ニュースをどうやって売る? FacebookとGoogleを使った提案

ニュースをどうやって売る? FacebookとGoogleを使った提案 1

航空券みたいに価格が動的に変わるシステムなら、みんなもっと使う?

かなり前から言われてることですが、インターネットでいろんな情報が無料で手に入るようになり、新聞などのニュース機関は経営の危機に陥っています。Pew Research Centerによれば、2015年の1年だけで米国の新聞の発行部数は7%、広告収入は8%ダウンしています。

新たな収入源もそれなりに成長していて、今はいろんな新聞社のニュースをオンラインで読むことができ、そこには広告が貼られていたり、有料購読サービスがあったりします。でも広告モデルは「見られてなんぼ」なのでセンセーショナリズムに陥りやすく、フェイクニュースの温床になったことも指摘されています

そこで、ちゃんと事実を伝えてくれる良質なニュースや言論を経済的に支えるには、有料購読サービスがひとつの解ではないか、という考え方があります。新しい形のパブリッシングプラットフォームを模索するMediumも、有料購読サービスを立ち上げると発表しています。でも有料購読といえば、ユーザー側から見ると「ここから先を読むには毎月いくら払ってください」というあの画面です。たとえばNew York Timesでは週3.75ドル(約420円)、日本経済新聞では月4,200円です。いきなりそう言われると、「いや、とりあえずこの1記事が読みたいだけだし…」と尻込みしてしまいます。

でもQuartzで、エディターのFrédéric Fillouxさんが興味深い提案をしています。それは、「ニュースの有料購読も、航空券みたいに価格を変動させてみたらどう?」というものです。そして、そんな動的な値付けをするシステムをFacebookやGoogleの上で実現することです。

有料購読料金を動的に変化

航空券って、同じ飛行機の隣同士の席でも、予約した経路とかタイミングとかで値段がだいぶ違います。それをニュースの有料購読であてはめるって具体的にどんなことか、Fillouxさんは次のように書いています。(強調は筆者)

Googleは、すでに有料購読を販売しているGoogle Playのインフラをニュース製品に流用すれば、iTunes(訳注:ニュースの有料購読ができる)と同じようにするのはたやすいはずです。Googleはただそれをストアで販売するだけでなく、Google NewsとかGoogle検索上の記事を通して「オファー」を直接出すことも可能です。「オファー」とは、Googleがユーザーごとに保持しているデータを活用して動的にターゲティングされた提案です。

Fillouxさんは例として、サンフランシスコ周辺など裕福な地域のユーザーには定価のオファーをし、より収入の低い地域のユーザーには70%ディスカウントを提示する、などとしています。

一方Facebookでの実現に関しては、3つのハードルがあると言っています。ひとつはFacebook上の情報は基本的に全部無料なので、有料購読に対応させる必要があること。ふたつめは、Facebookでは独自のアルゴリズムに基づいてフィードの表示順が決まるので、それを有料ニュース向けに調整するか、ニュースには別のフィードを設けるかの必要があること。3つめは、これはGoogleにも共通しますが、Facebookが持つ膨大な個人情報を有料購読の価格付けに反映するのがプライバシー的にいいのかどうかということです。

ただどちらのサービス上でも、元々ニュースは主要なコンテンツです。イメージ的には、既存のニュースが表示されている横に「今だけ300円/月(定価1,000円)」とか表示されて、それをポチッとするとGoogleとかFacebookに保存されている決済情報使って自動的にお金が引き落とされる、みたいな感じかなと思います。で、その「今だけ300円」は、人によって表示されないかもしれないし、逆に学生なら「100円」かもしれない、っていうのがFillouxさんの提案です。

有料購読がニュースを救う?

ただそもそも、FacebookやGoogleが彼らのサービス上で有料購読販売をするなら、そこにはただ「良質な情報源を救う」っていう理想だけじゃない何らかの動機が必要です。でもFillouxさんは、FacebookやGoogle上で有料購読契約が成立したら手数料を支払う、という仕組みを想定しています。両社ともにいま収入源のほとんどが広告なので、親和性の高い新たな収入源として取り入れてもいいような気はします。

またGoogleもFacebookも、フェイクニュース対策を強く求められています。有料購読モデルが広がればフェイクニュースがなくなるというわけじゃありませんが、お金を払っても読みたいと思われるような情報源とそうじゃない情報源を切り分けやすくはなるはずです。

このシステムがもっと柔軟になりうるとすれば、たとえば「今日〆切のレポートのためにNew York TimesとWall Street Journalを閲覧したい、でも明日以降は要らないから安くしてほしい」「有料購読のメディア全体から、1日1記事だけピックアップして読みたい」みたいな細かなニーズにも応えられるかもしれません。そうすれば有料購読ユーザーの裾野はもっと広がっていって、毎月何千円も払う気はないけど、ときどき数百円払うくらいはいいよ、という人がいろんなメディアを支えていくことになるんじゃないでしょうか。

でもWebとかアプリでニュース見るためだけに有料購読する人なんてどれくらいいるの?と思いきや、実際たとえばNew York Times(PDF)では、紙とデジタルの有料購読者合計300万人のうち、デジタルのみの購読者が185万人もいるそうです(2016年末時点)。ちなみに彼らの値付けの柔軟さは「毎月10記事は無料」「デジタル版2種類+紙版とのセット、計3種類の契約形態」「契約して1年間は半額」「友だちにあげられる」くらいです。でももっと動的に、読みたいときに読みたいものが今ならお買い得!みたいな仕組みが実現できれば、もっとお金出す人が増えるんじゃないか、ってことですよね。

FacebookもGoogleも、これまでニュースメディアと持ちつ持たれつの関係を築いてきました。それぞれの将来のために、このFillouxさんの提案は検討する価値ありな気がするのですが、FacebookやGoogleの方、いかがでしょうか?

米大統領選挙中、Facebookでのデマは大手メディア以上に拡散してた

top image: Jane Kelly/Shutterstock.com
source: Quartz, Pew Research Center, NHK, Mashable, New York Times
参考: New York Times

(福田ミホ)

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