『FLOWERS by NAKED』村松亮太郎さんインタビュー:“撮ってシェア”する時代、アートは“ネット文化のカオス”とどう付き合うべきか

『FLOWERS by NAKED』村松亮太郎さんインタビュー:“撮ってシェア”する時代に、アートは“ネット文化のカオス”とどう付き合うべきか”とどう付き合っていくか?

東京駅の3Dプロジェクションマッピング、新江ノ島水族館のナイトアクアリウム、FLOWERS…こんなアートイベントを耳にしたことはないでしょうか?

NAKED Inc.(ネイキッド)は、これらの企画から制作まで行なうクリエイティブ集団。昨年には、花の美しさをテクノロジーで表現する展示『FLOWERS by NAKED』が、若者を中心に話題になりました。

そのきっかけとなったのが、写真SNSサービスの「Instagram(インスタグラム)」。ハッシュタグ「#flowersbynaked」には、3万件以上もの“シェア”があり、今までのアートの楽しみ方をも変えてしまいそうな勢いがあります。

そこで今回は、2月から始まった新シーズン『FLOWERS by NAKED 2017 ー立春ー』に合わせて、NAKED Inc.の代表である村松亮太郎さんにインタビューしてきました。パソコンやソフトウェアなどの普段の制作環境から、アートが“シェア”されて消費されていくネット文化をどう捉えているのかなど、村松さんのテクノロジーとの付き合い方をいろんな角度から聞いてみました。

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村松さん 1

NAKED Inc.代表 村松亮太郎さん

――まずはじめに、村松さんが普段使っているパソコンやソフトウェアなど、制作環境はどんなものなんでしょうか?

村松亮太郎氏(以下、村松):かなり昔から、コンピューターはAppleのMacがベースになってきますね。ソフトウェアは色々使いますけど、ベースになってくるのはAdobe(アドビ)のソフトが多いかなと思います。特にAfter Effects(アフター・エフェクツ:Adobeのモーショングラフィックソフト)ですよね。NAKED Inc.(以下、NAKED)は1997年設立の会社なんですけど、確か当時After Effectsが1,000も売れてなかったんですよ。もうそこからずっと長いお付き合いですね。

今はプロジェクションマッピングとか空間演出の制作が多いですけど、我々がある程度世の中に知られるようになったのは、モーショングラフィックの部分が大きいと思ってます。これもやっぱり、After Effects有りきの状態でしたし、After Effectsは常に居ます(笑)

編集ソフトはPremire Pro(プレミア・プロ)を使うことも多いあるんですけど、Final Cut(ファイナル・カット)をベースにしていたときも長かったですね。その前になると、Media 100とかAvidという業務用の専用機を使ってたこともありました。

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――映像制作でMacを使い始めたきっかけって何なのでしょうか? それから、今も使い続ける理由って何かあったりしますか?

村松:僕が初めてMacに触ったのは95年ごろなんですけど、昔は映像をやるにはMacじゃないと、話にならなかったんですよ。で、そこからずっとMacを使ってるんで、使い続ける理由はもはや僕でもわからないです。気づいたらここに居たみたいな(笑)

ただ言えるとすれば、車を買うときと似てるかもしれないですね。僕、車を買うときもかなり調べて「このクルマの次のモデルは、ここが新しくなってサードシートがこうなって」って理屈ばっかり並べるんですけど、最終的に決める理由が「いい感じだなコレ」みたいな感じで(笑)。やっぱりどんだけ性能が良くても、自分にしっくり来ないものがイヤなんですよね。今もMacを使うのはこれと同じだと思います。

でもこれって僕だけじゃなくて、時代的にもそうだと思います。世の中的には、大体のものってもう性能的には大差ないじゃないですか。車でも10年前と比べて、全体的に性能が飛躍的に上がってて、走ればもうなんでもオッケーみたいな。技術が発展して、「それじゃなきゃダメ」っていう機会が時代的に減ってると思うんです。そんなときに自分は何が欲しいか、何を使うかってのは、みんな個人の“感覚”に限りなく近いもので決めているんだと思います。

ちなみにNAKEDのプロデューサー陣はMac率すごい高いですよ。プロデューサーこそ絶対にMacである必要ないじゃないですか。でも、みんなMac。圧力かかってんのかな?(笑)

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――なるほど(笑)。今度はNAKEDの話なんですが、もともとは映画を中心とした制作会社として設立されたと聞きました。どのような経緯で会社を設立したのでしょうか?

