出生前診断、医師が嘘をついても罪に問われない法案がテキサス州上院で可決

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出生前診断、医師が嘘をついても罪に問われない法案がテキサス州上院で可決

嘘ばかりになるのも懸念しないといけません。

テキサス州上院の保守派は出生前診断で見つかった事実について、医師が妊婦に嘘をついても法的責任を問われないような法案を可決しました。このほどHuffington Postが報じています。

その背景に「出生前に先天性障害がわかっていれば、産まない選択ができたのに」と、親が障害児の出生を医師の過失として訴訟を起こす「ロングフル・バース訴訟」が、アメリカだけでなく日本でも問題となっています。まれではありますが、正しい情報が提供されていれば中絶を選択することもできたとして、超音波検査など出生前診断で見つかった胎児の障害を妊婦に知らせなかった医師が訴えられるケースがありました。

今回テキサス州上院が可決した法案第25号は、このロングフル・バース訴訟を違法とするものです。この法案は、反対9票に対し賛成21票で可決され、医療従事者はそのようなケースで法的責任を免れることとなります。

しかし法案の反対派は、「中絶に反対する医師が患者を欺く道を開いてしまう」と批判しています。少なくとも、医師が患者に関する情報を保留しておく可能性はあります。生殖医療擁護団体NARAL Pro-Choice Texasのエグゼクティブディレクター Heather Busby氏は、「妊婦は、医師がすべての情報を提供してくれると信頼して当然なのに、そうでない場合、特別なケアを要する子供のいる家庭は補償を求める法的手段を持つ権利がある」とHuffington Postに語っています。

また法案の作成者であるテキサス州上院議員のBrandon Creighton氏は、保守系メディアThe Blazeのインタビューにて「この法案が医師に嘘をつかせるわけがない」と、反対派の批判を断固否定しています。さらに「医師の標準治療や義務を低下させることもない」と付け加えました。

しかしCreighton氏は、法案がいかにして、胎児の健康状態に関して医師が嘘をつくことを妨げるのか、具体的には触れていません。この法案の正確な文言は以下の通りです。

(a)他人の行為または怠慢がなければ、生まれることを許されるべきではなく中絶されるべきだった、との主張に基づく訟因は成立し得ず、損害賠償も認められない。

(b)この項は、他のいかなる準拠法のもとでも、医師およびその他の医療従事者の義務を排除するものと解釈されてはならない。

法案第25号(Texas Senate Bill 25) via LegiScan

胎児の障害を患者に知らせることは、ほぼ間違いなく医師の義務なのに(a)と(b)がどのように両立するのか、明確とはいえません。ただし同様の法案はすでに9つの州に存在し、法的な前例はあるようです。

州上院を通過した法案は、州下院で審議されます。医師の義務、産むか否かを自分で決める妊婦の権利、そして障害児の生きる権利…出生前診断をめぐる倫理的な議論が高まりそうです。

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image: SP-Photo / Shutterstock.com
source: The Huffington Post
reference: LegiScan, The Washington Post, brandoncreighton.com, The Washington Post

Rhett Jones - Gizmodo US[原文
(Glycine)