イーロン・マスク、2018年までに100%再利用可能なロケットを目指すと宣言。しかし現実は厳しそう…

イーロン・マスク、2018年までに100%再利用可能なロケットを目指すと宣言。しかし現実は厳しそう…

100%リサイクルロケットは果たして可能か?

SpaceXは2017年3月30日に見事、再利用可能なロケットの打ち上げ&回収に世界で初めて成功し、将来の宇宙事業へ大きく前進。しかしイーロン・マスク氏はすでに次のステップへと目を向けています。

マスク氏は自身のツイートで、SpaceXは2018年末までにロケットを100%再利用可能にすることを目標にしていると明かしました。現時点ではファーストステージエンジンの回収&再利用で打ち上げ費用を30%カットしていますが、最終的にはロケットすべてを回収し、再利用することで、さらに費用を抑えたいんです。確かにもし車や飛行機を1回使うごとに破棄すると考えたらおかしな話ですよね。ロケットだって何回も使えていいはずなのはわかります。

こちらは、TwitterユーザーのStaniel Chairhead氏ツイートFalcon 9のコストを計算したツイートに対し、イーロン・マスク氏が返答したもの。「(セカンドステージのコストは)500万ドル(約5億4000万円)が妥当。でも今年中に再利用可能になるよ。さらに100%にできるよう、もうひとつ上のステージの再利用も来年末までにできる自信がある」とツイート。

ではもし100%再利用可能なロケットが開発されるとしたら、どんなものになるんでしょう? また1年後という短い期間で作ることはできるんでしょうか?

SpaceXの職員でオバマ元大統領の宇宙政策アドバイザーであったPhil Larson氏は製作可能であると自信を持っているようです。米Gizmodoに対し、「(100%利用可能なロケットは)非常に面白いコンセプトです。これまでSapceXは不可能を可能にしてきました。100%回収&再利用可能なロケットの開発は間違いなく可能です。ただし、ロケットを海上の船(ドローン船)に着陸させる開発と同じくらいエンジニアにとって大変なことになるでしょう。でも彼らはうまくやってくれます」と語っています。

一方で、ミシガン大学の航空宇宙工学専攻学科の教授Ella Atkins氏は「可能な限り再利用することは素晴らしいことです。ただ他のリサイクル製品でも、但し書きをよく読むと、製品は一度しか再利用できないとか、実際にリサイクルされているのは10%程度で残りは新しく作られているということがよくあります。ですから再利用可能ロケットと語るときは、もう少し慎重になるべきで、ロケットのすべてのパーツがそのままそっくり再利用できるとは限らないと私は考えます」と米Gizmodoに語っています。

さらにAtkins氏は、SpaceXが2018年までに100%再利用可能なロケットを開発するのは難しいと語り、再利用後のロケットのどのパーツが新たなものと取り替えられ、最終的な利益にいくら影響するのかはっきりしていないと指摘しています。NASAがスペースシャトルをやめた一つの理由も、再整備するコストが高くついたからなのです。

「ラップトップがリサイクルされる際も、マザーボードは新たなものに取り替えられます。確かに他のパーツはそのままかもしれません。しかし時には最も高いパーツが取り替えられる場合があるのです。私はロケットが再利用される場合も同じだと考えます」とAtkins氏。そこで米Gizmodoは現在、再利用されるロケットを打ち上げる際、どのパーツが取り替えられるのかをSpaceXにコメントを求めています。

こちらの動画はSpaceXが公開しているFalcon 9のファーストステージ着陸の様子。

飛行機のように飛んでは着陸し、燃料を入れて再び飛び立つロケットは確かに理想的かもしれません。しかし実際には、大気圏への突入でロケットは飛行機以上に傷みます。イーロン・マスク氏は着陸したロケットが24時間以内に再び打ち上げ可能になることが目標であると最近明かしましたが、ロケットを再び整備し、検査するのには非常に時間がかかるのです。先日再利用に成功したロケットは、着陸してから再利用して打ち上げるまでに約1年かかっています。こちらは2018年までの目標と述べてはいませんが、現時点では24時間以内というのは難しいと言わざるを得ません。

それでも高い目標を持つことは良いことです。そしてSpaceXはたくさんの高い目標、そしてそれを叶えうる資金を持っています。Larson氏は米Gizmodoに対して、「SpaceXは今後セカンドステージエンジンの製造が大多数となっていき、1年に製造される新しいファーストステージエンジンの数は減っていくかもしれません。再利用の条件が満たされるにつれて、どのようになっていくかわかってくるでしょう」と語ります。

今後も宇宙事業の優位に立つために、SpaceXや他の宇宙事業会社が再利用可能ロケットの激しい開発競争を繰り広げていくことは間違いなし。NASAが諦めたロケットの再利用を事業化することができるのか見守っていきましょう。我々にとっては、より安く月や火星に旅行できればいいんです! 一般人が気軽に宇宙旅行に行ける日よ早く来い。

SpaceXの火星旅行のお値段は2,000万円! 命がけの旅は安いか高いか?

image: SpaceX / Flickr
source: Elon Musk / Twitter, SpaceX / YouTube
reference: Popular Science, MIT Technology Review, Space.com, CNBC

Rae Paoletta - Gizmodo US[原文
(Shun)

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