衛星エウロパでの生命探査に活かされるか? NASAが地球外生命体の発見技術を開発!

エウロパでの生命探査に活かされるか? NASAが地球外生命体の発見技術を開発

準備は着々と整っている、地球外生命体を見つける日はもう遠くない。

宇宙人との遭遇は人類のひとつの夢でもあります。でも高度な知的生命体を発見するにはまだまだ時間がかかるでしょう。けれども非常に小さい微生物のような生命ならば、太陽系にある木星の衛星エウロパや、土星の衛星エンケラドゥスに存在するかもしれないのです。しかしそれは氷に覆われた地表の下に広がる海にいるため探索が非常に困難です。

でも、安心してください。NASAのジェット推進研究所(JPL)の最新の実験により、その地球外微生物を見つける可能性が高まったのです。

生命の重要な要素のひとつとしてあげられるのは、遺伝子発現により合成されるタンパク質です。そのタンパク質の構成単位であるアミノ酸は宇宙にも存在しているのですが、生命によって創り出されたアミノ酸は「バイオシグネチャー」と呼ばれる独特のパターンを持っています。そして科学者たちは昔からある化学的手法を使って、数グラムの海水からバイオシグネチャーを持つアミノ酸を見つけ出す方法を見つけたのです。

その方法とは、昔からある「キャピラリー電気泳動」と呼ばれる物質分離技術を用いて、アミノ酸を分析する方法です。その研究の第一人者であるPeter Willis氏は米Gizmodoに対し、この新しい技術は現在火星で活動中の火星探査機キュリオシティが搭載している分析技術よりも1万倍感度が高く、特にエウロパやエンケラドゥスの生命探査ミッションに適していると語っています。彼は共同研究者と共にその研究結果をAnalytical Chemistryで発表しました。

Willis氏は「宇宙生物学の研究者たちは生命探査においてアミノ酸が重要なターゲットであることは認識していました。しかし、これまでのアミノ酸分析技術は、精度が乏しく、分析できるアミノ酸の数も限られており、特にキラル分析においては十分でなかった」と語っています。

キラル(Chiral)とは、対掌性。つまり物質がその鏡像と重ね合わさることができない性質のことです。もっとわかりやすい例をいうと、人間の手はキラルなもののひとつです。左手と右手は鏡写しの形をしていて手のひら同士を合わせれば同じ形ですが、左手の上から右手を重ね合わせると同じ形ではないですよね? それがキラルです。

アミノ酸はキラル分子といって、そのキラルの性質を持つ分子なので、右手と左手のように一対の立体異性体を持っています。宇宙でアミノ酸が発生した場合、その一対の異性体(D-体とL-体)が同じ数だけ存在すると考えられています。しかし、地球上に存在するアミノ酸のほとんどはL-体だけなのです。なぜなら生物が作り出すアミノ酸は全てL-体であるという不思議な一貫性を持っているためです。その理由は未だに判明していません。

宇宙生物学者たちは生物由来のタンパク質であれば、それがどこで作られたとしても地球上と同じように、どちらか一方の異性体のアミノ酸だけを持っていると予測しています。Willis氏の新しい方法では、このキラリティーを分析することによって、地球外生命体の活動をより早く、より正確に察知することを可能にしたのです。

研究者たちはこの新たな方法をカリフォルニアにある高い塩分濃度を持つ塩湖「モノ湖」で試験しました。モノ湖の環境は土星の衛星エンケラドゥスの海と化学的に似ていると考えられているからです。最終的にはその技術を宇宙探査機に搭載し、太陽系の生命探査に送り出すことを想定しています。

コーネル大学の天文学者であり、NASAのニュー・フロンティア計画で提案されたエンケラドゥス生命探査計画Enceladus Life Finder」の共同研究者でもあるJonathane Lunine教授は米Gizmodoに対し、その新たな手法は実に興味深く、「このような手法は今までなかったわけではないが、今後の発展次第では強力な手段になることは間違いないだろう」と語っています。

その一方でLunine教授は、その手法が実際に生命探査計画に採用されるにはさらなるテストと実績が必要であると忠告しています(Enceladus Life Finderチームは2025年の打ち上げを目指して、資金を調達中)。また、地球外生命体を発見したと証明するにはキラル分析に加えて、炭化水素パターンなどの他の分析も必要になるとも語っています。

すでに氷の下から海水が吹き出すことが確認されている衛星エウロパとエンケラドゥス。この方法が使えるようになれば、探査機を送り込みその海水を採集するだけで生命の有無を確かめることができますね。地球外生命体の存在を確認する日はそんなに遠くないかも!非常にワクワクします。

image: NASA
source: JPL, Analytical Chemistry, Motherboard

Maddie Stone - Gizmodo US[原文
(Shun)

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