メリル・ストリープ演説全訳、トランプが「障がいをもつ記者のモノマネ」した背景

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メリル・ストリープの演説全訳+トランプが障がいをもつ記者のモノマネした背景

ゴールデン・グローブ賞受賞式の生涯功労賞受賞挨拶で女優のメリル・ストリープがドナルド・トランプを批判し、大変な反響を呼んでいますね。

障がいをもつ記者のモノマネで爆笑をとるとは国家の頂点の立つ人間のやることか」という非難にトランプは「過大評価の女優め!」と反論連続ツイしましたが、大統領就任直前の厳戒態勢に入るハリウッドの重い空気と決意が伝わる演説ではないかと思います。

演説の全訳と、なんでそもそもトランプはそんなモノマネやらかしたの?という背景をまとめてどうぞ。

メリル・ストリープの演説の訳

どうもすみません。週末大声出しすぎて声が枯れてしまいました。去年は頭にくることがあって紙に書いてきましたので、読み上げる失礼をお許しください。

(ゴールデン・グローブ審査員の)ハリウッド外国人映画記者協会のみなさん、ありがとうございます。先ほどのヒュー・ローリーのお話の続きになりますが、ここにお集まりのみなさんはアメリカ社会で今一番目の敵にされている層かもしれないですよね。ハリウッド、外国人、記者…(訳注:全部トランプが目の敵にしているもの)。

でも考えてみればハリウッドってよそ者の集まりなんですよね。私はニュージャージー生まれで公立校育ち。ヴィオラ・デイヴィスはサウスカロライナの小作農家のキャビンで生まれてセントラルフォールズ、ロードアイランドでしょ。サラ・ポールソンはフロリダで生まれて、ブルックリンのシングルマザーに育てられました。サラ・ジェシカ・パーカーはオハイオ生まれで、実家は7人か8人の子だくさん。エイミー・アダムスはイタリアのヴィチェンツァ生まれ。ナタリー・ポートマンはエルサレム生まれ。出生証明書はどこ?なんて誰も気にしませんよ(訳注:トランプはオバマの出生証明をしつこく追い回した)。

美しいルース・ネッガはエチオピアのアジスアベバ生まれでアイルランド育ち、今日はヴァージニアの小さな村の女の子役の演技でノミネートされました。ライアン・ゴズリングは人のいいカナダ人。デーヴ・パテールはケニア生まれ、ロンドン育ちで、今日はタスマニア育ちのインド人の演技で会場に来ています。このようにハリウッドは犬も歩けばよそ者、外国人の世界なのね。全員追い出してたらアメフトとか、アートとは名ばかりのMMAぐらいしか、見るものがなくなっちゃいますよ。

俳優に課せられた天命はただひとつ。自分と異なる人たちの人生に入り、そこで感じることを見る人に感じてもらうことです。この天命を全うし、今年も名演技がたくさん、たくさん生まれました。人の心を打ち、共感を呼ぶ珠玉の作品ばかりです。

そんな中、今年、衝撃を受けた演技があります。それは心を捉えて放さない演技でした。なにも名演技だからではありません。それは演技とも呼べない粗末なものでした。でも効果的でした。狙ったとおりの効果はあげ、聴衆は歯を見せて笑いました。一国の尊敬を集める元首たらんとする人物が、障がいのある記者を真似て笑いものにした例の演説のことです。富、権力、報復力、そのすべてにおいて上に立つ人間が、ですよ。見た瞬間、私はなんだかもう心が粉々に砕ける思いがしました。今だに頭を離れません。なぜならこれは映画ではなく、現実の話だからです。

権力者が公の場で本能の赴くまま人を侮辱する見本を示したら、国民はどう思うでしょう。みなやっていいと思うのではないでしょうか。侮辱は侮辱の仕返しを呼び、暴力は暴力を呼びます。権力者がその立場を利用して弱い者いじめをする社会には勝ちも負けもありません。全員ルーザーです。

そこで記者のみなさまの力が必要なのです。権力の番犬、横暴を叱責する力。それが必要だから、建国の父は報道の自由を憲法に定めたんです。ハリウッド外国人記者クラブと業界のみなさまもぜひ「ジャーナリスト保護委員会」の支援にご協力をお願いします。この先、真実を守り抜くためには彼らの力が必要だし、彼らも私たちの力が必要だからです。

ワン・モア・シング。一度映画の収録で弱音吐いたときのことです。たぶん晩ごはん抜きとか、長時間ぶっ通しでやれとか言われたんだと思いますけど、トミー・リー・ジョーンズがこう言ったんです。「メリル、役者でいられるだけで特権だと思わない?」。本当にその通りですね。これが特権だということ、他者に感情移入することを生業とする者に課された責任をお互い忘れないようにしていかないと。

友人のレイア姫(キャリー・フィッシャー)が生前言ってくれた言葉のように、砕けた心を拾って、アートに変えていきましょう

トランプがモノマネに至った背景

この感動スピーチで「トランプはなんで障がいのある記者のモノマネなんかしたのだ??」と不思議に思った方は、こちらでスッキリしましょう。

1)「9.11でワールド・トレード・センターが倒壊するのを対岸のニュージャージー州ジャーシーシティで狂喜乱舞して見ているイスラム教徒が数千人いた」とトランプが盛んに発言。

2)「警察はそんな事実はないと言っているが、本当にいたのか?」とABC放送アンカーに問われ、「この目で確かに見た。ニュージャージーはアラブ人口多いからな。倒壊するのを見て踊りながら喜んでいたぞ」とトランプが反論。

3)Washington Postが事件当日の動画を検証してみたが、どこにも踊りながら喜ぶ数千人のアラブ人の姿は写っていなかった。

4)トランプがWashington Postの2001年9月18日の記事が出元だと言い出すも、記事には「13人が事情聴取を受けた」と書かれているだけ。

5)共同取材したSerge F. Kovaleski記者(関節拘縮あり。現在はNY Times記者)が「数千人なんて事実は耳にしたことも書いた覚えもない」と反論。

6)窮地に追い込まれたトランプ、2015年11月の集会で支持者を前に、記者の障がいを真似ながら「そんなこと書いた覚えはないだってよ~」と発言。さすがにこれは問題になる。

7)窮地に追い込まれたトランプ、「あの記者には一度も会ったことはない。障がいなど知らない。とちってる真似をしただけだ」と弁明。

8)記者が「1987年から1993年に10数回取材している。ファーストネームで呼び合う仲だ」と反論(下)。トランプは「記事を書き換えた」と言っているが、Washington Postは否定している。

9)ヒラリー・クリントン候補がキャンペーンで全米に放映

10)メリル・ストリープがゴールデン・グローブ受賞式で言及し、黒歴史が復活

けっきょく踊って喜ぶアラブ人はなんだったんでしょうね。海外映像と脳内で合体したんでしょうか…。トランプ大統領就任まであと11日。

キャリー・フィッシャー追悼、『スター・ウォーズ』レイアのトリビュート動画
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top image: The Washington Post
source: Washington Post-1, 2, 3
参考: Twitter, YouTube

(satomi)

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