Amazon社長に「ハードウェア・スタートアップにやさしいストアって何?」を直接聞いてみた

LaunchPadは何が「特別か」をAmazon社長に聞いてみた

ドヤ顔したいなら、今すぐ「Launchpad」。

最近、ついつい猫の砂ばかり買っています。自分で運ぶのが重いんです。ヤマトの方には、本当申し訳ないと思ってます。でも、僕の猫も喜んでいます。そんな僕と、僕の猫のライフラインでもあるAmazonに、新しいストアができました。

それは、日本のハードウェアスタートアップの製品を取り扱う、専門ストア「Amazon Launchpad」です。これは、ものづくりを手がけるスタートアップの課題になってる、販売、流通、マーケティングの機能をまとめて提供してくれる画期的なモデル。シンプルに説明すると、「Amazonで売ればいいじゃん」。まさにイノベーションですね。

プレスリリースから引用します。

スタートアップによる革新的な製品を国内外の数多くのAmazonのお客様にご紹介するとともに、スタートアップにマーケティングおよびセールスサポート、配送サービスを提供します。

(中略)

ウェアラブルデバイス、スマートホーム、知育・学習玩具など250を超える革新的な製品を取り扱っています。既にMAMORIO、BONX、VIE STYLE、KAMARQなど15社以上の日本のスタートアップが参加しています。

「イノベーションでより良い世界を!」とプレゼンして、TechCrunchにも載ったスタートアップの社長さん。でも、「社長、売る場所がありません!」なんてマーケティング担当に言われ続けた本末転倒な状況から、やっと開放されそうです。さらには、「Amazonで製品売り始めたんだよー」と人に自慢できるので、テンションも上がりそうです。

ガジェットドヤ顔できそう

でもLaunchpadの本当の魅力に取り憑かれるのは、「希少価値の高いガジェットを人より先に買って、ドヤ顔したい」僕たちのようなガジェット好きな編集者なのかもしれません。

こちらの動画はCerevoのプロジェクター搭載ロボット「Tipron」。こんなスゴイの使っていたら、注目浴びること間違いありません。保証します。

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アウトドアにオススメなBluetoothイヤホン「BONX Grip」。切実すぎる紹介動画でした。

取材や打ち合わせに行くと、たまに「最近面白いガジェットありました?」って聞かれることにあるんです。そんな時、ノートを取ってるフリしてMacBookでLaunchPadを見ながら、「実は、最近こういうのを見つけたんです。スタートアップなんですけど…」と自慢げに言って場を和ませてくれるのに役立ちそうです。

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耳が痛くなりにくいヘッドフォン「VIE SHAIR

さらに、クラウドファンディングや、先行販売を逃すと、ハードウェアスタートアップの製品は極端に手に入りにくい。このドヤ顔したいガジェット好きにとって永遠の大問題を解決してくれそうなところが、Launchpadのイノベーションだと思いませんか?

もしかしたら僕の勝手な思い込みかもしれないけれど、ガジェットに対する高揚感がジワジワと上がってきたので、アマゾンジャパンのジャスパー・チャン社長に、Amazon Launchpadは本当に何がスゴイのか、インタビューする機会を伺い、お話を聞いてみました。

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(左から)アマゾンジャパン ディレクター セラーサービス事業本部 事業本部長 星健一、アマゾンジャパン ジャスパー・チャン社長、アマゾンウェブサービスジャパン代表取締役社長 長崎忠雄

スタートアップのイノベーションは衰えを知りません

――早速ですが、Amazon Launchpadを日本で始められた理由は一体何でしょうか?

チャン社長:私たちAmazonでは、スタートアップがどの国の経済においても重要な存在だと考えています。勢いのあるスタートアップは、消費者に有益な価値をもたらしてくれるでしょう。この考えに基いて、私たちはAmazon Launchpadプログラムを世界8カ国で展開してきました。そして、その価値を日本に持ち込むことは非常に大切だと考えます。Launchpadを通じて、日本のお客様は、あちこちと移動することなく1カ所で日本や世界のスタートアップの素晴らしい製品を見つけることができるのです。

――そもそも、なぜAmazonはLaunchpadを始めようと思ったのでしょうか?

