銃犯罪はウイルスのように伝染することが判明。さらに犯罪の予測も可能になるかも...

銃犯罪はウイルスのように伝染することが判明。予測可能になる一方で懸念も

まさに『マイノリティ・リポート』。

Journal of the American Medical Association(JAMA)に掲載された研究によると、伝染病のモデルを使うことで、銃による暴力の犠牲者を追跡・予測することが可能になるそうです。

この研究は、イエール大学の社会学を研究しているAndrew Papachristos准教授と、ハーバード大学の学生であるBen GreenさんとThibault Morelさんの3人によって行なわれました。彼らは、シカゴで起きた9年間で、1万3000件にも及ぶ銃犯罪について調査した結果、銃による暴力がウイルスのように拡がっていくことをつきとめました。

下の図は、ある個人から別の個人へと銃の暴力が伝染していく様子を表わしています。

1 銃犯罪はウイルスのように伝染することが判明。予測可能になる一方で懸念も

image: Green B, Morel T, Papachristos AV

Papachristos准教授はこの結果について、ギャングに関わると、彼らの恨みや人間関係に自分も影響されてしまうということではないかと述べています。例えば、Aさんがあるギャングの一員であるBさんと一緒にコンビニに行ったとします。この時、もしBさんとライバル関係にあり、恨みを買っているギャングがすでにコンビニにいたら、敵対関係にあるBさんはもちろんのこと、一緒にいるAさんまでも危ない目に巻き込まれてしまうでしょう。これがもしAさんひとりでコンビニに行ったとしたら、標的にされることはなかったでしょう。

つまり、この例でいうと、銃の暴力がBさんからAさんに感染したと考えられます。このように、Papachristos准教授の研究チームは、ウイルスのように銃による暴力がシカゴの中で伝染していくことを発見しました。

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image: Green B, Morel T, Papachristos AV

このソーシャルネットワーク図は、銃で負傷した人を赤い点で、それ以外の人を青い点で表わしています。

研究チームは、シカゴ在住者で一緒に逮捕されたペアに着目することで、この13万8163人分の複雑なソーシャルネットワークを作りました。このネットワークの中で、銃による暴力がある個人からその周りの人へと伝染している様子がわかります。

もしあなたが銃撃された人と近ければ近いほど、あなた自身も銃撃される可能性が高くなります。シカゴ全体の人口と比べて5%未満の人しか含んでいないネットワークから、致死的でない銃犯罪の70%をたどることができます。つまり、加害者と被害者はたいてい同じネットワークに所属しているのです。

理論的には、誰が銃で撃たれそうかわかることで、人の命を助けるチャンスができます。Papachristos准教授は、非営利団体によるこの研究を利用した人を助けるシステムについて構想しています。しかし、この予測システムについて法的処置の観点から、倫理的な懸念を示す声もあります。

アメリカのシンクタンク、ランド研究所で犯罪学者として働いている、Jessica Saundersさんは、「法的処置に関するデータに依存する研究者は、不完全なデータのためにその結果を歪める可能性がある」と述べています。また、どんな法的処置によるバイアスも、統計モデルとその推定結果に組み込まれやすい点について指摘しています。つまり、予測技術が実用化されるにつれて、不完全なデータが重大な問題になります。

統計モデルにバイアスが含まれるのを防いだり、統計が示す情報の誤用を防ぐための安全装置がないまま、「起こりうる」と考えるのはおそろしいことです。アメリカ自由人権協会のJay Stanleyさんは、こうした予測技術とGoogle Glassのようなデバイスを使うことで、警察官が市民の犯罪を起こす可能性を測定するという、ドラマ『ブラック・ミラー』のようなディストピアな未来がこないか懸念しています。荒唐無稽な話に聞こえるかもしれませんが、拡張現実(AR)が流行っていたり、顔認識技術が向上していることを考えると、究極的には映画『マイノリティ・リポート』のような未来の犯罪を取り締まる社会になるかもしれません。

ビッグデータなど技術の発展によって、日々の生活が便利になる一方で、こうした負の側面についても考える必要がありますね。

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top image: Jim Cooke/Gizmodo
source: JAMA, ACLU

Sidney Fussell - Gizmodo US[原文
(tmyk)