ガジェット界で昔を懐かしむのはよしたほうがいい…MWC 2017を総括

ガジェット界で昔を懐かしむのはよしたほうがいい…MWC 2017を総括

もっと前を向いてほしい…。

毎年スペインのバルセロナで開催されるMWC(Mobile World Congress)は、スマートフォンを中心に、数々のモバイルガジェット新製品の発表の場として賑わってきました。もちろん、今年のMWC 2017も、それなりの盛り上がりを見せはしましたが、なんだか昔懐かしいモデルのリバイバルブームだったような気もします。Nokiaブランドで「Nokia 3310」の元祖携帯電話がよみがえったり、BlackBerryブランドからハードウェアキーボードを搭載する「BlackBerry KEYone」がアナウンスされたり~。でも、これってどうなのよ?

いつも辛口批評の米Gizmodo編集部より、テック業界のノスタルジーなトレンドについて、Christina Warrenさんのコラムが出ていますので、目を通してみましょう。大きな話題にはなったものの、なにか物足りないものを感じた理由がわかったような気がします。やっぱりITメーカーは決め手不足なんでしょうかね?

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まず初めに断っておきたいのですが、私はレトロなガジェットの大ファンです。昨年のマイブームは、任天堂のファミコンクラシックミニこと「NES Classic Edition」でした。でも、だからって、Nokia 3310にカラー液晶ディスプレイやカメラを搭載して復活させたり、まるで「BlackBerry 9900」を思い出させるBlackBerry KEYoneが出ても、まったく気持ちは高ぶりませんでしたね。

ノスタルジーに哀愁だけを誘って、ガジェット界にブランドを復活させることは、個人的には大反対です。昔懐かしいゲームを格安でプレイできるようにするのと、10年前に人気だったブランドコンセプトで、最新のスマートフォン業界に殴り込みをかけるのは、決して同じと考えるべきではありません。

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これは終わりの始まり…? BlackBerryの最新モデル「KEYone」に失望の声も

ガジェット界のノスタルジーは、イノベーションの欠落以外の何物でもないでしょう。わざわざ550ドルも出して、ただハードウェアキーボードとBlackBerryブランドのセキュリティがあるというだけで、いったいだれがミドルレンジのスペックしかないAndroidスマートフォンを買いたいと思うのでしょう? まだiPhoneに乗り換えられないBlackBerryユーザーが、たくさん世の中にはいると信じているのでしょうか? それはひとえにBlackBerryブランドを買い取ったTCL Communicationが、なんの革新的なアイディアも持ち合わせていなかったことの裏返しでしかないでしょうね。

この戦略は失敗に終わるしかないことは、当のBlackBerryが、2年前にAndroidスマートフォンを出してもダメだったことで証明されていたはずです。もう人々はハードウェアキーボードを必要としなくなってしまいました。カメラアプリで写真を撮るとき、わざわざハードウェアのシャッターボタンを押すより、タッチスクリーンのシャッターをタッチするほうがいいと気づいたのと同じで、キーボードもソフトウェアキーボードでよくなってしまったのです。

BlackBerryブランドが、昔のデザインにこだわるだけを意味するのなら、TCL Communicationに未来はないでしょう。Palmブランドを買い取ったものの、結局はなにもできなかったときと、TCL Communicationは同じ道をたどってしまうのかも…。

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世界最古レベルの携帯電話「Nokia 3310」がまさかの復活、発売へ

2017年版としてよみがえったNokia 3310にいたっては、もっと悲惨でしょう。いまだに2.5Gの携帯電話を最新モデルとして買いたいユーザーを狙ったですって? だから安くで昔にヒットした携帯電話を、再びNokiaブランドで出すとはいうものの、こうした電気の供給さえおぼつかないマーケットでも、Nokia 3310より安くで、いろんな携帯電話やスマートフォンすら手に入る時代になってしまっているのです。

いま世界の多くの人々が期待しているのは、Microsoftに買収されて以来、スマートフォンはWindows PhoneばかりになってしまっていたNokiaが、いよいよAndroidスマホに本気で取り組んで帰ってきてくれる~ということ。その最新モデルを見てみたい気持ちでいっぱいでしょうけど、まったく期待しないほうがいいでしょうね。Nokia 3310をはじめ、Nokiaブランドを買い取ったHMD Globalから発表されたモデルは、いずれも新興国のローエンドユーザー向けのエントリーモデルばかりですから。ハードウェアとしては優れていた「Lumia 800」のAndroidスマホ版を目にすることは、きっとないのでしょう。

Nokiaは、かつてイノベーションのお手本だった時代もありました。iPhoneがコピー&ペーストすらできず、動画撮影にも対応していなかった頃から、早々と両機能を実装したスマートフォンを発売していたのはNokiaです。でも、2017年のいまは、過去を懐かしむノスタルジーなモデルしか出せなくなっているとしたら、やはり悲しいことですよね。

思えば、こうしたアプローチで復活を目指したものの、ほとんど効果がなかった企業も多々あります。ソニーは、iPodに奪われたウォークマン(Walkman)の市場とブランドをよみがえらせようと、何年も苦闘してきたものの、この分野で再び日の目を見ることはありませんでした。あのポラロイドカメラのPolaroidが、CES 2017で、復活ブランドのAndroidタブレットやVRヘッドセットを披露したのを、成功と評せる人なんていないでしょうから~。

いまやスマートフォン業界が、ある意味でイノベーションの限界に達して、なかなか革新的なモデルやデザインを発表できないのは事実かもしれません。

でも、皆が本当に望んでいるのは、だからといって10年前のレトロな製品に戻るのではなく、すばらしい次世代のスマートフォンの登場です。そういう観点からは、残念ながら、今年のMWCは寂しい盛り上がりでした。

top image by Christof Koepsel/Getty Images

Christina Warren - Gizmodo US[原文
(湯木進悟)