アメリカ大統領選挙の鍵は『ウォーキング・デッド』の視聴者だった?

アメリカ大統領選挙の鍵は『ウォーキング・デッド』の視聴者だった? 1

ウォーカー(ゾンビ)嫌いは移民に反対?

世界的に大きな話題となったアメリカ合衆国大統領選挙ですが、PAJIBAが取り上げたForbesのインタビューによると、ドナルド・トランプの義理の息子(イヴァンカ・トランプの夫)であるジャレッド・クシュナーは選挙キャンペーンのためにビッグデータを解析、活用したそうです。

どうやら、特定のテレビ番組の視聴者に向けて、特定のCMを流していたことがトランプ大統領の勝因のひとつのようなのですが……。以下にはドラマ『ウォーキング・デッド』のネタバレが含まれていますので、ご注意ください。

クシュナーによると、ドラマ『NCIS 〜ネイビー犯罪捜査班』の放送中には反オバマケア(医療保険制度改革)をテーマにしたCMを流し、ドラマ『ウォーキング・デッド』の放送中には移民反対主義を唱えるCMを流したとのこと。

『NCIS』の視聴者は年配の富裕層の保守派が多く、病院のお世話になっている世代が多いそうです。そのため、貧困層と若者に利点が多い医療保険制度改革には、賛同しない人たちが多いと考えるのは自然なのかもしれません。

一方で、人ではなくなってしまった存在から平穏な暮らしを脅かされる恐怖を描いている『ウォーキング・デッド』の視聴者の多くが、実際のところ移民に反対しているのかどうかの確証を得るのは難しいと考えられます。

しかし、『ウォーキング・デッド』はアウトサイダーへの恐怖、そして「見知らぬ人間を信用してはいけない」といったメッセージの感じられる作品です。Movie Pilotが記述しているように、本作に登場するさまざまな人種の役者たちの人数のバランスが、実際のアメリカの人種別の人口の割合に近いことから、「人種のるつぼである全アメリカ国民 vs これからやってくるであろう不法移民」という図式を考える必要があります。

選挙CMはミシガン、ペンシルバニア、ウィスコンシンで放送され、その時『ウォーキング・デッド』の本編では、人間のニーガンが自慢の有刺鉄線バット「ルシール」同じく人間である主人公のリックたちを絶望のどん底へ突き落とすという、ショッキング極まりないシーンが流れました。

次の瞬間にドナルド・トランプが「これから何百、何千もの難民が大挙して流れ込んでくる。我々の仕事を奪い、テロリズムが横行する」と移民反対を訴えるCMが流れると、視聴者の脳裏では本編のショッキングな映像とCMのインパクトが結びつく可能性があります。

さらに、『ウォーキング・デッド』に登場するゾンビたちの侵入を防ぐ巨大な壁で囲われた居住地区・アレクサンドリアは、トランプの「国境に壁を作る」という主張にリンクしてもおかしくはありません。

クシュナーはドラマのテーマだけでなく、進行中のストーリーもビッグデータとして扱うことで、巧みに有権者の心理に訴えかけることに成功したのかもしれません。
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image by PAJIBA
source: PAJIBA, Forbes, Movie Pilot

岡本玄介