村松:まず設立前は、僕は役者をやってたんですけど、役者としてやりたいことができなくて…だったら個人で映画を作って、撮りたいものを撮るクリエイター側になろうかなって思ったんです。でも当時、映像は編集所みたいなところでしか作れなくて、設備の値段を聞いたら「3億円」って言われたんです、うーん…無理!つって(笑)

当時、パソコンでできることってDTMとかDTPとかで、まだパソコンで映像制作ができなかったんですよね。でもそんなときに、さっきも話に出たようにMacと出会うんです。というのも、当時アメリカで、Macに映像制作の環境がやってくる流れができてるらしいよ?っていううわさがあって、もうこれにしか可能性がなかったんです。Macとデジタルカメラさえあれば、本当に映画撮れるんじゃないか?って、情報がないなか試行錯誤しましたねぇ。

そこから、実際に映像ができるようになったんです。でも、もうその頃には色々買ってるんでお金がなくなってました(笑)。4×4 16GBのRAIDが100万円くらいしましたからね。だから「映像で仕事しないと」ってなって、それでNAKEDを立ち上げたんです。取引先が、会社じゃないと取引してくれなくて会社化したんですよね。

――設立当初から、今では映画だけでなく、3Dプロジェクションマッピングとか色んな作品を制作するようになりましたが、NAKEDはチームとして2Dデザインと3Dデザインって分かれてたりするんでしょうか?

村松:いや、分かれてないですよ。基本的には2Dと3Dが分かれてるっていう感じではないです。僕の中では2Dデザインとか3Dデザインとかを分けて制作する時代ではないと思いますし、デザイナーなら3D空間を扱うのは当たり前だと思うので。

ただやっぱり、元々やってたりとか得意な分野が人それぞれあるので、NAKEDで2Dも3Dもシームレスに扱うっていう感覚を身につけるのは時間はかかりますよね。あとは3Dに関しては、追求していったときに、どうしてもかなり専門的にやらないとできない部分もあります。でも、分野に関係なくやるっていう方針ではありますね。

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うちの会社ってこういう組織図になってるんですけど、カラーホイールなんですよ。チームに分けるっていう概念がないので、ようは組織図にも境い目がないんですね。

ただ境い目はなくても、なんとなくのゾーンってあるわけですよ。たとえば、レッドは演出とかアートディレクションに強いゾーンですね。その隣にいるピンクはCGのゾーンで、レッドのディレクションを形にしていくデザイナー的な動きをするわけです。

スカイブルーはPR系に近くて、ブルーになるとネットとかを使ったデジタルマーケティングに近くなってくるんで、パープルっていうテクノロジーのゾーンと親和性が高いよね、っていうような感じです。明確に境い目はないので、ポジションチェンジも全然アリですね。

――もう色で呼び合うくらい社内では浸透しているんですか?

村松:もうみんな呼んでますね。もはや色で呼びすぎて、ゾーンって言ってるのにチームっぽくなってきてて(笑)。いかにそれを壊そうか常に考えていますね。あんまり専門的に何かやるっていうように分かれていなくて、かなりNAKEDの人ってジェネラリスト的ですよね。なのでさっきのソフトウェアってのも、ベースになってくるのは汎用性が高いAdobeのソフトになったりするんですよ。

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――Macで映像ができるようになったのも一例だと思うんですけど、当初の映画の制作から、今のようなデジタルアートやマルチメディアな制作をするようになったのは、やはりテクノロジーが大きく影響していますか?

