なんでSF映画に登場する宇宙人はヒューマノイドタイプなの?

なんでSF映画に登場する宇宙人はヒューマノイドタイプなの?

image: Artwork by Wayne Douglas Barlowe

SF映画に登場する宇宙人は、人間と同じような姿をしていることが非常に多くありませんか? 頭1つに2本の手足

E.T.にヨーダにスポック、映画『エイリアン』のゼノモーフだってみーんな同じです。でもなぜ遠く離れた惑星で進化したはずの宇宙人たちが我々地球人と同じような姿をしているのでしょうか。その疑問にさまざまな専門家たちが答えています。

その答えとは、ズバリ予算想像力の限界です。

NASAの宇宙生物学スペシャリスト、マイケル・ニュー博士によると「SFに登場するほとんどの宇宙人がヒューマノイドタイプなのは、結局は人間がSF映画を作るからであり、どんなに違うものにしようとしても、想像力が限られてしまう」のだそうです。

多くの研究者たちは、宇宙人は地球人とはまったく異なる姿をしていると信じています。古生物学研究者のスティーブン・ジェイ・グールド博士によると、地球外生命体は我々とは異なる姿だろうし、もしもう一度"地球の歴史を巻き戻して"生命誕生からやり直したとしても、同じような人間が誕生するとは限らないそうです。なぜなら地球に人間が誕生したのはほとんど奇跡であり、例え同じ状況であっても再び誕生するとは限らないからです。

でもそうは言っても「予算と想像力の限界」で片付けるのは少し夢がなさすぎませんか? E.Tやヨーダみたいな宇宙人だっていてもいいはず!

ではもし宇宙人に遭遇したとして、彼らがヒューマノイドタイプである可能性はあるのでしょうか?

パンスペルミア説

パンスペルミア説は、生命の誕生は地球外からやってきたDNAによって発生したとする最も一般的な生命誕生の仮説です。この説が正しいとするならば、宇宙人は我々人間と同じ姿をしている可能性があります。ヒューマノイドタイプの宇宙人が自らのDNAを宇宙に拡散し、それが遠く離れた地球に到達して我々人間に進化したのかもしれません。

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SFドラマシリーズ『新スタートレック』のエピソード"命のメッセージ"や、映画『プロメテウス』ではこの説がストーリーに使われています。

サウスウエスト・リサーチ・インスティテュートの研究者マーク・ブロックは「もしヒューマノイドタイプの宇宙人が存在するとしたら、我々地球人と遺伝子情報を共有しているはず」と述べています。なぜならヒューマノイドタイプの生物が突然地球に現れ、進化したとは考えるよりはるかに合理的だからです。「遺伝子情報が宇宙を超えて伝達するパンスペルニア説は現実的に有り得る」と語ります。

ニュー博士もまたこの可能性を否定していません。もし本当にヒューマノイドタイプの宇宙人がこの宇宙にあふれているとしたら、「パンスペルニア説はありうる話で、人間が左右対称の二足歩行生物なのは、我々の先祖に由来する」と言います。もし異なる遺伝子が地球に到達していたら、地球の支配者は今とはまったく違う姿だったかもしれません。

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ニュー博士によると、5億年前から存在するバージェス頁岩の中には、現存している生物とは異なるさまざまな姿の生物が見られるのです。ブロック博士もまた同様に、6億年前に起こったカンブリア爆発では非常にたくさんの体制の進化が見られ、そのうちのいくつかは地球外の生命の形を思わせると語ります。

もしかしたら、過去にはさまざまな惑星からやってきた原始生命体が地球で進化しようとしていたのかもしれません。

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一方で、ケニオン・カレッジの生物学教授であり、『軌道学園都市フロンテラ』などを執筆したSF作家でもあるジョーン・スロンチェフスキ教授によると、パンスペルミア説は微生物レベルの話であり、その後の人間への進化はその説では説明がつかないとしています。「人間は明らかに地球の進化プログラムの一部であり、細胞分子レベルから今の複雑な形の人間への進化は地球上で起こったことである」とスロンチェフスキ教授は否定しています。

