アップルがネブラスカの「修理する権利」法案に反対、ハッカーのメッカになると主張

アップルがネブラスカの「修理する権利」法案に反対、ハッカーのメッカになると主張

正規店が近くにない農家や非正規店でも修理できるようにしようと、メーカーに正規部品と取扱説明書の解放を義務付ける法案が米8州で審議中ですが、Appleがこれに待ったをかけています。

Motherboardがネブラスカ州議会の人に聞いた話によると、同州の3月9日の公聴会にAppleはAT&Tと一緒に代表あるいはロビイストを送り込み、非正規ショップが修理すると電池が燃える、ネブラスカがハッカーのメッカになる、などの主張を展開する見通しとのことです。

電池が燃える携帯といえば昨年のGalaxy Noteが記憶に新しいところです。あれは打倒Appleを意気込むあまりキッツキツの超小型デザインにしたのが祟ってあちこちで発火し最後は文鎮化のアップデートで葬り去ったという顛末でした…。あんまり非正規修理とは関係ないですけどね。

アップルといえば昨年2月、非正規修理の端末を文鎮化するアップデートを行ない、エラー53訴訟にまで発展したのが、これまた記憶に新しいところです。訴えられた直後に対処法と文鎮化解除のアップデートをリリースし、被害者に交換・修理を行なうことを発表したことで騒ぎはひとまず終息しましたが、同様の文鎮化騒動は5月の9.7インチiPad ProのiOS 9.3.2アップデートでも起こっています(エラー56問題)。

修理する権利の法案を審議中の州はネブラスカとイリノイ、カンザス、マサチューセッツ、ミネソタ、ニューヨーク、テネシー、ワイオミングの各州です。

今はソフトウェアもサービスマニュアルも著作権保護で部外秘なので、ハードウェアを買っても完全には所有できないジレンマがあります。そこでせめて修理ぐらいはオーナーや非正規修理店でもできるようにしようよ、ということで生まれたのが「修理する権利」法です。2012年にはマサチューセッツ州で自動車を対象に成立しました(詳しくはWIRED.jp参照)。今回の法案はこれをモデルにしています。

メーカーがオーナーの修理に反対するのは正規店の儲けが減るから…というのが一番すんなりくる説明ですが、そんな主張をしても議会で賛成票は得られないので、Appleも自社利益以外の理由を用意しているようなのですが、それがなかなか無理のある主張でありまして、最近Apple政策担当Steve Kester氏の訪問を受けたLydia Braschネブラスカ州議員(農業の傍らソフトウェア会社にリモート勤務)はMotherboardにこのように語っています。

「Appleは、こんな法案を可決するのはここだけだ、こんなの可決したらここは悪人のメッカになる、ハッカーがネブラスカに引っ越してくる、と言ってました」

これを聞いたiFixitのKyle Wiens CEOは、「マサチューセッツに車泥棒とハッカーが引っ越したという話はとんと聞かないが」と話しています。

ちなみにBrasch議員がこの法案を推進する本当の狙いは「農機具の修理の権利を農家に取り戻すこと」にあるんだそうですよ? その辺りのことをPopular Mechanicsにはこう語っています。

「ネブラスカは農業大国で、就職の4分の1が農家関連です。農家は種まきも収穫も天候と競争なのに、そこで農機が壊れると、昔みたいに自分の手で点検もメンテも修理もままならなず、延々待ちぼうけですからね」

こっちではアメリカのコマツに相当する農機具大手John Deere(ジョンディア)が、「非正規技師やオーナーが勝手に直したら怪我する」と断固反対の構えです。マニュアル非公開でメーカーの割高な保証に強制加入というのはスマホの話だけじゃないようで…。

iFixitから、99%のガジェットを分解修理可能にするツールキットが登場

top image: Motherboard
source: Motherboard, Popular Mechanics
参考: WIRED.jp

(satomi)

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