村松:そうですね。NAKEDを設立してから映像の仕事をするうちに、雑誌で取り上げてくれるようになったんですけど、そこで紹介されたのがモーショングラフィックスなんですね。当時はモーショングラフィックスで、テレビ番組のタイトルバックなんかを作っていたんです。その頃はモーショングラフィックスという言葉すらなかったですし、国内ではほとんど誰もやってなかったのでさっきも言ったようにNAKEDが知られるきっかけになったんです。そしたら映画を作るつもりがモーショングラフィックスをやるようになってて。

でもモーショングラフィックスって、After Effectsというようなソフトがあって生まれた表現で、テクノロジーが密接に関係していますよね。映画からモーショングラフィックスにすることが移ったように、何か技術が成長したときに次のブームや流れが生まれやすいと思っているんですよね。

こうしてテクノロジーと表現の進化って、どっちが先に進化してるのはわからないですけど、寄り添いあって進化していますよね。でも僕は、映画をやっていたので、テクノロジーに興味があって映像を作っているわけではないんです。むしろ単純にテクノロジーに対する恐れみたいなのもあるんですよ。人肌の感覚で「テクノロジー万歳」みたいにあんまりなれないっていうか…。

ただテクノロジーがなければ、僕がやりたかった表現って全部できなかったと思うので、テクノロジーの影響は大きいですし、そういう意味ではテクノロジーは大事なツールですね。

だから作品に使っているテクノロジーが、ハイテクでもローテクでも気にしないんです。テクノロジーがすごいから作品がすごいっていう考えもないですしね。だってNAKEDが関わった「ハコビジョン」なんてローテクですから(笑)。でも簡単な仕組みだから、ダメだっていう理由は別にないと思います。

――作品のなかでは、そういうテクノロジーやデジタル化が進みすぎると、作品がすべて均質化してしまうと感じるのですが、その点はいかがでしょうか?

村松:デジタルアートって発想の源がテクノロジーになりがちだと思うんです。たとえばですけど、「こういう技術があって、これでなにを表現しようか?」って考えると、表現の仕方が決まってきがちですよね。つまり均質化です。

そうなると、どうテクノロジーを使ってアプローチしたかってのも想像できちゃうし、「凄いね」って感動してもらえても、「こうだから凄い、ああだから凄い」っていう構造が見えちゃいますよね。なんかそれは、人の肌感で感動できるのとまた違うのかなと思います。もっと感覚的に感動できるほうが、多くの人が感動できると思うんですよ。なので、NAKEDの作品は発想の源がテクノロジーではあまりないですね。

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村松:ちなみに今、長野県にある阿智村という村のブランディングディレクターもやっているんですよ。住んでる人は6,500人で、環境省が「日本一の星空」と認定している村なんですね。ここで僕は、村の魅力をブランディングしていて、10年計画で星の村としてどう成長して行くのか?というプロジェクトを村の人たちと一緒に取り組んでいるんです。

阿智村にはスキー場があるんですけど、今はそこで『Winter Night Tour』というショーを夜にやってるんですよ。このショーは、スキー場の広場にコンテナを持ち込んで、広場を囲むようにコンテナを設置して、そのコンテナにプロジェクションマッピングをするんです。すると、暗闇のなかに浮いているようになって、見ている人は「スペースシップに乗って宇宙に旅立って行く」っていうストーリーにいるんですよね。

それで最後「宇宙に旅立って行きました~」ってなったときに、ドンっとマッピングの光を全部落とします。そうすると、本物の満点の星空がぶわっと広がるわけですね。天然の日本一の星空が。

つまりこのマッピングていうのは、もちろん体感性もあげてるんですけど、光で星を見せないように隠す役割も持ってるんです。このショーのメインって星空をどう楽しんでもらえるかですし、阿智村の価値って、僕らのマッピングじゃなくて、どこまで行ってもこの日本一の星空なんです。多分ここで「このテクノロジーでこんなことやるぞ」ってアプローチしちゃうと作れないものだと思うんですよね。

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『FLOWERS by NAKED 2017 ー立春ー』

――今は新作の『FLOWERS by NAKED 2017 ー立春ー』をやっていますが、これまでのFLOWERS by NAKEDも合わせて、インスタグラムの「#flowersbynaked」ハッシュタグの投稿が3万件を超えて、アートの展示としては異例の投稿数と聞きました。

村松さん的には、インスタグラムに写真をシェアされて作品が消費されいくことについて、どうお考えですか?

