ドナルド・トランプ政権発足から1週間。サイエンス・テック界がこうむった災難まとめ

  • カテゴリー:
  • News

ドナルド・トランプ政権発足から1週間。サイエンス・テック界がこうむった災難まとめ 1

なんかこの1週間だけで、二酸化炭素濃度上がった気がする。

ドナルド・トランプ政権発足から1週間経ちましたが、この1週間というもの、ホラーのない日がありませんでした。すでにいろんな決断が次々と発信されてますが、特にサイエンスやテクノロジー、医療関係で悪いニュースが立て続けに発生しています。環境政策やらオバマケアやら、トランプとその取り巻きが破壊しようとしている、またはもう破壊してしまったものを以下にまとめます。

ドナルド・トランプ政権発足から1週間。サイエンス・テック界がこうむった災難まとめ 2

image: Drew Angerer/Getty Images

地球が恐怖で泣いてます

気候変動を心配していた人には、朗報かもしれません。というのはホワイトハウスによれば、気候変動なんてそもそも存在しないらしいんです。新政権によるホワイトハウスのウェブサイトは気候変動に言及した部分をすべて削除し、この記事翻訳時点では、「気候変動(climate change)」で検索しても結果はゼロです。

トランプ政権は、従来の環境対策の方針をまとめた気候行動計画や水資源保護に関するルールを「有害で不要な政策」と断じて廃止させようとしています。その代わりにトランプ政権が打ち出してきたのは「America First Energy Plan」なるもので、それを実行すれば賃金が上がるといって環境問題を経済問題にすり替えています。またそこには「クリーンな石炭」なるものを復活させるとも謳われてるんですが、そんなもの現実的にはほぼ存在しません。

環境保護庁への威嚇

1月23日、トランプ政権は環境保護庁(EPA)に対し、環境保護活動への補助金の凍結外部とのコミュニケーション停止命令しました。その後26日には補助金が再開されたというUSA Todayの報道がありましたが、「その気になったらいつでもカネを止められるんだもんね」という大統領のメッセージは、環境保護活動に携わるすべての人を震撼させました。

命令の翌日、EPA職員のひとりはJalopnikに対し彼らが「包囲されて」いて、「リアルな恐怖感がある」と語りました。トランプ氏はEPAの予算と人員を削減したがっていると言われています。

国立公園局にツイート禁止令

ドナルド・トランプ政権発足から1週間。サイエンス・テック界がこうむった災難まとめ 3

image: Alex Wong/Getty Images

トランプ氏の大統領就任式はバラク・オバマ元大統領の2009年の就任式に比べてはるかに閑散としていましたが、彼自身それにある程度傷ついていたようです。彼は国立公園局のTwitterアカウントがその事実をRTしたことで激怒し、同局のツイート禁止を命じました。その後同局のアカウントは謝罪とともに再開されましたが、The Washington Postによれば、トランプ氏はわざわざ国立公園局の責任者に電話をかけさせて叱責したそうです。またそのとき、彼の就任式参加者が報道されているより多かったことを示すような写真を探せと要求したそうです。

そんな中、サウスダコタ州のバッドランズ国立公園の勇者は気候変動に関するデータをいくつかツイートしました。すぐ削除されたものの、それはトランプ政権に対するジャブだったと考えられています。

農務省にも箝口令

農務省職員に対しても、「対外的文書」の発表を禁止するメールが送られました。「対外的文書」とは、プレスリリースからツイート、写真まであらゆるものです。箝口令は25日には撤回されたそうですが、ある匿名の人物は米Gizmodoに対し一部の制限はそのままになっていると言っています。

環境破壊必至の石油パイプライン

トランプ氏はまた、キーストーンXLパイプラインダコタアクセスパイプラインの建設を進めるための大統領令に署名しました。どちらも今まで環境保護団体からは強く反対されていたものです。

医療保険制度は元の木阿弥か

トランプ氏はまた、オバマ前大統領が成立させた「Affordable Care Act」、通称オバマケアを廃止するための大統領令に署名しました。オバマケアに関して共和党は、トランプ大統領就任前から、上院議会で廃止手続きに向けて着々と動いていました。

米国は国民皆保険制度ではないので、お金がなくて保険に入れない人がたくさんいたのですが、オバマケアによって2000万人が新たに保険に加入できたと言われています。トランプ氏はオバマケア廃止後もその人たちが保険から外れないようにすると言ってはいますが、問題は保険加入有無だけじゃありません。たとえばこれまでオバマケアのおかげで低負担で受けられたHIV治療の自己負担額とか、女性の避妊薬の費用とか、いろんなものが先行き不透明になっています。

発展途上国の医療にも影響

別の大統領令では「口封じの世界ルール(global gag rule)」とよばれるものを復活させました。これは、米国外で妊娠中絶を支援するNGOに対して資金提供を停止するルールです。基本的に米国ではトランプの属する共和党が中絶反対、民主党が中絶賛成の立場を取っていて、このルールも政党の違う大統領が就任するたびに廃止されたり再開されたりしています。ただ今回は、単にこのルールが復活しただけでなく、対象となる団体の範囲がより広くなりました。

この決定で米国からの資金が受けられなくなる団体のひとつ、国際家族計画連盟は、過去にこのルールが導入されたときは中絶件数は減少せず、むしろ意図しない妊娠と、危険な方法での中絶が増えたと指摘しています。

ネット中立性もどうなることか

ドナルド・トランプ政権発足から1週間。サイエンス・テック界がこうむった災難まとめ 4Pool/Getty Images

23日、連邦通信委員会(FCC)の長官にアジット・パイ氏が指名されたと発表がありました。パイ氏は以前、ネット中立性を政府が押し付けると、北朝鮮みたいな独裁国家の検閲を批判しにくくなるという否定的な意見を出していました。って、ネット中立性の原則はむしろ、コンテンツによってアクセスをブロックしちゃいけないっていう、検閲とは真逆な立場なんですが…。まあでも、わざわざ北朝鮮を引き合いに出してくるあたりで、この人がネット中立性のファンじゃないってことだけはよくわかりますね。

というか、大統領のセキュリティー

トランプ氏はいまだに古い、セキュアじゃないAndroid端末を使っているようです。オバマ氏は大統領就任時に個人の携帯電話使うのをやめたんですが、今のところトランプ氏に関しては、説得できる人がいないみたいですね…。


…1週間で、こんなにあります。他にも、政府機関による環境系のイベントがトランプの顔色をうかがってこっそり自粛され、『不都合な真実』のアル・ゴア元副大統領によって復活されたりしています。でも他にも自粛しちゃったもの、これからされるもの、きっとありますね…。

この状況に危機感を感じた科学コミュニティーでは、「March for Science」という抗議活動を計画しています。これまた、トランプの就任式よりたくさんの人を集めるかもしれません。

トランプの移民入国拒否の大統領令でテック界がパニック!

top image: Pool/Getty Images
source: USA Today, Jalopnik, TIME, The Washington Post(1, 2), IPPF, The Hill

Libby Watson - Gizmodo US[原文
(福田ミホ)