington Post, The New York Times, Reuters
参考: IB Times, The Atlantic, CNN

Rhett Jones - Gizmodo US[原文
(satomi)