村松:まさに僕が今一番気になっていることかもしれないですね…。普通に『FLOWERS by NAKED』をやったら、めちゃめちゃインスタでブレイクして、こっちは想像もしていなかったんです。それでまた、写真を見るとみんな上手いんですよ(笑)。しかも、加工されてもう似て非なるものに作品を変えられているわけですよね。

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もともとは僕の作品ではあったんですけど、それはもう僕のクリエイティビティを含んだ別の作品になっているなぁって感じて。それで2回目の『魅惑の楽園』のときに、だったらと思って、ハッシュダグを使って写真をあげると、その写真たちで花の写真が形成されていくっていう仕組みを用意したんです。そうすると、僕が作品を作って、見に来た人が写真に撮って2次創作して、さらにそれを僕が使うみたいな感じで、コミュニケーションが循環するわけですよね。もはや「これがアートです」っていうんじゃなくて、コミュニケーションみたいな無形のものがアートになる時代に入りつつあるのかなって、今回インスタでブレイクして体験しました。

だからアートってものが別の意味になってきたと思ったので、それだったら今回でいうインスタのような、“作品を見た人が表現すること”も取り込んで「現代におけるアートって何? どうなって行くんだろうね」って考えたほうがいいかなとも思いましたね。こういう変化ってもう止まらないなと思ってて、「これはアートなのか?」って考えてたら完全に決壊するよなって思ってます(笑)

――インスタに写真を上げている子も、本人が自覚していないところでアートをやってますしね。

村松:もうアートっていう言葉の使い方も違いますもんね。今までこんな展示行かなかったような子が、急に「アート好き」って書いて写真あげてたりすんですよ(笑)。でもここでいうアートって、感性を刺激するものって良いよね、みたいなことなんですよね。アートがライフスタイルに限りなく近づいて来ていますし、反対に自己表現がすべてアートに近づいてきていると思うんです。そうなるとアート作品を作っている身としては「僕の価値ってどうなっていくんだろう?」って感じるんですけど、だからこそ積極的に、この消費の権化みたいなものに寄り添っていこうかなと思っています。

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――特に今回の『立春』だと、春の季節の移り変わりをコンセプトに表現していますよね。例えばこれをインスタで写真だけあげられると、そういうコンセプトって欠けて広まるわけじゃないですか。そういう“インターネットでシェアされることで失われるもの”についてどうお考えですか?

村松:失われたって、どうでも良くないですか?(笑)

いまだに「東京駅のプロジェクションマッピング良かった~!」って言ってくれる人がいる位、あの作品は色んな方に見てもらえましたけど、作品をちゃんと見た方でさえコンセプトって伝わってないと思うんですよ。だってあれ、素粒子の話ですからね。99%以上の人が理解していないと思います(笑)。でも見た人は感動してるじゃないですか

つまりコンセプトを伝えたいっていうのを、作品の主体に置くのかどうかっていう話であって、アートにコンセプトってそんなに大事?って思いますね。現代アートは、コンセプトがないと成立しないっていうベースの考えがあるだけで。現におっしゃるように、シェアみたいなネット文化が、アートの概念みたいなものを壊しつつありますよね。その変化(コンセプトが失われること)を柔軟に受け入れたほうがいいんじゃないかな。

――それじゃあ、村松さんにとって作品のコンセプトっていうのは、制作しているときだけに活きるものなんですか?

村松:そうです。作っているときは僕のものですけど、出したとき、届けたときから作品は受け取り手のものなんです。なので、僕のコンセプトや狙いとはまったく違うところで感動をしてたりするんですけど、別にいいじゃないですか。それを「違う!」って僕が怒るのかっていう(笑)。その人の感情をどうこう言う権利もないですし。

たとえば東京駅のプロジェクションマッピングなんかは、何年かぶりにおばあちゃんと東京駅に来た人もいれば、恋人と見に来た人もいれば、その日が寒いとか、色んなことがあって感じ方変わっちゃうんです。つまり僕が作品の感じ方を、絶対的に操作できないと思うんですよね。

だとしたら、この多様性をどう取り込もうかな?アートの一部にできないかな?とか考えたほうが面白いんです。だから、インスタグラムの話のように、含んでもう一回コンテクストを作ればいんじゃない?って思いますし、そのカオスと付き合っていけるかっていうのが大事だと思いますね。

――作品がインターネットでシェアされることが、アートの将来にとって良いと思いますか?