収束進化説

他に考えられる説は収束進化説です。地球外のヒューマノイドたちも、進化の末に我々人間と同じような姿に収束していく可能性があるのです。

ペンシルベニア州立大学の著名な地球科学博士ジェームス・カスティングは、人間が高度な知的生命体に進化できたのにはいくつかの理由があると言います。

ひとつは他の指と向かいあわせることができる親指です。その特殊な親指のおかげで我々は木々を掴み、道具を持つことができたのです。もちろん直立歩行できることもひとつの要因でした。そして何より、恒温動物であったことで、我々は大きな脳を作り出すことができたのです。

「地球外知的生命体が、我々人間と類似した部分を多かれ少なかれ持っている可能性はあると思います」とカスティング博士は言います。

スロンチェフスキ教授もまた「2本の腕を持ち、2本足で直立可能な生物は、ミーアキャットやヴェロキラプトルなど別の環境でも存在します。2本足で動き回り、2本の腕でものを掴み、出来るだけ広い範囲を探知できる頭を持つ姿というのは、生命にとって効率的なのかもしれません」とその可能性を否定しません。

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米国議会図書館の宇宙生物学研究プログラムの議長でもあったスティーブン・J・ディックは、地球上の収束進化の例を挙げ、地球外でもそのような収束進化が起きる可能性はあるといいます。

「例えば、羽を持つ虫や鳥、コウモリなどの目は、それぞれ独自に進化を遂げたにも関わらず同様の進化をしています。魚やイルカなどの海洋哺乳類も、水中という環境で同じ流線型へと進化してきました。つまり工学的に正しい形というのは限られており、進化の過程でもある一定の形に収束していく可能性は十分にある」と主張しています。

バイラテラル・シンメトリー

地球から遠く離れたところで進化した宇宙人の姿が、我々人間と同じようなシルエットを持っているとはどうも考えにくいという人もいるでしょう。しかしそれでも、知的生命体は少なくとも左右対称の形である可能性は高いと専門家は語っています。

「左右対称の生物は地球上の進化の過程で何度も現れ続けます。左右対称であることは、生物の体制に関わらず知的生物にとって共通の特徴なのです」とブロック博士は言います。

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ミシガン州立大学のビョルン・エストマン教授は、左右対称である時点でその姿というのはヒューマノイドの形に向かってしまうと主張します。対称であるということは偶数の手足を持つことを意味します。そして6本以上の手足というのはあまり効率的ではないため、その足は必然的に4本になってしまうというのです。

「地球上にも4本足以上の動物は存在していますが、それでも4本足の生物が非常に多いのは極めて効率的であるからです。起伏の激しい地上を動き回るには、4本足が最も機能的な形なのです」。そして四肢動物が地上に溢れると、そのうちのいくつかが前足を巧みに操り始めます。「もし2本の足を自由に使えるようになれば、それは知能を発達させるのに非常に有利になります」とエストマンは説明します。

もし地球外知的生命体が左右対称であり、手足を道具を使うために発達させたとしたら、その姿は我々と同じような二足歩行動物になるのです。目のような感覚器官は、道具を使う手足が見える前方に配置されます。さらに神経系と感覚器官は近いほど効率的なため、脳とその感覚器官も近くに配置されることになり、結局はとなります。

左右対称であり、道具を使うというファクターがある限り、その姿は人間のような形になってしまうとエストマンは見ており、「もし我々が地球外知的生命体を発見したら、それはヒューマノイドタイプだと思う」と結論づけると同時に、彼の見方はあくまで少数であり、多くの他の科学者たちはヒューマノイドタイプは地球外には存在しないとしていることも認めています。

今回3つの可能性を紹介しましたが、結局は宇宙人に遭遇しないことにはその答えは出ません。でも近年生命体が存在する可能性がある地球型惑星が続々と発見されています。人間が地球外生命体に出会う日もそう遠くないのかもしれません。

果たしてそのとき宇宙人はどんな姿をしているのでしょうか。想像するだけでワクワクが止まりません。ただ、ゼノモーフだけは勘弁してもらいたいものです。

all images via Gizmodo US
source: NASA, Stephen Jay Gould, Mark A. Bullock, Gizmodo US, Joan L. Slonczewski, James F. Kasting, Steven J. Dick, Bjorn Ostman

Charlie Jane Anders - Gizmodo US[原文
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