謎につつまれた深海魚「ゴーストシャーク」の祖先が明らかに

謎につつまれた深海魚「ゴーストシャーク」の祖先が明らかに

深海の謎がまたひとつ明らかに。

ほとんど実態を知られていなかった謎の深海魚、「ゴーストシャーク」(ギンザメ目ギンザメ科)が自然下で撮影された貴重な映像がMBARIによって公開されました。こちらがその動画です。

ガイコツっぽい頭部に、緑色に反射する巨大な目、笑っているように見えるブキミなジョーカーフェイス。シュールな悪夢に出てきそうです。

実は「シャーク」とは名ばかりで、サメやエイをふくむ軟骨魚網という脊椎動物の仲間に分類される以外、サメとは似ても似つかぬ生物なんだそうです。ゴーストシャークは大きな目が特徴的ですが、あまりにデカすぎて眼窩が脳のかたちを圧迫しているらしいです…。ほかにも、翼のような胸びれや、すり鉢状に並ぶ小さな歯はサメと対照的ですし、オスは伸縮性の性器をなんとおでこにそなえているそうです。この特異さゆえに別名「キメラ(キマイラ)」とも呼ばれ、進化の過程も謎につつまれてきました。そもそも、体が軟骨でできているため化石化しにくく、祖先をたどることが困難でした。

ところがこのたび、シカゴ大学Organismal Biology and Anatomy学部に所属するMichael Coates教授が、ゴーストシャークの祖先を突き止めたというニュースが入ってきました。Nature誌で発表された研究によると、ゴーストシャークは「Dwykaselachus oosthuizeni」(D. oosthuizeni)という、約2億8千年前のサメのような魚から進化したのではないかと考えられるそうです。

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「Dwykaselachus oosthuizeni」のイメージ画
ゴーストシャークのもっとも古い祖先と考えられ、巨大な目は暗い海にも適していた
(image: Kristen Tietjen)

この大発見のカギとなったのが、1980年代に南アフリカで発見された「D. oosthuizeni」の化石でした。アマチュア化石ハンターのRoy Oosthuizen氏が自分の農地で見つけた石を割ってみたところ、魚の頭蓋骨がほぼ完ぺきな状態で発見されました。発見された当初は、外見がよく似ていたためSymmoriid種という3億年前のサメではないかと考えられていましたが、Coates教授の研究チームが最新の高性能マイクロCTスキャナーを使ってこの頭蓋骨の内部を調べたところ、ゴーストシャークにそっくりな特徴をいくつも発見しました。

また、3Dプリンターで頭蓋骨とその中の脳神経や鼻孔のかたちを再現してみたところ、現在のゴーストシャークにあまりにそっくりなので、「D. oosthuizeni」はゴーストシャークの祖先だと結論づけられたそうです。

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マイクロCTスキャンと3Dプリンターで再現された「D. oosthuizeni」の頭蓋骨
眼窩が異様なほどに大きいことがわかる
(image: Michael I. Coates et. al., 2017)

「D. oosthuizeni」に見られる大きな眼窩により、約2億8千年前に生きていたこの魚も光の少ない環境に適応していたのではないかと推測されるそうです。Symmoriid種という古代のサメから進化し、このように深海で生き延びる術を身につけた「D. oosthuizeni」は、独自の進化を遂げて今日のゴーストシャークに至ったと考えられます。かたや、Symmoriid種は適応できずに絶滅してしまいました。自然の厳しさをあらためて思い知らされます。

地球上最後のフロンティア、深海。その秘密を探ろうと、人類は技術の発展とともに小型潜水艦無人潜水機を送り込み、これまでにもギズモード・ジャパン編集部イチオシのデメニギスや、とってもエイリアンな姿の深海魚などを発見してきました

今後どんなヤツが出てくるんでしょうか。深海生物、まだまだ謎が深いです。

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top image: Monterey Bay Aquarium Research Institute (MBARI)
source: Nature, UChicagoNews

George Dvorsky - Gizmodo US[原文
(山田ちとら)