音量増大、デジタル録音、遠隔診断、マシーンラーニング...スマート聴診器が診断を変える

音量増大、デジタル録音、遠隔診断、マシーンラーニング...スマート聴診器が診断を変える

じわじわくる素晴らしさ。

テクノロジーについて記事を書いている人間としては、「◯◯に革命が起きる」とか「新しい時代の幕開け」とかむやみに言いたくないわけです。最初は感動しても、使ってみると大したことなかったり、影響が意外に小さかったりすることは多々あります。

ところが、たまに第一印象がイマイチで、しかし理解を深めるにつれてじわじわと素晴らしさが襲ってくるスルメ味のテクノロジーと出会うことがあります。このデジタル聴診器「Eko」がその一つ。

ふーん、聴診器がデジタルになって聴こえやすくなったの?すごいね。と終わってしまいそうになりますが、それだけではないんです。

もちろん、聴こえやすくなったのも確か。なんとEkoは従来のアナログの聴診器の40倍にまで音量を増大することができるそうです。またデータで保存でき、シェアをすることで専門医からのセカンド・オピニオンの獲得が容易になります。それに難病研究・治療などのコラボレーションにも使えます。さらに音と診断のデータベースを作ることで、マシーンラニングを応用してアルゴリズムによる高精度な診断まで開発が開始されているんです。

デジタルの聴診器はこれまでも存在していたそうですが、Ekoは、デジタルで録音した心音をワイヤレスにスマートフォンアプリに送信でき、しかも医療におけるプライバシーとセキュリティーに関する法律HIPAAにも遵守。医者がアナログで心音を聞きたければアナログに切り替えることも可能。そんな聴診器は世界初だそうです。しかも値段は2万円ほど($199)からということでお手頃。

音量増大、デジタル録音、遠隔診断、マシーンラーニング...スマート聴診器が診断を変える 1

Eko Devicesによると、アメリカでは半分以上の子どもが、心音に雑音のようなものが聞こえると診断されることがあるそうです。多くの人にとって馴染みのある診察なわけです。

The Next Webのレポートでは、Eko Devicesの創立者でありCOOであるJason Belletが次のように話しています。

大部分の臨床医にとって、ただの雑音と病的な心音の区別をつけることはたいへん難しいことです。80%の内科研修医は雑音について誤診をしてしまいます。ただ音量を大きくしてくれるデジタル聴診器を作るだけでなく、安全に録音、保存ができ、メモを記入して専門家とシェアすることでセカンド・オピニオンを得るのに使えるデバイスを作ろうとしたのです。

デジタルなのでデータを遠隔に送って、専門医のアドバイスをもらうのがすごく簡単ですね。遠いところまでわざわざ訪ねる必要がないわけです。しかもセキュリティ面もちゃんと対策されているのも素晴らしいです。

現時点でEkoを使って心音と肺の音を聞いている臨床医は3,200人、施設の数は400にものぼるとのこと。

デバイスはFDA(米国食品医薬品局)とカナダ保健省にも承認されており、2017年にはEUにも普及させていく予定だそうです。

デジタル聴診器とソフトウェアの承認が降りたということで、今後は音と診断のデータベースを元に、マシーンラーニングを使って正確な診断がどんな医療関係者でもできるようにしたいと考えているようです。

すでに診断を補助するためのアルゴリズム開発は開始されており、アルゴリズム第一弾は2018年に配信予定だとか。

そのうちスマートウォッチなど、ウェアラブルが高精度な診断をしてくれるようになるのかもしれませんね...!

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images: Eko Devices
source: The Next Web, Eko Devices 1 , 2
(塚本 紺)