イギリスで「3人の親」を持つ赤ちゃんが産まれようとしている

イギリスで「3人の親」を持つ赤ちゃんが産まれようとしている

イギリスで、3人を持つ赤ちゃんが産まれようとしています。

ニューカッスルの不妊治療クリニックに、母親の病気が遺伝するのを避けるため「3人親法」で体外受精の技術を実施する許可が与えられました。ミトコンドリアに異常がある母親の卵子からを抽出し、健康なミトコンドリアを卵子にもつドナー女性の卵子核と交換移植するというものです。「ミトコンドリア置換治療」「卵子核移植」などと呼ばれ、これまでも多くの論争を巻き起こしてきました。

この技術で産まれた子供は、母親、父親、および女性の卵子ドナーの、遺伝子上3人の「」が存在します。ミトコンドリアDNAにはわずか37個の遺伝子しか記録されていませんが、ミトコンドリアの遺伝子は母親からのみ子供へ受け継がれます。このミトコンドリアの遺伝子に欠陥を持つのが「ミトコンドリア病」。体外受精で、母親のミトコンドリアの遺伝子を置き換えることによって、この難病から子供を守ることが可能になります。

The Guardianによると去年12月、イギリスのヒト受精・胚研究許可庁(HFEA)は、臨床目的でのこの技術の安全性を認め、ニューカッスルの不妊治療センターに最初の実施許可が与えられました。ここから来年初めにも、3人の親を持つ赤ちゃんが産まれる予定です。

BuzzFeed Newsによれば、現在アメリカではこの技術は認められていませんが、問題のある遺伝子を取り除いて体外受精するというアプローチは昔から行われていました。1990年代、今回とは異なる技術で遺伝子上3人の親を持つ赤ちゃんが何人か産まれましたが、そのうちの何人かが予期しない遺伝子障害を発症してしまったため、その技術は承認されませんでした。そして、3人の親の遺伝子をもつ赤ちゃんは危険にさらされる可能性があるので、科学者の実験の材料にすべきでないと批判されたのです。

また、この技術によって受精卵の段階で意図的に遺伝子操作を行なう「デザイナーベイビー」を産み出したいという流れを加速させる恐れもあります。BBC Newsによるとイギリスがこの技術を承認したとき、独立監査法人Human Genetics Alertは「遺伝子操作」した子供は、優生学の未来を決定づける最初の一歩となると、警告しました。

FUSIONによれば昨年、アメリカでもミトコンドリア核移植の技術を使い、母親の卵子から核を抽出して卵子提供者の卵子に移植し、父親の精子で受精させた赤ちゃんが産まれました。母親には「リー症候群」とよばれる遺伝性の神経系障害があり、この障害が子どもに受け継がれないように、核移植技術が使われました。しかし、この技術はアメリカでは合法ではないため、ニューヨークのニュー・ホープ不妊治療センター(NHFC)のJohn Zhang医師らのチームは、規制のないメキシコで治療を行ないました。3人のDNAをもつ赤ちゃんについては生命倫理の観点から賛否両論。でも、母子ともに健康状態良好だそうです。

倫理的な問題、安全性の問題など、依然として議論は絶えませんが、この技術は確実に進展しています。3人の親を持つ赤ちゃんが無事産まれる事例が増えることで、安全性や新しい倫理的価値観が実証されていくのでしょう。

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image: nobeastsofierce / shutterstock.com
source: The Guardian, BuzzFeed News, BBC News, FUSION

Kristen V. Brown - Gizmodo US[原文
(mayumine)