ヒビが入っても広がらない。骨の構造をヒントにした鋼が建築を変えるかも

ヒビが入っても広がらない。骨の構造をヒントにした鋼が建築を変えるかも 1

九州大学の小山元道助教授率いるチームが研究する新しい高強度鋼が私たちの生活を進化させるかもしれません。科学誌「Science」に発表された論文によると、この新しい鋼は骨の構造からインスピレーションを受けたとのこと。そう、骨です。

骨の持つ、階層的な微細構造を応用することでヒビが入っても他の部分に広がらない鋼を実現させたとのこと。より強い鋼ができたんだね、良かったね!と片付けられそうな地味なニュースに聞こえますが、この研究結果は私達の生活に大きな影響を与えるかもしれません。

ご存知の通り住宅からオフィス、電車、車、飛行機とありとあらゆる物に鋼は使われています。そして長く重さに耐えることで疲労を起こしてしまい、その結果壊れてしまうことがあるわけです。

この新しい手法では、複数のレイヤーで鋼が構成されているため、一つのレイヤーで疲労破壊が起きたとしてもそこだけに留めることができます。また、それぞれのレイヤーが異なる強度を持つことで、全体としても強度を高めることが可能になっています。

The Vergeによると、この新しい鋼は繰り返し利用することから生じる微小な亀裂に対しての耐久度が他の種類の鋼と比較しても一番高かったとのこと。

どんな分野でもそうですが、素材が進化することはあらゆるプロダクトの進化につながるわけです。疲労破壊に対する耐久度の高い、高強度の鋼が生まれることで、ただ建築物や乗り物が安全になるだけでなく、これまでに不可能だったデザインが可能になるかもしれません。また強度が高ければ高いほど、耐久度を保持するために必要な鋼の量が減り、製造などのコストが下がる可能性もあります。

研究チームは次のように語っています。

この手法は鋼に限られるわけではありません。他の種類の合金もこの種の微小構造エンジニアリングの恩恵を受けられるはずです。

一体どんな風に我々の生活で応用されていくか、楽しみですね。

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image: urfin / Shutterstock.com
source: The Verge, Science

(塚本 紺)