遺伝子検査会社23andMeの真の狙いはあなたの遺伝子情報

遺伝子検査会社23andMeの真の狙いはあなたの遺伝子情報

自分の大切な遺伝子情報、簡単に明け渡してしまっていいんでしょうか。

私たちの遺伝情報には、悪の手にかかれば危険にさらされる、あらゆる種類の機密データが埋め込まれています。遺伝的なプライバシーが保護されていなければ、遺伝子に保存されている情報は、人を差別したり、個人にターゲットを絞った広告を送るために悪用されるおそれがあります。これらの理由から、プライバシーを尊重したければ、消費者向けのDNA検査を避けるべきだという人もいます。先週アメリカ食品医薬品局(FDA)が、DNA検査会社23andMeに消費者向け疾病リスク診断の提供を許可して以来、警告が相次いでいます。

「商品は検査キットではなく、あなた自身だ」と米国の科学雑誌Popular Scienceは警告し、そのほかのメディアも、同社の長期的な目標には広告目当てのデータ販売が含まれると推測しています。

はっきりさせておきましょう。 23andMeは間違いなく第三者企業、研究機関、非営利団体にデータを販売しています。ただしあなたに何かモノを売るために、それらの団体に遺伝子データを販売しているわけではありません。あなたが同意する場合に限って、研究を目的とする匿名化された集合体データを販売しているのです。

同社のプライバシー責任者であるKate Black氏は米Gizmodoに語っています。

当社には数多くの研究提携があり、(データの販売は)金銭的報酬をともなうものも含まれます。

この点については、同社のプライバシーポリシーにすでに明確に記載されています。 ジェネンテック社、スタンフォード大学、マイケル・J・フォックス財団を含むこれらの団体は、匿名化された遺伝情報のみを研究に使用している、とBlack氏は強調しました。たとえばジェネンテックの場合、新しい治療法を開発する目的で、同意が得られたパーキンソン病患者のデータを分析しています。

Black氏は明言します。

当社の研究に広告との接点はありません。広告のために遺伝情報も機密情報も利用していないことは明確です。

Black氏は、数千人程度の顧客に関わるような、まれな病気について研究が行なわれる場合、消費者がすでに標準的な研究に対して与えた同意に加え、追加の同意をお願いすることになる、と述べています。いかなる場合においてもデータは匿名化されるということですが、いかにしてデータが真に匿名となり得るかは議論の余地があります。Y染色体上にみられる特定の領域の「反復数」と、系譜データベースへのアクセスだけで、ある男性の姓を突き止めたケースがあるのです。

たしかに23andMeの主な収入源は消費者のデータであり、DNA検査キットではないことがわかります。 Black氏によれば、200万人以上におよぶ顧客の80%以上がデータを研究に使うことに同意しており、同社は売り物になる莫大なデータを握っていることになります。

遺伝子検査に注意する理由はたくさんあります。祖先や病気のリスクなど、知られたくない情報を漏らされるかもしれません。そういった危険性があるシチュエーションとして、生命保険会社は保険証書を与える前(加入の審査時)に遺伝子検査情報を要求することができます。そのうえ議会では今、ますます遺伝的差別を助長するような法案が可決されてしまう恐れもあります。

また23andMeは別の顧客情報を利用して、広告をターゲットに、より多くの顧客を引き付けています。とはいえ、企業が私たちに必要な薬や好みの靴を売りつけるような、オーウェル風の全体主義的な策略は立ててはいないようです。今のところは、ですが。

トランプの情報規制と拷問発言で、ジョージ・オーウェル著の小説『1984年』がベストセラー首位独走完売。
次の疑似科学の舞台は「遺伝子」かも

image: 23andMe
source: Popular Science, Scientific American, 23andMe 1, 2
reference: Gizmodo US 1, 2, Science, Fast Company

Kristen V. Brown - Gizmodo US[原文
(Glycine)