チャン社長:二つ、大きな目標があります。一つ目は、より多くのスタートアップの成功を手助けしたいということ。2つ目は、スタートアップの素晴らしい製品を見つけやすくして、私たちのお客様が手に入れやすくしたいということ。この二点が私たちがLaunchpadを始めた背景であり重要に考えています。

――何社のスタートアップを取り扱いたいという目標はありますか?

チャン社長:Launchpadでは、日本のベンチャーキャピタル(VC)やアクセラレーターの皆さまと協力しながら、素晴らしいスタートアップを探していきます。何社を取り扱いたいという、具体的な目標数値はありません。Launchpadで成功するスタートアップが今後増えていけば、参加するスタートアップの数も増えて勢いをさらに後押ししてくれると考えています。

――参加するスタートアップの数が増えるに伴い、取り扱うハードウェア製品の革新性が減るのでは、と思いますか?

チャン社長:Launchpadを2015年から米国で始めて、これまで8カ国で展開してきましたが、スタートアップのイノベーションは衰えを知りません。Launchpadは、現在4,000製品以上を取り扱うまでに成長してきました。溢れんばかりのアイデアが世の中に存在し、素晴らしいスタートアップがそれらのアイデアを製品化しようとしていることが、イノベーションを物語っていると私は感じています。Amazonは、スタートアップの製品販売と、ブランド構築を、私たちが持つツールを提供して支援したいと考えております。そうすることで、より多くのイノベーションが生まれ、素晴らしいアイデアの製品化が起こるからです。

――VCやアクセラレーターが、Amazonと組むメリットは何でしょう?

チャン社長:Amazonと、VCやアクセラレーターで共通のゴールは、スタートアップの成功を実現させることです。その中でAmazonができることの1つは、スタートアップの製品販売網を提供することにあります。Amazonのストアを利用することで、世界展開が可能になり、さらにブランドの構築も迅速に行なうことができます。Launchpadでは、スタートアップ向けにいくつものツールを用意しています。ですので、VCやアクセラレーターと私たちは同じゴールを目指していると言えます。

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――スタートアップ支援に関する競合サービスの存在は意識されていますか?

チャン社長:私たちのフォーカスは、競合と戦うことではありません。すでにこのLaunchpadは、これまで世界で実績を残してきましたし、「フルフィルメント by Amazon」(FBA)サービス、マーケティング・ツール、海外販売の支援など、スタートアップ向けにこれらのAmazonのツールを提供し支援していくことが、Launchpadプログラムでは重要と考えています

――モバイルバッテリーや、スマホアクセサリーなど、気軽に手に入る製品と違って、スタートアップが開発するIoT(Internet of Things)やウェアラブル製品は、使用感や魅力など所感で伝えにくく、購入に躊躇する人が出て来るように感じられますが、どうお考えでしょうか?

チャン社長:まず、Launchpadでは製品を伝えるため、Amazonサイト内でお客様がすでに使っているいくつかの機能を利用しています。その1つはカスタマーレビューです。レビューは購入において重要な要素です。その他には、Q&Aセクションがあり、お客様の質問に直接答えることができます。つまりお客様が別のお客様の購入をサポートしているのです。

そしてLaunchpad独自の機能として、動画による製品紹介があります。これには、スタートアップが制作した動画を用います。スタートアップの開発者が、製品の使い方や、ライフスタイルの提案を行なうことができるので、動画による製品紹介はとても重要になると感じています。さらにLaunchpad内の製品ページでは、スタートアップの詳細な「ブランドストーリー」を紹介していきます。これによって、スタートアップはより多くの情報を知ってもらい、ブランドの構築が可能となります。

