ドラマ『ブラック・ミラー』のクリエイターも認める、まさに『ブラック・ミラー』の世界のような話

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ドラマ『ブラック・ミラー』のクリエイターも認める、まさに『ブラック・ミラー』の世界のような話

ドラマがそのまま現実に

ドイツを中心とする研究チームは、閉じ込め症候群の患者に対して、イエス・ノーによるコミュニケーションを可能する手法を開発しました。この研究ですが、あまりにドラマ『ブラック・ミラー』そのままで、クリエイターですら完璧だと認めるような話です。

被験者となった4人は、筋萎縮性側索硬化症 (ALS)と呼ばれる病気を抱えている患者。この病気に苦しむ多くの人は、まひのために体を動かせない状態にありますが、眼球の動きでコミュニケーションができます。しかし、完全に体を動かせなくなった場合は眼球によるコミュニケーションも不可能でしたが、今回の新しい研究はそのような人々に希望を与えるかもしれません。

今回の閉じ込め症候群とコミュニケーションを可能にした研究とは、近赤外線分光法を用いた方法で、科学誌PLOS Biologyに掲載されました。

BBCは新しい手法について次のように説明しています。

脳細胞の活動によって血液の酸素濃度が変化しますが、これによって血液の色も変化します。

研究チームは、近赤外線分光法と呼ばれる手法を用いて、光を使って脳内の血液の色を検知することに成功しました。

この手法を使って、患者に「あなたの夫の名前はJoachimさんですか?」など、イエス・ノーで回答できる質問を行なって、脳のシグナルをコンピューターに学習させました。

このシステムは、75%の精度を達成しています。

この精度は、答えが正しいことを確認するために、患者に何度も同じ質問する必要があることを意味しています。それでも、イエス・ノーだけとはいえ、閉じ込め症候群に苦しむ人々にとって画期的な発明です。研究チームのリーダーで、テュービンゲン大学の神経科学者であるNiels Birbaumer氏は、The Guardianに対して、次のように話しています。

「この研究は、閉じ込め症候群そのものをなくすための第一歩かもしれません。我々は彼らに、人生について最も重要な質問をすることが可能です」

しかし、『ブラック・ミラー』の話のようにコミュニケーションができるようになったからといって、必ずしも好ましい反応が返ってくるとは限りません。

『ブラック・ミラー』のクリエイター Charlie Brooker氏は、今回の研究に協力した、61歳でもうすぐ結婚を控える26歳の娘を持つ男性患者について、Twitterで触れています。

彼は、結婚について承諾するかどうか娘に10回尋ねられましたが、そのうち9回、ノーと答えました。ただ単純に父親に結婚の許しを乞うのと、10回立て続けに許しを命を乞うて、連続して断られるのとではわけが違います。しかも、なぜノーなのかわからないのです。

研究チームの一員であるUjwal Chaudhary教授はBBCに対して、「なぜ彼がノーと言ったのかはわかりません。しかし、何事も愛を阻むことはできません」と述べています。

ただこのようなエンディングは、『ブラックミラー』のようなダークなドラマには不十分です。Brooker氏や彼の同僚作家は、より重く、より悪い話にする必要があるでしょう。科学技術は善でも悪でもなく、ただ予期せぬ結果を招く、というのが、やはりドラマのテーマの1つだからです。

一方で、Birbaumer氏は「身体的に不自由で、自分の気持ちを表現することが難しい状況にあるにもかかわらず、『幸せだ』と答えた患者もいました。これは閉じ込め症候群に対する、私たちの先入観が間違っていることを意味しています」と、良い結果もあったことを語っています。

Netflixがディストピアを生む? ドラマ『ブラック・ミラー』のダークなCM

image: Black Mirror - Netflix
source: PLOS Biology, BBC News, The Guardian

Rhett Jones - Gizmodo US[原文
(tmyk)