常識を覆す現象! 融点より低い温度で固体が融け出す

常識を覆す現象! 融点より低い温度で固体が融け出す 1

みなさん、理科の授業で習いましたよね。

物質には融点沸点が存在していて、沸点より温度が高いと気体に、融点と沸点の間は液体に、融点より低い温度では固体に、その形を変化させていきます。

例えば水の場合、融点は0度なので、0度を境に水から氷へ、氷から水へと形を変えます。ただ、ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、液体のまま水を0度より低い温度に冷やすのは、条件を整えれば簡単にできるのです。

そして今回、アメリカのカーネギー研究所の研究チームがなんと、固体のビスマスを融点より低い温度のまま、液体に変えることに成功したのです。この研究結果はNature Communicationsに掲載されました。

実は、融点より低い温度で結晶性固体を準安定液体に変化させることに成功した実験は、今回が初めてなんです。この研究により、固体と液体という状態について、より根本的な部分についての研究が進む可能性があります。

カーネギー研究所のGuoyin Shenさんが、米Gizmodoに次のように話してくれました。

物質がその形を変える転移自体は、我々がいつも体験している現象です。しかし、実のところ、その詳細についてはほとんどわかっていないのです。

化学に話を戻すと、融点というのは固体が液体に変化するときの温度と圧力の値の組を意味します。氷の場合、摂氏0度で1気圧が融点になります。実は、物質を融かすには温度を上げる以外に、圧力を下げるという方法もあるのです。今回の実験で行なわれたのは、まさに気圧を下げる方法になります。

研究チームは、ビスマスを摂氏215度(1気圧での融点は摂氏272度)で超加圧した後、ゆっくりと圧力を下げていきました。その過程でビスマスは融けはじめ、本来ならば固体のままであるはずの温度と気圧でも、いわゆる準安定液体に変化しました。

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image: Chuanlong Lin and others

Shenさんによると、準安定液体は、融点より温度が低くなっても固体に変化せず液体の状態を保てる点で、安定液体とは異なるとのことです。しかし、皿回しのお皿のように、ちょっとした変化でバランスが崩れ、固体へと形を変えてしまうような状態にあります。

Shenさんは、これまで融点より低い温度で固体を液体に変える方法はわかっていなかったと説明しています。また、他の物質でも同じように実験を行ないたいそうです。この新しい手法によって、これまでにない物質を結晶化させる方法が見つかるかもしれません。

top image: Wikipedia
source: Nature Communications

Ryan F. Mandelbaum - Gizmodo US[原文
(tmyk)