これらの機能をLaunchpad内で展開していくことで、お客様はこれまでのAmazonで使ってきたツールと同じ感覚で、スタートアップの製品を購入することが出来ると考えています。

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――Launchpadでは、とりわけ「ブランドストーリー」を重要視されているようですね。

チャン社長:スタートアップにとっての課題の1つが、ブランドの良さをより多くの人に知ってもらう手段でした。Launchpadは、お客様の理解を深めるためのブランド作りを容易に行なうツールを用意しています。ですが、Amazonでは、ブランドはスタートアップだけが必要としているものではないと感じています。例えば、ファッションにおいてそれぞれのブランドのストーリーを伝えていくことは非常に重要です。そして、お客様もブランドストーリーを知りたいのです。ですので、Amazonではこれらのストーリーを伝えるためのツールを提供するのです。

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忘れ物を無くす、世界最小のIoT「MAMORIO」。ストーリー形式で商品を説明したり、スタートアップ自身の紹介もある (screenshot via Amazon)

――米国のAmazonのリアル書店のように、ハードウェアスタートアップ商品を販売するリアルな店舗は考えていますか?

チャン社長:LaunchpadはAmazonマーケットプレイスのシステムを使ってスタートしました。これは開始前からの構想です。現在は小売店を作るプランはありません。

――ところで、Amazon Alexaは、1月のCESでも話題を集めました。またAmazon Echoも米国では昨年のヒット商品になりました。今後AIやIoTといった先進テクノロジーの開発には、どう取り組んでいく予定ですか?

チャン社長:そうですね。私たちは、IoTやAIのような最先端テクノロジーとイノベーションの転換期に立っていると考えています。特にAIに関しては、もうすぐ「ゴールデンエイジ」が来ると私たちは社内で言っていますよ。しかし、そこにたどり着くまでには、まだ長い道のりです。そして多くのチャレンジを乗り越えなければなりません。現在Amazonでは、これらのチャレンジを打開することが前進するために重要と考え、重点的に取り組んでいます。

Alexaの米国での進化には、私たちも非常に満足していますよ。Alexaを中心にあらゆる可能性が広がっていくと感じています。

――日本でも「Amazon Dash Button」が発売されましたが、IoT製品で市場を独占することはお考えなのでしょうか?

チャン社長:IoTの観点からは、Dash Buttonを開発して発売することと並行して、「Amazon Dash Replenishment Service(DRS)」の自動注文サービスを公開して、Amazonから自動で購入できるIoT製品の開発を支援しています。Alexaも同じです。Alexaのスキルを開発するディベロッパーがいる一方で、Alexaのスキルを連携したハードウェア製品を作る企業もいます。これが私たちAmazonのIoTを拡大させる戦略です。自社で開発した技術を他社も利用して製品開発できるようにして行きたいと考えています。

――Amazonは1994年創業22年目に入り、Amazon Japanは今年で17年目を迎えました。これだけの年月を運営してきましたが、今でもAmazonは「イノベーティブ」な会社なんですか?

チャン社長:はははは。Amazonはイノベーションの塊ですよ。それは間違いないですよ。Amazon社内では創業当時から大事にしている基本原則が4つあるんです。それは「お客様中心」「イノベーション」「優れた運営」「長期的な視点」です。この4つがAmazonでお客様体験を設計する時や、投資を行なう時など、全てのことにおける基本原則なんです。イノベーションはその1つなのです。ですが、イノベーションだけではなく、この4つが1つになることで、Amazonという企業文化を体現しているのです。

――貴重なお時間をありがとうございました!

image: Yohei Kogami
source: Amazon.co.jp, Amazon Launchpad
参考: Amazon 1, 2, 3, 4, 5, TechCrunch, YouTube 1, 2, フルフィルメント by Amazon, Amazon Dash Replenishment Service


(Yohei Kogami)

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