村松:うーん……良いか悪いかって、難しい質問ですね〜(笑)。……そういう文化も含んで超えていくしかないんじゃないかな、と思うんですけどねぇ。そこから新しいものも生まれてくるかもしれないし、さっきも言ったように今は自己表現に近いものをアートって呼ぶように、言葉の意味が変わって来ますしね。

簡単に言うと、音楽の文化でなんでラップが広まったかというと、楽器が弾けなくても始めれたからですよね。DJなんかはもはや演奏しないですし。結局、誰でもできるっていう大衆化がその文化を広げていってて、インスタで誰でも自己表現できる、すなわち誰でもアートができるっていう大衆化が、結局アートを広げていってると思うんですよ。

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もう色んなものが大衆化してきて、このコーヒーだっていつの間にみんな好きになったの!?って思いますね(笑)。特に今は情報社会なんで、もはや自分で自己表現として焙煎するようになって、作り手になっていくわけですよ。

でも作り手にシフトしたとしても、大体の人ってそれで儲かっているわけではないじゃないですか。むしろ飲んでくれってタダで渡してるかもしれない。ということは、ここで経済概念が逆転していて、誰でもできるってことが社会のあり方さえ変わることに繋がるんですよ。シェアエコノミーのような考え方と関わって来ると思います。

なので、僕はシェアという文化も含めてアートと考えるので、それがアートにとって良いとか何が悪いとかは、あんまり関係ないですね。そういった意味では、僕は比較的何も考えてないです(笑)

――じゃあ、“インターネットでシェアする”といったようなテクノロジーが絡んだ「行為」も含めて、村松さんが今注目しているテクノロジーってなんでしょうか?

村松:僕自身は映画がやっぱり好きで映像に入っているので、あくまでも映像の未来を作っていく技術に興味がありますね。今でいうと、ホログラム的なものに興味があります、「HoloLens」的なものですね。VRよりも、ARとかMRのほうが好きで、完全にバーチャルっていうよりか、映像が現実を拡張していくほうが映像にとって良い方向に進むと思うんです。

――映像がそこにある、すなわち物質になるっていう方向ですか?

村松:最終的には映像っていうか、「像」ですよね。根本的に映像っていうものの仕組みが変わっきて、像がそこにあるかもしれない。そういう意味では、テクノロジーを感じさせないテクノロジーに興味がありますね。テクノロジーを感じなくて良いっていう方向性が好きですかね。

あとは、理屈でそのテクノロジーの凄さがわかるっていうより、肌感として凄さが感じられるほうがいいですね。肌感として凄さを感じるテクノロジーのほうが、人の豊かさっていうところにも関係していると思うので。

人の感覚って結構凄いと思うんですよ。「感覚舐めんなよ!」って(笑)。頭で理屈を考えれば考えるほど、感覚が鈍ってくるような気もしています。僕はテクノロジーの進歩で、もっともっと感覚的な世の中になればいいなと思っています。

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村松さんとお話して感じたのは、ひとつのアートの在り方に固執するのではなく、アートに大きな影響を与え続けるテクノロジーやネット文化も作品のなかに取り込み、多様性に真剣に付き合って制作されていることでした。

今回のインタビューでお話した『FLOWERS by NAKED 2017 ー立春ー』は、3月20日まで、東京 日本橋三井ホールにて開催中です。美しい花や自然が表現されているこの展示では、インタビューで伺った村松さんのテクノロジーとの付き合い方を、“アート作品”として感じられますよ。

image: 阿智村 Winter Night Tour STARS BY NAKED
source: NAKED Inc., FLOWERS by NAKED, hakovisiontv - YouTube, 阿智村 Winter Night Tour STARS BY NAKED
reference: Instagram

(山本勇磨)

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